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7月の果樹だより

[2019.07.01]

●杉山文一営農技術指導員

<柑橘類の着果管理と硬核類(モモ・スモモ)の収穫の注意点>

1 柑橘類の着果管理

 今年の柑橘類の生育状況は、満開が5月7日頃と昨年より5日程度遅い状況です。温州ミカンや中晩柑類の着果状況は、一部で隔年結果の樹も見られ、全体に着果の状況が樹によりムラがあります。樹は全体に落ち着いており、新梢の伸びは良いと思います。夏に向かい、果実も肥大してきます。

(1)結果習性

 カンキツ類の結果習性は、図1のとおりである。①結果母枝は、今年果実を着ける結果枝を発生させる枝である。②予備枝は、今年は花を着けないで発育枝だけを発生させる枝です。

ア 隔年結果性

 柑橘は、成り年(表年)の翌年は、不成り年(裏年)になる隔年結果を起こす性質が強い。成り年には適量の2~3倍も着果することがあり、これをそのままにしておくと果実が小さくなるだけでなく、樹体養分の消耗が大きく、隔年結果を助長する原因となる。

<ミカンの枝は隔年結果をおこしている>

① 前年に果実がなった結果枝は果梗枝と呼ばれ、この枝からは、今年花をつける結果枝が出ることは少ない。

② 前年に果実がならなかった発育枝からは、今年花をつける結果枝が出やすく、前年の発育枝を結果母枝と呼んでいる。

③ ミカンの緑枝1本1本は完全に隔年結果している。

 花になるもとが小さな芽の中にできる。この花のもとである、花芽ができる時期

イ 花芽分化期

 花芽分化期:生理的にみて9月から11月上旬までと2月から3月にかけての時期花芽分化への影響:9月から10月ごろが最も影響しやすく、2から3月は影響が少し弱くなる。

 結果樹:10月以降3月初めごろまで花芽の形成に強く影響する。

 未結果樹:12月以降の花芽の形成への影響は弱い。

(2)柑橘類の隔年結果防止

 柑橘類は、成り年の翌年は不成り年になる隔年結果性が強い果樹です。

 隔年結果を防ぎ、高品質果実を連年生産するためには、摘果や新梢管理(予備枝の確保)など、着果量と結果枝や発育枝の割合を調整する必要があります。

 着果量が多いと翌年着果不良となり隔年結果します。

(花芽分化期と着果量減少について考えられる要因)

 花芽分化への影響は、9月から10月ごろが最も影響しやすく、2から3月は影響が少し弱くなる。

*着果量が少ない

・前年に着果量が多かった樹

・2月から3月にかけて、葉色が茶色くなって落葉の多い樹

*考えられる原因

・結果母枝の充実がわるく花芽分化が不十分な状態になる

・着果量(多い)や天候(9月の長雨や冬の寒さ)や栽培管理(成分不足と土壌条件の悪化)の影響で樹勢を弱め、花芽分化期に結果母枝が充実不良になると花芽が減少する。

(3)柑橘類の摘果について

ア 摘果の目的

 果実どうしの養分競合を少なくし、大きくて・形の良い・美味しい果実を生らせる作業です。果実が着きすぎると、葉の光合成産物が多くても1果当たりの配分量がすくなくなり肥大が悪くなり、小玉が多くなり、樹に負担がかかって隔年結果を起こします。また、隔年結果を防止し毎年着果させるためにも摘果をして適正な着果量にします。

 毎年着果させるには摘果をして適正な着果量にすることが必要です。

イ 摘果の方法

 摘果は、一般的には生理的落果(6月中旬~7月上旬)が終わったら果実が多く着いているところを中心に7月上中旬に予備摘果をおこない、8月上中旬に仕上げ摘果をします。予備摘果(7月)と仕上げ摘果(8月)の2回行うと果実が揃います。

 家庭果樹栽培や手間の関係で、1回で摘果をしたい場合は、表1と図2・3を参考にしておこなって下さい。

 今年は着果量が多いため、隔年結果を防ぎ、毎年大玉を生らせるためには、半分程度は着果量を減らすことが必要です。

 また、果実を残す位置は、図2・3を参考にして下さい。

〇修正摘果(9月)

 今年は花が多く、着果過多の状態です。予備摘果、仕上げ摘果をおこなっても着果量は多いと思います。品質向上と隔年結果防止のためにも、9月に樹上選別と言って、天成り果や皮の厚い果実や小玉果を摘果して着果調整をして下さい。

 

 

〇「着果の向きは、収穫時に果頂部が下に垂れた状態が良く、上を向いたり横を向いたりしている果実は品質向上が望めなく、果梗枝が細いと美味しい果実が生産できます。」

ウ 温州ミカンの着果状況

着果状況は群状着果(かたまってならせる着果方法)は、着果が少ない場合は良いが、基本的には一粒なりの4~5枚の有葉果の独立着果を目指します。

エ はるみ、不知火の着果状況

はるみ・不知火は、着果量が多いと理想的な結果母枝が形成されず、翌年良い結果枝が発生しません。そのため、隔年結果樹となってしまいます。隔年結果を防ぐには、思い切った摘果が必要で、着果量を減らしてください。

(4)着果量が多いと樹が衰弱し冬季に異常落葉する原因となる。

冬季が低温だと、葉が異常に落葉したみかん樹を多く見かけます。

ア 落葉する原因

柑橘類は、原産地が亜熱帯地域であり寒さに弱い果樹です。そのため、冬季に起こる低温による凍害、強風によって異常落葉が発生します。樹勢が弱り、降雨が少なく土壌乾燥すると落葉率も高くなります。

  着果量が多くて、樹勢が弱っていると冬季に寒さで落葉が多く発生します。

 異常落葉の多くは、病害虫が原因でなくて生理障害の方が多くみられ ます。

イ 対 策

落葉した場合は、少し様子を見て、新梢が発生し3枚~4枚展葉してきら速効性の化成肥料(園芸化成)を500g程度施用して樹勢回復を図ります。

新梢が発生すれば、樹勢回復を図れますし、果実は全部摘果して、樹勢回復を図ることも効果的です。

樹勢を低下させないためにも、着果過多は禁物です。着果量を制限する摘果作業が、必要です。

2 硬核類(モモ・スモモ)の収穫の注意点

夏季に収穫するモモとスモモの収穫は、気温が高く、雨の日が続くため、果実が腐りやすい時期です。  

また、収穫時期が早いと品質が良くありません。モモの成熟日数は、開花からの日数がちよひめ・はなよめで71~80日、日川白鳳で81~90日、白鳳で101~110日です。スモモの成熟日数は、早生種で90~100日、中生種が105~120日、晩生種が130~150日が目安です。表2を参考にして、収穫に注意してください。

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