キクの管理 ~半身萎凋病の耕種的防除~
[2020.02.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄●
質問
農薬による防除の他に半身萎凋病対策はありますか。
回答
薬剤に頼らず、①抵抗性品種の導入や②栽培管理の改善などによって防除することを一般的に耕種的防除と言います。薬剤のみならず耕種的防除にも努めていただくと、さらに防除効果が高まります。
今月は耕種的防除の具体策について説明します。
1 抵抗性品種の導入
キクの品種間において、半身萎凋病に対する抵抗性の有無は確かに認められます。したがって、抵抗性のある強い品種を作ることがまず重要となります。
2 栽培管理の改善
『本圃』
a 本病は土壌伝染性なので、キクの連作を避けます。したがって、次作はかつてキクを栽培していなかった場所を準備します。
b 土壌水分過多による湿害から発病が助長されることもあるので、排水不良地ではたい肥や粗大有機物の投入、高畝など圃場の排水対策をしっかりと行います。
c エンバクやトウモロコシなどイネ科緑肥作物の栽培やすき込みを行うことで、土づくりと連作障害対策ができます。また、エンバクは殺センチュウ効果もあります。
d 半身萎凋病が発生したら速やかに株を掘上げ焼却処分します。併せて地面に落ちた葉もきれいに集めて焼却し、圃場衛生に努めます。
e 田畑輪換のできる圃場では一度水田に戻し、湛水によって病原菌の微小菌核を死滅させることができます。
『親株養成』
a キク栽培面積の10%程度を親株専用圃場として用意します。
b 発病した株を次作の親株にしないこと。また、発病株に近い株も親株にしないこと。親株を厳選したら、掘り起こして親株専用圃場に移植します。
c 本病の発生原因を探ると、購入あるいは譲渡など苗の移動に伴って発生した事例が多数あります。したがって、苗は信頼できるところから入手することが肝心です。
『繁殖』
a 株分けでなく挿芽で行う方が良いでしょう。
b 春、親株より発生するうど芽から直接採穂するのではなく、うど芽を摘心し、発生する側枝から穂をとるように心がけしましょう。摘心することによって、挿し穂の保菌率を低減させると考えられます。