ジンチョウゲの管理~白絹病~
[2023.04.03]
●営農技術指導員 大澤梅雄●
質問
去年から庭に植えたジンチョウゲの葉が黄色くなり、今年はさらにひどくなりました。地際部に白い物が付いていますが病気でしょうか。
回答
我が国には季節を感じさせる香りがあります。春はジンチョウゲ、夏はクチナシ、秋はキンモクセイ、冬はロウバイなど。これら四種を四大香木といいます。近頃ジンチョウゲの香りにはなかなか出会えません。病気の影響で栽培が減っているのかもしれません。
さて、ご質問の件ですが、恐らく立枯れ性の「白絹病」ではないかと思いますので、その特徴と防除について記します。
●ジンチョウゲ(沈丁花)の紹介
中国原産の低木常緑樹で、わが国には室町時代に伝わってきました。当地では3月頃に開花しますが、その香りはとても上品でさわやかです。育てるためには日当たり良く、排水性の良い場所に植え付けます。
●白絹病とは
カビの一種で、名前の通り白い絹糸状の菌糸が地際部の茎に発生し加害します。防除が大変難しい土壌伝染性の病気で、しかも多くの植物にうつる多犯性の病気です。
被害を受けると新しい枝の先端部からしおれ、葉は黄色くなり、下の方の葉から落葉し、最後は枯れてしまいます。
●発生原因
おそらく排水性の悪い所、あるいは色々な植物が密生しているような所に植えられたのではないでしょうか。
【防除】
●農薬
本病発生初期に適用農薬である「モンカットフロアブル40」の1.000倍液を3ℓ/㎡株元へ潅注する方法がありますが、500㎖の容器で販売されていますので、小規模な家庭園芸では割高になります。
●耕種的防除
回復の見込みがないと判断されれば早めに株を撤去して焼却しましょう。農薬に頼らない防除法として次のような対策をたててください。
ア 植えつけ場所の選択
再感染を防ぐためには同一場所に植えないことです。そして、①雨が降っても水がたまらない排水性の良い所を選ぶ。②色々な植物が密生している場所を選ばない。このような所は株元が多湿で白絹病が大変発生しやすい環境なのです。
イ 土壌改良
深さ、径ともに40㎝ほどの穴を掘り、水はけを良くする工夫をしてください。特に粘土質土壌には軽石や鹿沼土、もみ殻、牛糞堆肥などを掘り上げた土に混ぜて埋め戻しします。ただし、木の小枝や未熟な枝葉などを入れないようにします。別の立ち枯れ性病害「紫紋羽病」を誘発するかもしれません。
また、土壌の表面水が株元に来ないよう溝を切り排水に努めましょう。
ウ 鉢栽培
土壌伝染性の病気を防ぐには、地面から隔離する鉢栽培が有効です。ただし、鉢に用いる土は無病であることと、鉢を直接地面に置かず棚などで栽培すると良いでしょう。