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12月の果樹だより

[2016.12.01]

●杉山文一営農技術指導員

カキ・クリ・リンゴ・ビワせん定のポイント

1 カ キ

(1)樹の特徴
〔ア〕 高木性で、樹が大きくなる性質が強い。
〔イ〕 頂部優勢性であり、前年に伸長した枝から発生する新梢は先端の芽から発育するものがもっともよく伸長し、下の芽の生育は次第に小さくなる。
〔ウ〕 枝が強度であり、枝の分枝角度が狭く、縦の応力が劣しい。
〔エ〕 先端の新梢が長く伸長するため、自らの枝、葉および果実の重さに耐え兼ね、次第に下垂する。
〔オ〕 直上枝が発生するとその生育が親枝の延長枝より旺盛になり、負け枝が発生する。
〔カ〕 陰芽は、発芽能力があり、強く切り返すと伸長する。

(2)せん定時期
 せん定時期は、樹の生理を考えると12上旬~2月上旬にかけておこなうのがよい。落葉したら始めて、萌芽が遅いので2月下旬までにおこないます。

(3)せん定量
 夏季せん定をおこなっている樹は、ある程度骨格が適正になっており、20%以内のせん定量のせん定となる。側枝の更新や太枝の間引きや切り返しを行う場合は、30%以内のせん定量にする。それ以上だと、強せん定となり強い新梢が発生し、隔年結果の原因となる。

(4)結果習性と果実のならせ方
 春に発芽すると、芽の中から新梢が伸び、その中央より基部に近い葉えきに花が着く。このように花を着ける新梢を結果枝といい、結果枝発生する枝を結果母枝という。
 品種や枝の長さによって違うが、結果枝が発生するのは結果母枝の先端から3~4番目程度の芽までである。

(5)基本的な整枝法
〔ア〕 主枝は3本とし、各主枝から2本~3本の亜主枝を横枝でつくり、そして、亜主枝から果実をならせる部分の側枝をつくります。そして、全体を図1の様に三角形になるように配置します。

図1 カキ側枝の配置

〔イ〕 幼木期から生育が旺盛な場合には、枝の発生角度が狭くなりやすいため、植え付けたあと早期から枝に支柱を添え、枝の角度を広くする誘引をおこないます。
 また、主枝や亜主枝の先端を切り返す場合は、外芽のところか、外側へ出た徒長枝のところで切り返えして、先端部分が開くようにする。
〔ウ〕 枝の勢いは、主枝>亜主枝>側枝>結果母枝の順として均衡のとれた樹冠を構成し、毎年安定した収量を得るための骨組みを作る。
〔エ〕 生育や樹形を乱す枝である、①平行枝、②三又枝、③車枝、④内向枝、⑤逆行枝、⑥下垂枝、⑦徒長枝は樹形を乱すので整枝上の除去対象枝とする。

(6)せん定について
〔ア〕 主枝・亜主枝の先端を切り返す。亜主枝は、先端は小さく、基部は大きくする。
〔イ〕 上下が重なるような枝は下を優先して残す。そして、太い不要な枝を除く。
〔ウ〕 内向枝、交差枝は迷わず切除する。また、直上枝は更新するとき以外は切除す。
〔エ〕 更新以外の側枝は、間引きせん定とする。
〔オ〕 小枝は切除しないが、枯れ枝は切除する。
〔カ〕 カキは頂腋生花芽であり、新梢の頂芽およびそれに近い2~3の腋芽が花芽になる。そして、花芽から出た新梢の葉腋に、花を着け着果する。そのため、先端を切り返すと花が咲かず、新梢が伸びてくるので、主枝や亜主枝の先端以外は切り返さない。充実した発育枝の先端分が花芽になるが、結果枝でも充実した枝だと花芽に分化する。
〔キ〕 上部の枝が大きくなったら、新しい枝のところで切り返し、下枝に光が入るようにする。
〔ク〕 強い結果枝に着果した果実は肥大が良い。徒長枝は予備枝として利用する以外は切除するが、せん定で長くて強い結果母枝は残し、強い結果母枝で揃えるようにする。
〔ケ〕 徒長枝や長大化した側枝などの骨格を乱す枝をせん除する。側枝の利用は3~5年を目安とし、古い側枝の利用は計画的に更新して若返りを図る。
〔コ〕 側枝は巨大化させないが、数年経ったら充実した側枝の部分まで戻し、切り返して更新をおこなう。側枝を更新する。
〔サ〕 主枝・亜主の先端の切り返しは、適度な枝は先端三分の一、強い枝は弱く、弱い枝は強く切り返す。
〔シ〕 主枝、亜主枝の側枝の配置は、2年生以上の側枝は新梢の長さを見越して片側20cm程度の間隔とする。1年生の側枝は60cm程度の間隔でよい。
〔ス〕 樹高を切り下げる場合、一気に主枝の途中で切り戻すのではなく、替わる枝のところで切り戻し、数年かけて切り下げる。

