ハボタンの管理 ~矮性ハボタンの花壇作り~
[2017.12.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
長雨と台風で大変でしたが、何とかハボタンが出来ました。これから花壇に植えたいと思います。どんな点に注意したらよろしいですか?
回答
今年の10月は2度の台風襲来と平年の4倍もの雨が降り、ハボタンの苗作りでは大変ご苦労されたかと思います。
季節に応じて姿・形が変化するハボタン。これを愛でることによって、花壇作りの醍醐味がきっと味わえることでしょう。
そこで、今月はハボタンの花壇を作りとその楽しみ方について説明します。
1 植付け時期
12月中に植えるのが最適かと思います。その理由は、① 植え付けた12月の姿を即花壇完成時の姿として表現でき、② 正月の縁起物としても紅白のハボタンが使われるからです。12月中といっても根の活着のことを考えれば、早ければ早いほど良いに越したことはありません。
10、11月に植え付けることも当然可能です。しかし、若苗が思うように生長しなかった場合は、株の間から地面が見えてしまい、みっともない花壇になる恐れがあります。
2 苗の掘り上げ
根を痛めないよう掘り上げることが大切で、根鉢は直径20㎝程度の土の塊となるよう慎重にスコップで掘り上げましょう。花壇に植え付けるその日に掘り上げるのが理想的ですが、事前に掘りあげておく場合は、根が乾燥しないよう新聞紙や米袋などで根鉢を包んでおきましょう。
3 花壇のデザイン
慣れている人は頭の中でデザインを考えておきましょう。不慣れな人は色鉛筆を使って花壇をデザインしてみましょう。
(1) 配色
大きくは3通りのパターンがあります。①紅白それぞれを面として植えるか、②紅白それぞれを線として植えるか、③紅白を交互に点として植えるかのいずれかです。
ハボタンの直径は30~40㎝にもなるので、小さな花壇では③が適していると思います。宝石の輝きに似た雰囲気を醸し出してくれます。
(2) 模様
大きな花壇では、ハート、日の丸、三角などの模様を描くことが出来ます。通常小さな苗を使った模様花壇の作成にはかなり時間がかかります。その点大きなハボタンは、短時間で作成することが出来ます。迫力ある模様花壇はきっと驚きと感動を与えることでしょう。
(3) 配置
ハボタンは切れ葉系、丸葉系、縮緬系などに大別できます。「切れ葉系は自由奔放、力強い、やんちゃ」、「丸葉系は素直、穏やか」、「縮緬系は繊細、優美」などを醸し出し、これらの特性に応じた配置をすると良いでしょう。
その一例としては、見る人から一番遠い所には切れ葉系、最も近い所には縮緬系、その中間に丸葉系を配するのが良いのではないかと思います。特に注意すべきは縮緬系です。「縮緬系は繊細、優美さ」ゆえに遠いところや、切れ葉と丸葉系の間に配置するとその特性を十分発揮できません。より近い所に配した方が優美さを表現できると思います。
4 施肥
元肥として牛ふん堆肥2㎏/m2、苦土石灰100g/m2、IB化成100g/m2を施しておきましょう。
5 植付け
(1) 低温期のハボタンは横方向の生長が止まりますので、植え付け時の大きさ以上にはなりません。植え付けした姿が即花壇完成時の姿となります。したがって、地面が見えないように葉と葉をくっつけて植えるのがコツです(写真1)。
(2) 高低差を付けて植えると良いでしょう。手前は低く、後ろは高くなるように土を盛るか、植える深さで差をつけましょう。また、常に一方向から見る花壇であれば、ハボタンの中心を手前に傾けて植えましょう。
(3) 根鉢を崩さずそっと植えて下さい。
6 管理
(1) 下葉が傷んできたら速やかにかき取りしましょう。
(2) かつては葉の観賞に重きを置いていましたので、立春(2月上旬)を過ぎたら、9月播きの春咲きパンジーやデージーに植えかえていました。観賞期間は2~3か月でした。
(3) 最近は春、ハボタンの葉と花を楽しんでから、5月頃に夏秋咲きのサルビアやマリーゴールドに植え替える方法が広まってきました。とう立ちした独特の姿を観賞することで、観賞期間は5~6か月と延びました(写真2)。
(4) サルビアやマリーゴールドに植え替えせず株をそのまま据え置き、踊りハボタンに仕立てることによって2年、3年と観賞することも出来ます。極めて省力的な花壇作りですが、あまり普及はしていません。
▲写真1 植え付けしたハボタン |
▲写真2 開花したハボタン |