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12月の果樹だより

[2017.12.01]

●杉山文一営農技術指導員

 

ツル性(ブドウとキウイフルーツ)整枝せん定のポイント

 

 ブドウとキウイフルーツはつる性果樹です。家庭で栽培している状況を見ると、比較的狭いほ場(棚)で栽培しているため側枝や新梢が重なりあっており、強いせん定で徒長枝が発生し込み合った状態となっています。着色の良い良品生産や病害虫の発生を防ぐには、枝を広げて風通しの良い状態に整枝(枝を配置)することが重要です。

 

1 ブドウ

 ブドウの整枝法は、棚仕立てが基本です。整枝せん定は、新梢を長く切る長梢せん定と結果母枝を短く切る短梢せん定があります。

 樹を全体にゆったりと配置し、新梢を長く切り返す方法が長梢せん定で、主枝を左右に2本配置し、主枝から新梢を2芽で切る方法が短梢せん定です。ジベレリン処理して無核化を図る場合は短梢せん定が良い方法ですが、有核栽培では長く新梢を切り返す長梢せん定が一般的です。家庭果樹では、長梢せん定の方が良いかと思います。狭い圃場では、ジベレリン処理して種なし栽培を行えば短梢せん定の方がよいと思います。品種によって、枝の切り方や配置の方法が違う部分がありますが、一般的な方法で記述しましたので参考としてください。

(1)せん定時期

 落葉すれば始められるが温暖な冬だと2月下旬には樹液が動き出します。3月に枝を切ると、樹液が出るので、2月中旬までには行ってください。

(2)長梢せん定の整枝法

①長梢せん定仕立て(X字形整枝)は、4本の主枝をX字形に伸ばす整枝法で、樹を全体にゆったりと配置することが重要です。

図1は、主枝に対する亜主枝と側枝の配置と枝の切り方です。

主枝は長く伸ばし、亜主枝として横枝を広げて、果房を着ける部分の側枝・結果母枝をつくります。

②家庭果樹では、狭いところで栽培しているため、全体に枝が重なって混んでいます。図1のように、樹を全体にゆったりと棚全体に配置してください。枝は重ならないように広げて配置し、主枝の先端は、外側に広げます。家庭でブドウを栽培する場合は、X字形整枝にこだわらす枝をゆったり配置する整枝法を行ってください。

③枝は重ならないようにゆったりと広げて配置し、主枝を棚の四方に伸ばします。また、重なり枝は間引きます。先端部分の長い新梢は3分の2程度に、その他の新梢(結果母枝)は、8芽程度に短く切り返します。側枝が長くなったら、充実した結果母枝の出ているところで切り返します。

そして、重なり枝は更新枝のところで切り戻します。

④側枝のせん定は、生育の中庸な良い新梢のところで切り返し、大きくならないようにします。

⑤ブドウが成木になり、枝が棚面一杯になったら更新できる枝の部分で切り返して先端部分を更新します。

⑥ブドウは基部の枝が巨大化して樹形を乱します。若木の時点では、将来的には切除すべき枝でも、1~2年の利用を前提に、追い出し枝(基部の側枝を切除しながら使用する)や返し枝(枝を主幹に向けて強く曲げる)として利用します。

(3)短梢せん定H字型整枝法(平行形整枝)

①狭いところでジベレリン処理して種なし栽培では良い整枝法です。しかし、種あり栽培では、大粒系品種の巨峰系は、せん定が強よ過ぎて花振るいしますので適していません。

②短梢せん定は、図2の様に主枝を平行に配列し、各主枝に2芽で切り返した結果母枝を左右均一に配置します。主枝は1.2m程度に、結果母枝は20cm程度の間隔が必要です。

③1年目に棚上に新梢を伸ばしで第1主幹します。2年目に第1主幹から棚面で発生した新梢を第2主幹とします。第1・第2主幹の主幹から左右1m程度のところを曲げて第1・第2主枝とし、3年目に第1・第2主枝の曲げたところから発生した新梢で第3・第4主枝を形成します。

④各主枝から発生した結果枝を結果母枝とし、2芽の上の芽のところで均一に切除します。短梢せん定で結果母枝が欠けたら、今年出た新梢を主枝と並行になるよう誘引すると発芽揃いも良くなり、次年度からの結果母枝が確保できます。

⑤結果母枝は2芽せん定を行いますが、2芽以上で切除すると側枝となって長くなりますので注意してください。萌芽の良いシャインマスカットは、1芽せん定を行うと結果母枝部分が大きくならず側枝化しません。

(4)せん定量

30から35%程度までにしてください。50%以上のせん定量は強すぎて、強い新梢が発生し樹形を乱します。

 

2 キウイフルーツ

(1)せん定時期

せん定は、12月になったら始めます。暖かくなってくる2月中下旬頃に枝を切ると樹液がでるので、1月中には行ってください。

(2)整枝せん定

①棚仕立てや垣根仕立て等色々な整枝法で栽培していますが、良品生産するには棚仕立てが一般的です。枝が重ならない様に、図3(一文字整枝法)の様に広げて配置します。

②成木の時の樹の状態は、主枝を左右に2本伸ばした一文字整枝法とし、ゆったりと枝を伸ばします。そして、各主枝に亜主枝、果実を着ける側枝と結果母枝の順で配置します。枝の強さは、主枝>亜主枝>側枝>結果母枝とし、枝は重ならないように配置します。

③植えつけ1年目に苗木の下部から強い枝が数本発生するので、生育の良い強い枝を棚付けをして、2年目に棚下からでた生育の良い新梢を第2主枝とする。

④側枝から出る新梢を3分の1程度で切り返し結果母枝とします。また、樹形を乱す強い新梢(突発枝)は、基部から切除します。

⑤側枝が長くなったら、結果母枝の出ているところで切り返し、枝を更新します。結果部位が先へと移動していき、基部の枝がハゲ上がってくので、早めに切返し更新をおこなう。

⑥結果母枝は、70~150cmの新梢を利用して1㎡当たり3本程度配置し、3分の2程度残して切り返します。長い結果母枝は、先のほうの細くなる部分でやや強めに切り返します。

⑦枝が混んで来たら、充実した枝に切り返して更新し、園内を明るくなるようにします。そして、亜主枝を伸ばしていくと巨大化して樹形を乱しますので、大きくなったら随時切り返しをして主枝と亜主枝のバランスをとるようにします。

(3)せん定量

30%程度としてください。50%以上の切除は、強すぎて基部から強い徒長枝が発生し樹形を乱します。

 
 ▲図1 ブドウ(成木)の主枝の整枝法(長梢せん定の例)
 
 ▲図2 ブドウH字型整枝法(短梢せん定)
 ▲図3 キウイフルーツ一文字整枝法の主枝の基本樹形(棚栽培の例)
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