2 ク リ

(1)樹の特徴
〔ア〕 1本の樹に雌花と雄花を別々に着ける。
〔イ〕 頂部優勢で、先端ほど新梢の伸びが旺盛で立ち易く樹冠が外へと拡大する。
〔ウ〕 受光量が少ないと良質の結果母枝が得られず、毬果の着果が悪くなる。
〔エ〕 樹性は、主幹が立ちやすい高木性である。

(2)せん定時期
 せん定時期は、12月上旬~2月下旬頃におこないます。落葉してから萌芽するまでに終わればよいが、樹液が動き出すまでに終わるのがよい。

(3)せん定量
 せん定量は、30%程度とする。強くても、弱くても着果量に影響する。

(4)結果習性と果実のならせ方
 雌花と雄花を別々に着けるが、結果母枝性であり、図2のように新梢の先端部分は翌年の春に毬果が着く結果枝が出る。

(5)基本的な整枝法
〔ア〕 幼木の時は主幹を真っすぐ伸ばし、若木や成木の時に3本の主枝を決めて、主幹を切りもどす。
〔イ〕 枝の勢いは、主枝>亜主枝>側枝>結果母枝の順として均衡のとれた樹冠を構成し、毎年安定した収量を得るための骨組みを作る。
〔ウ〕 生育や樹形を乱す枝である、①平行枝、②三又枝、③車枝、④内向枝、⑤逆行枝、⑥下垂枝、⑦徒長枝は樹形を乱すので整枝上の除去対象枝とする。
〔エ〕 成木になって樹勢が落ち着いたら、図2の様な樹形にします。

図2 クリの基本的樹形(成木)

(6)せん定について
〔ア〕 幼木の時は主幹を立てるので、若木から成木の時に、主枝を3本決めて主幹の切り下げをおこなう。そして、 太い不要な枝を除く。
〔イ〕 主枝・亜主枝の先端を切り返す。亜主枝は、先端は小さく、基部は大きくする。また、上下が重なるような枝は下を優先して残す。
〔ウ〕 内向枝、交差枝は迷わず切除する。そして、直上枝は更新するとき以外は切除す。また、更新以外の側枝は、間引きせん定とする。
〔エ〕 結果母枝である新梢の先端部分は、翌年の春に果みがつく結果枝が出るので切り返しはしない。
〔オ〕 主幹は真っすぐ伸ばし、樹勢の強い若木は、間引きせん定を主体にする。
〔カ〕 老木や樹勢の弱い木は、結果母枝の間引きと側枝の切り返しせん定をおこなう。
〔キ〕 強い結果枝には毬果の着果が良く、果実の肥大も良いため、長くて強い結果母枝で揃えるようにする。
〔ク〕 かぶさり枝を切り返し、樹幹内部に光が入るようし、予備枝の確保を図り、切り返しておく。
〔ケ〕 混み合った部分、また下垂枝は上向き部分まで切り戻す。

3 リンゴ

(1)樹の特徴
 暖地で、新しくリンゴを栽培する場合や家庭果樹の場合は、わい性栽培です。
〔ア〕 普通樹は高木性で、樹が大きくなる性質が強い。
〔イ〕 わい性台木を使用することにより、主幹の伸びが抑えられ、早期から結実が確保できる。
〔ウ〕 高く伸びようとする性質を持っており、上部の枝ほど旺盛な生育を示す上部の枝は立ち上がるが、下部の枝は横に広がりやすくなる。

