アスターの管理 ~大輪系・播種・収穫~
[2017.04.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
お盆の直売所はキクとホオズキでほぼ一杯となりますが、何か他にお盆に向く花はないでしょうか。
回答
キクによく似た花で「アスター」、和名で「エゾギク」というものがあります(写真)。昔からお盆の花として使われてきましたが、高温多湿な当地では作りづらいことから主要産品になっていません。難点はあるものの在圃期間が比較的短くて済みますので、今後直売所向けに作ってみてはいかがでしょうか。
1 特徴
(1) アスターはキクと同じキク科の植物ですが属は異なります。
(2) 朝鮮半島北部からアフガニスタン北部に至る、ほぼ北緯40度沿いの夜間冷涼な地帯に自生しています。北緯40度はちょうど秋田県男鹿半島を通っていることからわかるように、当地の夏はアスターにとってかなり暑いと思われます。
(3) 半耐寒性の1年草。花色は豊富で鮮やかです。
(4) 連作が続くと土壌伝染性の立ち枯れ病や萎凋病などが発生しやすくなります。また、この病気は夏の高温期に発病しやすい傾向にあります。
(5) 種子の寿命は短く、1年以上たつと発芽率が悪くなります。
2 栽培
(1) 品種
大輪系には、品種が豊富でボリュームのある「くれない系」、立ち枯れ病に比較的強く前種より早く開花する「松本系」が一般的です。
(2) 作型
品種松本イエローを4月20日に播種したところ、8月4日に収穫できました(図)。播種から収穫までは106日、定植から収穫までの在圃期間はわずか56日でした。このことから4月20日を中心にして前後1週間間隔で3回播種しておけば、お盆に出荷することができます。
2月に播種した場合は6月29日の収穫となり、播種から収穫までは133日で在圃期間は66日した。
(3) 播種
128穴のセルトレーに育苗培土をつめて水を含ませておく。そして一穴に1粒の種を播き軽く覆土します。種子は2~4mmと大きいので播きやすいです。
(4) 施肥
定植2週間前には酸度矯正とフザリウム菌によって引き起こされる萎凋病予防のために、苦土石灰を20kg⁄aを必ず施用しておきましょう。
元肥は3要素成分で1.0㎏⁄a程度施用し、追肥はわき芽が発生する頃に0.5kg⁄a施します。
(5) 定植
植え痛みを防ぐために本葉6枚以上の苗を植える。株間15、条間15㎝の3条植え。重粘土質の畑では定植後まもなくして立ち枯れを起こすことがあるので、高畝を作り排水性を高めてください。
(6) 病害虫防除
立枯病、萎凋病には定植前にバスアミド微粒剤で土壌消毒を行っておきます。あるいは連作を避けてください。害虫ではウリハムシとグンバイムシの被害が多いのでスミチオン乳剤を散布します。
(7) ネット張り
枝は曲がりやすいので、目合い20cmの3目フラワーネットを張ります。
(8) 収穫
3~4輪咲いたら収穫です。