
ウメの栽培 ~年間管理~
[2021.02.01]
お正月に花を咲かせる松竹梅のウメ。あまり早くから咲くと、うまく受粉できなかったり、その後の寒さで実が落ちたりします。「南高」だけでは授粉樹がないため実が成りません。梅酒にはこれ梅干にはあれ、と品種別に使い分けたり、収穫時期や成熟程度で使い分けたりします。梅干しにも「紫蘇」を入れる派入れない派があります。梅雨明けが遅れると、土用干しが心配になりますね。
・整枝せん定
落葉後から、つぼみが膨らむまでに行ないます。枯れ枝や徒長枝、内向枝、下垂枝などを外します(図1)。徒長枝のうち、少し短く弱めの枝(見ようによっては予備枝)は、先端を軽く切り返して、翌年に花芽をつける結果母枝にします(図2)。品種によって、花つき、実つきの程度が異なります。十分に花・実をつけ、確実に落とせるとよいでしょう。
①主枝・亜主枝の先端は、 葉芽・外芽で切り返し ②徒長枝はもとからせん徐 ③枯れ枝はせん徐 ④下垂枝と⑤内向枝は必要なら残し、収穫後にせん徐 ⑥予備枝は軽く切り返し、翌年の花芽を期待 |
・芽かき
強くせん定した時や樹勢が強い場合は、不要な芽を早めに取り除きます。
・摘蕾
つぼみが多い場合は、上向き、下向きのつぼみを指で枝を挟んで、こすって落とします(図3)。
・人工授粉
短果枝を中心に1枝、3から5花に授粉します。交配親和性がわからない場合は、花の色や実の大きさの異なる花粉を使うとよいでしょう。授粉樹には小梅が向いています。
・摘果
着果が多い場合は、果実と果実が重ならない程度(大梅:5㎝、小梅:3cmおき)に摘果します。
・夏季せん定
徒長枝は早めにもとから外します。なるべく、春先の芽かきで対応してください。
収穫後は徒長枝を外し、斜め上向きでやや弱めの枝(予備枝)を軽く摘心したり、捻じって寝かせたり(捻枝)して、花芽を期待しましょう。
・収穫
梅酒にはまだ果実が青い頃、梅干には果実にほんのり赤みがさす頃、梅ジャムには果実がやわらかくなって淡黄色の頃に収穫します。収穫後に黄色く追熟させる場合もあります。
・加工
焼酎メーカーの梅酒の作り方は焼酎の量が多め、氷砂糖メーカーは氷砂糖が多めと言われているように、いろいろ流儀があります。レシピや秘伝を参考にしてください(図4)。
・病害虫防除
防除こよみ(※)を参考にしてください。アブラムシ類、カイガラムシ類が多く発生します。果皮に薄い黒点がつくのが黒星病です。病害は予防が、害虫は発生初期防除が基本です。農薬を使用する際には、農薬使用基準を遵守し、使用履歴を記帳してください。
・施肥例
休眠期(11月:元肥)、果実肥大期(4月:追肥)、収穫後(6~7月:お礼肥)に施用します。
(※)防除こよみについては、お近くの営農生活センターまたは、以下のリンク先よりご確認ください。