ハナナの管理 ~播種・開花~
[2019.10.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
秋の彼岸後に短期間で出荷できる花はありませんか。
回答
春は黄色の花で始まります。
サンシュユ、ロウバイ、ミモザなどは枝先に黄色の花を着け、菜の花は畑一面に光り輝きます。その光景はまさに春の訪れを知らせてくれるようです。
さて、今月お勧めするのは菜の花の一種「ハナナ」(花菜)です。寒い時期にもかかわらず比較的早く咲き、年内から出荷できます。
1 特徴
本種はアブラナ科の秋播き1年草です。一般には菜の花として知られていますが、花き業界では、切り花に使う種類を特にハナナと呼んでいます。一説にはナバナやチリメンハクサイなどから育成されたものと言われています。
生長は早く花は大きい。葉は小型でチリメン状になるなどの特徴を持っています。また、本種の根は過湿に弱く湿害を受けやすいので、畑はもちろんのこと水田裏作で栽培する場合にも、ほ場の排水性を良くしておくことが大切です。
2 品種
早生系としては、黒川寒咲ちりめん、尾張寒咲きちりめん(黒川より2~3週間遅い)、晩生系としては江月(1月中旬開花)等があります。
3 発芽適温
20℃前後
4 播種
(1) 時期
9~10月
(2) 畝立て
畝幅を100cm、植え床幅を40㎝程度とします。
(3) 方法
通常は直播です。条間20cmの2条播きとします。前作の関係で播種が遅れる場合は、200穴セルトレーに培養土を充填し、一穴に一粒ずつ播きセル苗を作ります。およそ20日後には定植できます。
5 間引き
播種したら3日程度で発芽してきます。直播した苗は本葉2~3枚に達したら株間7㎝程度になるように間引きをします。
6 施肥
多肥栽培すると草姿のバランスが悪くなりますので、前作の肥料が残っていると思われる場合は無施肥とし、遊休地を利用する場合は牛ふん堆肥2kgを施す程度とします。追肥は生育状況に応じて施します。
2 害虫防除
ハスモンヨトウが発生しますのでアファーム乳剤1,000倍液を散布します。また、オンブバッタも発生しますので手で取り除いておきましょう。
4 収穫
1~2輪咲いた時に株ごと抜き取り、根や下葉を除去し出荷します。生育旺盛で茎太な株になった場合は、慌てて引き抜かずそのまま生育させてもかまいません。直売所では切り花長さ40㎝前後の比較的短い側枝でも受け入れていますので出荷してください。
寒咲系品種(サカタのタネ)の場合、9月下旬播種で12月中旬から、10月上旬播種で12月下旬から1月まで収穫できます。側枝は2月~3月上旬まで収穫できます。