(2)せん定時期
 せん定時期は、12月~1月におこなうが、落葉したら始め、根が動きだす2月中旬までにおこなう。

(3)せん定量
 せん定量は、30%以内とする。それ以上切除すると、切りすぎて強い徒長枝が発生し、樹形を乱して着果が悪くなる。

(4)結果習性と果実のならせ方
 花芽は、充実した新梢の先端部分に形成されます。結果母枝性で、新梢から翌年の春に果実がつく結果枝が出ます。

(5)基本的な整枝法
 わい性栽培の樹形は、次のとおりです。
〔ア〕 樹形は、図3のように全体を三角形にします。主幹を真っすぐに立てて主幹とし、横枝を誘引して側枝を作ります。そして、各側枝に結果母枝を配置する。

図3 わい性りんごの基本樹形(主幹形)

〔イ〕 枝の勢いは、主幹>側枝>結果母枝の順として均衡のとれた樹冠を構成し、毎年安定した収量を得るための骨組みを作る。
〔ウ〕 生育や樹形を乱す枝である、①間隔が狭い平行枝、②車枝、③内向枝、⑥逆行枝、⑥下垂枝、⑦徒長枝は樹形を乱すので整枝上の除去対象枝とする。
〔エ〕 幼木期に、側枝を水平に誘引し側枝先端を側枝発生位置より上げる。

(6)せん定について
 わい性栽培での切り方は次のとおりです。
〔ア〕 主幹を真っすぐ伸ばし、主幹を負かす横から立った枝を切除する。また、主幹・側枝の先端を切り返し、先端部分は小さく、基部は大きく横へ広げる。
〔イ〕 上下が重なるような枝は下を優先して残す。
〔ウ〕 交差枝は迷わず切除する。直上枝は更新枝として使用する場合以外は切除す。また、 更新以外の側枝は、間引きせん定とする。
〔エ〕 花芽が、充実した新梢の先端部分に形成されるので、新梢の切り返しはおこなわない。
〔オ〕 横枝の側枝は、上部の枝が大きくならないように、新しい枝のあるところで切り返し、各側枝が三角形になるようする。
〔カ〕 幼木期に主幹の太さの1/2以上の側枝は、主幹を弱める恐れがあるので切りとる。側枝の先端は切りとらない。
〔キ〕 若木期は、配置した側枝が重なり合う場合間引き、側枝先端が弱ってきたら、先端を切り返す。
〔ク〕 成木期は、多すぎる側枝の間引きと側枝先端の切り返しをおこない、樹形の維持に努める。

4 ビ ワ

(1)樹の特徴
〔ア〕 3月上旬~5月中旬、6月下旬~8月中旬、9月上旬~10月中旬の年3回発生する。各枝には中心枝と副梢がある。
〔イ〕 ビワは新梢の先端に花芽が着生するため、次第に側枝が長くなり樹間内部の無効容積が大きくなる。
〔ウ〕 開花期が冬季となり、他の果樹類早く開花する。

(2)せん定時期
 せん定時期は、開花が冬季と早いので9月中旬から10月上旬におこないます。
(3)せん定量
 せん定量は、30%程度とします。側枝の更新や太枝の間引きや切り返しを行う場合は、それ以上だと、強せん定となり強い新梢が発生します。

(4)結果習性と果実のならせ方
 花芽は7月下旬から8月上旬に中心枝や副梢の先端部分に分化する。分化した花芽は急速に発達して、9月から11月には蕾が見られる。

(5)基本的な整枝法
 整枝は、枝を開かせる杯状形整枝や主枝を切りもどす変則主幹形整枝の低樹高仕立てとします。

(6)せん定について
〔ア〕 枝の先端から発生した新梢に果実をつけるので間引きを中心にします。
〔イ〕 混んでいる中心枝を図4のように切りもどして、結果部位を下げます。

図4 ビワの伸びた立ち枝(中心枝)の切除

〔ウ〕 伸びすぎた側枝は分岐部まで切り返す。また、下垂した枝や、主枝・亜主枝等の背面から発生した徒長枝等を間引く。
〔エ〕 主枝、亜主枝が伸びすぎたり、下垂したら、枝のある位置で切り返す。
〔オ〕 立ち枝が大きくなり、樹内部の結果枝に日当たりが悪くなったら、立ち枝の日当たりを悪くする横枝を間引くか、主枝、亜主枝まで切りもどす。

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