キクの管理 ~株間・定植~
[2016.06.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
私が作る小ギクは花や蕾の付き方が揃っていませんが、花屋さんで売られているものは揃っています。このような小ギクを作るにはどうしたらよいでしょうか。
回答
6月は秋ギクの定植時期となります。定植する時、株間に注意してもらえれば花の付き方・高さを揃えられます。簡単なことですので是非試みて下さい。
1 フォーメーション
花蕾の付いた枝ぶりのことをキクではフォーメーションと言います。小ギクのフォーメーションは大別すると3種類あります。それをA、B、Cとして図に示しました。
質問の「花屋さんで売られている形」は、Bのフォーメーションで一般的に「良い形」と評価されています。Aは花蕾が少なく貧弱です。Cは多くの花蕾があるものの乱れています。
フォーメーションは温度、日長、株間などに影響されますが、露地栽培では株間を変えることでフォーメーションをある程度改善することができます。
2 株間
図で示したAは株間が5cm、Bは10cm、Cは15cmで定植したものです。一般的に株間を広くとるほど2次側枝が発生しやすくなり、花蕾数は増えますがフォーメーションは乱れます。仕立て本数を3ないし4本にしてもこの傾向は変わりません。
「花蕾の付き方が揃わない」というのは、おそらく株間を広くした結果Cのフォーメーションになったのではないでしょうか。あるいは。株間が一定ではなかったかもしれません。
3 定植
2条植えで株間は10cmとし、一定の間隔で定植するよう心掛けしましょう。
4 品種
株間を変えてもお望みのフォーメーションにならない場合は、品種を変えてみましょう。
5 収穫
1mの畝幅で株間10cm、2条植え、3本仕立てであれば60本/m2、4本仕立てであれば80本/m2の収穫となります。
6 直売所の評価
小ギクのフォーメーションはBが高く評価されていると前述しましたが、これは卸売市場への出荷を前提とした評価です。本来フォーメーションは、花を使う場面と人の感性によって評価されるべきものと思います。A、Cのフォーメーションであっても、花を活ける際にバランス上必要な場面があればBよりも高い評価になるはずです。
株間10cmに対して株間を5cmとすると、収穫本数は倍増しますが下葉が枯れ上がりやすくなります。15cmにすると収穫本数は30%減少しますが、下葉の枯れ上がりは少なくなり管理は楽です。それぞれ一長一短がありますので、株間とフォーメーションの関係をしっかりと頭に入れて、株間を決定してください。
直売所は卸売市場ではありませんので、多様なフォーメーションのキクがあっても構わないと思います。あとは、消費者が評価します。