ベリー類の栽培 ブラックベリー・ジューンベリー・マルベリー
[2024.06.01]
●営農技術指導員 須崎静夫●
いずれも果実は傷みやすいので食品売り場では、なかなかお目にかかれません。自然授粉で結実します。成熟した果実を一つずつ丁寧に収穫します。取り遅れると過熟・腐敗してボトっと落ちたり、干からびて固まったりします。出荷するならつやつやっぽいとき、家庭で食べるなら完熟のちょっとしわしわの方が良いかもしれません。珍しすぎると売れ残るかもしれません。POPが命です。
植えつけや整枝剪定は落葉・休眠期に行います。アブラムシ、カイガラムシ、ケムシ、カメムシ類の他、成熟期になるとショウジョウバエや鳥もやって来ます。農薬を使用する際は、使用基準を順守して、使用履歴を記帳してください。
施肥はいずれも発芽前(~3月:元肥)、果実肥大期(5月:追肥)、収穫後(お礼肥)に行います。
実生や挿し木でも増やせます。
●ブラックベリー
葉が全て落ちないことがあります。実が成った枝は、枯れてしまいますが、代わりに、どこからともなく、新しい枝(サッカー:吸枝)が伸びてきます。枯れ枝や強い徒長枝(シュート)、弱い枝を株元から剪除します。遠くから出た枝や横に這って地面に接したところから根っこを生やした枝などを、適当な所へ移植して増やすこともできます。枝が暴れる場合には、垣根仕立てにして、枠や支柱に誘引すると良いです。
5~6月に開花し、7~8月に成熟します。
果実は黒くて丸いイチゴの形です。たくさん取れたら、ジャムにすると良いでしょう。ブラックなのにジャムにすると綺麗に赤くなります。
●ジューンベリー
4月頃、小さな花が咲き、名前より早く5月頃から熟します。自家親和性があり、「ブルーベリー」を小さくしたような赤い実が枝分かれして成ります。鳥害に注意します。
果実というよりは、庭木のイメージで、農薬登録の作物名に名前がありません。
落葉期に不要な枝を間引きます。
●マルベリー
ちょっと高級な名前ですが、クワの実です。街路樹の植え込みや河川敷にも実生苗が勝手に生えてきます。4月に開花して6月に成熟します。雌雄異株・雌雄同株いろいろあり、赤や白色の大きな果実が品種化されています。生葉の青汁や葉っぱを乾燥・粉末にした桑の葉茶もお試しください。
果実生産では果樹・落葉果樹・クワに適用のある農薬が、果実以外(葉っぱ)では、野菜に適用のある農薬が使用できます。
イチジクと同じクワ科なので、カミキリムシ類にも注意してください。
農薬のない、きれいな葉っぱでカイコを飼ったり、繭から糸を紡いだり、細工したりすると、新聞やTVの話題になるかもしれませんね。
●ちょろっと一言●
ブラックベリーは、Webでは悲しいことに、育てて後悔した植物の上位にランクされています。
とげがあるからでしょうか。畑にはびこるからでしょうか。我が家では、かれこれ20年くらい、地植えで、おしとやかに育っています。