
サザンカの管理 ~剪定~
[2016.07.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
花の少なくなる初冬に咲くので、10年ほど前生垣として庭に植えました。木が大きくなるにつれて道路に花が一杯落ちるようになり、通行人の迷惑になると思い片づけていますが、なかなか大変です。花が咲かなくなるような手立てはないものでしょうか。
回答
サザンカは我が国固有種ですので大変栽培しやすく、花を楽しむ観賞用花木として、庭に、公共用地にと幅広く植えられています。
11月中旬頃、開花が始まりますとまさに赤色LEDのイルミネーションが点灯したようで、庭が艶やかになります。そのうちに花弁がハラハラと落ち始め、それなりに風情のある光景となります。しかし、道路に落ちた花が原因で、人が滑って、転んで、ケガをするとなると大変です(写真1)。
そこで、道路に面した株は目隠し用として、花はなくても葉さえあればいいと割り切ってしまった方が良いかもしれません。
サザンカを咲かせないようにするには、剪定時期を変えることです。ぜひ試してください。

写真1 道路に落ちたサザンカの花
1 サザンカの花芽分化時期
気温の上昇に伴い4月以降新芽が伸びだし、6月になると新しい枝の生長は止まります。そして、6月下旬から7月上旬に花芽分化します。
2 花を楽しむための剪定
開花後から3月までに剪定を行えば花を楽しむことが出来ます。樹形が乱れて気になる場合は、10月に軽く剪定します。これが一般に行われている剪定です。
3 花を咲かせない剪定
花芽分化が終わった後の7月中旬以降に剪定を行い、枝先を落としてしまえば開花しません。しかし、若干開花することはあります。これは、枝が短かったために剪定できなかった、言わば「目こぼしの枝」が咲いたものと思われます(写真2)。
また、樹形が大きく乱れて見苦しくなれば、冬にもう一度軽く切戻して樹形を整えて下さい。

写真2 7月剪定のサザンカ
4 7月剪定の注意点
(1) サザンカは萌芽力が強いので枝先からどこまで切り戻しても構いませんが、木が古くなるほど萌芽力は弱くなります。
(2) 剪定は梅雨明け以降でも構いませんが、暑い時期ですので熱中症にならないよう注意して下さい。
参考文献
*小杉清(1953):花木類の花芽分化に関する研究(第1報),園芸学会雑誌22(1),50-54