
センニチコウの管理 ~定植から出荷~
[2019.04.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
近頃、直売所ではセンニチコウの人気が高まっています。私も出荷したいのですがその栽培方法について教えてください。
回答
ちょうど盆や彼岸の頃に咲くためお供えの花として使われてきましたが、ここ数年は、ドライフラワーにしてフラワーアレンジメントや手工芸品の花材として利用される方が増えています。花色や花型が豊富になったことが影響しているかもしれません。
現在切花として流通しているセンニチコウ(写真1)には、グロボーサ種(Gomphrena globosa)、ハーゲアナ種(G. haageana)そして最近注目されているプルケラ種(G. pulchella)などありますが、今月はグロボーサ種について説明します。
1 センニチコウとは
熱帯アメリカ原産(インド説もあり)のヒユ科植物で春まき一年草です。同科にはケイトウも属しています。すでに江戸時代初期には渡来しており、センニチコウ(千日紅)と言えばグロボーサ種を指すようになりました。
葉は対生し良く分枝します。1本の側枝に球形の頭状花が1個付きます。2枚の苞に包まれた頭状花は小花100個ほどから成り、テイオウカイザイク程乾燥しておらず、半乾きのような状態です。
1本単位では目立ちませんが、束にすることによって本種の魅力がより一層引き立ちます。
2 畑の準備
(1) 畑の選定
日当たりと排水性の良い畑を選びます。また、やせ地の方が品質の良いものを収穫できます。
(2) 土壌改良
土壌酸度(pH)の目標を6.5前後とし、定植の2週間前までに消石灰、苦土石灰などで矯正します。
(3) 施肥
元肥は定植の1週間前に窒素を成分量で5g/m2 、燐酸、加里は各8g/m2施します。窒素過剰は花付を悪くするので注意して下さい。
(4) 畝立て
畝立て幅を120cmとし、60㎝幅の植床とします。
3 播種
(1) 品種と播種量
赤色、白色、桃色、淡桃色、桃色・白色の2色咲き種などがあります。
播種量は10ml/aの種を用意します。
(2) 時期
発芽適温は20~25℃で、最低15℃以上を必要とし、30℃以上となると非常に発芽率が低下しますので、4~5月に播きます(図)。
(3) 方法
種まき専用培土を200穴のセルトレーに充填し播種します。軽く覆土した後は底面から給水を行います。直播も可能です。
4 定植
(1) 時期
7日程度で発芽しますので2対葉なったら定植します。
(2) 方法
株間20㎝で2条に植えていきます。
5 摘心
定植から2週間後、地際より2節残しで摘心します。
6 定植後の管理
(1) 追肥は1番花の収穫が終了する頃に、窒素を成分量で5g/m2 、燐酸、加里は各8g/m2施し、2番花の生育を促します。
(2) 土壌乾燥にはよく耐えるので、定植直後は十分潅水し活着を促しますが、その後は潅水を徐々に控え乾燥気味に育てます。
7 収穫
小さな半球形状の頭状花は、時間の経過とともに球形となり、さらに上へせり上がって円柱形へと変化して行きます。採花適期は直径2㎝程の球形頭状花になった頃です。単一色で出荷するよりも各色取り混ぜ10本束にして出荷するとよいでしょう。
また、ドライフラワーの花束(写真2)や手工芸品などの出荷も歓迎します。
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▲写真1 センニチコウ |
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▲写真2 センニチコウドライフラワー |
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▲図 センニチコウの作型 |