シャクヤクの管理 ~収穫後の管理~
[2019.06.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
我が家の畑には親が残したシャクヤクの大株がたくさんありますが、今まで放任状態でした。ゆくゆくは直売所に出荷しようと考えていますので、今月はどんな管理をすればよいでしょうか?
回答
シャクヤクは一旦植えれば4~5年は収穫できる大変省力的な品目です。折角譲り受けた株ですので、是非とも来年直売所に出荷して下さい。
花は5月に終わったと思いますが、6月は花の品質や数に影響を及ぼす重要な月ですので、適切な管理によって良質な花を出荷してください。
1 追肥(お礼肥え)
定植後数年経過したシャクヤクの年間施肥量は、窒素、燐酸、加里ともに肥料成分量で20g/m2施します。これを、萌芽前に30%、切花収穫10日後50%、9月中下旬20%に分施します。
したがって、今月は10g/m2(IB化成100g相当)施用し、株の充実を図ります。
2 花がら摘み
花弁が落ちたら最上位葉の上を切除します。
3 マルチ
梅雨明け後の乾燥防止、雑草防除のために、稲ワラまたは牛糞堆肥などでマルチングを行います。
4 中耕・除草
中耕を行う場合は、開花後に浅く攪拌する。深く撹拌して根を切り過ぎると品質低下や不開花率が高まりますので注意して下さい。8月以降の中耕は悪影響の方が多くなるので行いません。
5 間引き
株が混み合っている状態であれば、風通しを良くするために花茎を間引きます。ただし、立ち本数の50%以上間引かないようにして下さい。来年の開花率が低下する原因となるからです。
6 病害の防除
来年の収量に大きく影響する病害としては、うどん粉病と菌核病が考えられます。
(1) うどん粉病
初夏の高湿度条件で発生します。白色の粉状病斑が茎葉に付着するので容易に判別できます。うどん粉病は葉の枯れを助長するため、収量と品質に悪影響を及ぼします。徹底した防除が必要です。防除薬剤としては、トリフミン水和剤、モレスタン水和剤、ダコニール1000、カリグリーン等を輪番に使用します。
(2) 菌核病
茎葉が繁茂しすぎて地際部が多湿になると茎が侵され、白色綿状のカビが生じ、そこにネズミの糞のような黒い塊(菌核)を作ります。この菌核が翌年の発生源となりますので、被害茎葉の残渣は畑に残さず集めて焼却します。防除薬としては、トップジンM水和剤がありますが、茎葉が過繁茂にならないよう適宜間引くことも大切です。