ヒマワリの管理 ~播種・収穫~
[2019.05.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
グリーンセンターはヒマワリの種をたくさん販売していますが、その品種特性について教えてください。また、お盆に直売所へ出荷したいのですがいつごろ種を播けばよろしいですか?
回答
江戸時代、「大和本草(1776年)」という薬用植物事典を著した貝原益軒先生は、その中でヒマワリを「最下品な花」として大変嫌っていました。ところが、現代では、ヒマワリと言えば夏を代表する花として大変な人気です。
現在、9品種の絵袋種子をグリーンセンターで販売しています。購入する際の目安にしてもらうため、2017年にグリーンセンターの花壇を使ってヒマワリの試験栽培を行いました。その結果をお知らせします。また、今月、種を播けばちょうどお盆ごろに出荷出来ますので、是非挑戦してください。
なお、今年販売している品種は2017年当時と若干異なっておりますので、希望品種がない場合は取り寄せることができます。
1 栽培概要
(1) 品種 「F1クラレット」、「黒竜」、「サンスポット」、「F1サンリッチ混合」、「太陽」、「バイカラー混合」、「フロレンザ」、「八重」、「F1サンリッチ混合」
(2) 播種 4~7月の下旬
(3) 定植 播種後およそ15日(本葉2枚時)
(4) 株間 12×12㎝
(5) 施肥 無肥料
2 求められる品質
生花店で求められている品質は、花茎が5~9cmの小輪であることと、茎が細いこと。ラウンド型アレンジに使いやすいことから上向き咲きなどです(日本農業新聞2017年7月17日付け)。
当直売所は全量ホームユース、客層は多様ですので、小輪ばかりでなく存在感のある10cm以上の大輪も出荷して頂きたい。ただし、茎の太さは1㎝を越えるとさすがに使いづらいので、0.7~1㎝程度を目標とします。
3 品種特性
(1) 花色
黒に近い褐色品種もありますが、やはりヒマワリらしい黄色で黒芯品種をメインに栽培していただきたい。なお、「フロレンザ」の発色はやや不安定ですので承知してください。
(2)早晩生と到花日数
4月から7月まで月1回播種して、収穫までに要した日数を平均するとおよそ70日前後となりました(表)。そして、到花日数から「フロレンザ」を早生、「F1クラレット」、「サンスポット」、「F1サンリッチ混合」、「バイカラー」、「八重」などを中生、「黒竜」と「太陽」を晩生と仕分けしました。
また、「F1サンリッチ混合」や「フロレンザ」などは播種時期が変わっても到花日数がほぼ同じであったので、これらを「一定品種群」とし、「黒竜」、「太陽」などその他品種は播種時期が遅くなればなるほど到花日数が短くなったので、これらを「変動品種群」として分類しました(図)。
(3) 茎径
ちょうど0.7cm程度の茎になったのは、「黒竜」、「F1サンリッチ混合」、「フロレンザ」でした(表)。その他の品種は全て1㎝以上の太さとなり、株間を7cm程度の密植にするなりして、より細い茎にする必要があります。
(4) 花径
「フロレンザ」のみが花径7.3cmと小ぶりにできましたが、その他の品種は10~15cmと大きな花になりました(表)。もう1~2cm栽培上の工夫で小さくできれば理想的です。
なお、絵袋の品種名「ひまわり」は、花茎が30㎝にもなりますので、切花用としては使えません。
(5) 花茎長
矮性品種「サンスポット」は75cmまで伸長し、切花用として十分使えることがわかりました(表)。その他の品種はほとんどが1m以上となり、強風で倒伏が心配されるなど管理が大変でした。灌水、施肥などを再検討する必要があります。
4 盆出荷に向けて
5月24日播種した場合の品種別到花日数は、次のとおりです。「F1クラレット」72日、「黒竜」78日、「F1サンリッチ」75日、「太陽」81日、「バイカラー」74日、「フロレンザ」73日、「八重」80日でした。
これらを参考に栽培してみてください。
▲表 ヒマワリの品種特性(2017年) |
▲図 品種・播種日別到花日数のタイプ |