モモ・ネクタリンの栽培
[2023.08.01]
完熟くだものには家庭果樹ならではの味わいがあります。1本で実の成る品種を利用したり、花粉が多い他の品種を混植したりします。収穫期に雨が多いと糖度が上がらなかったり、病害が増えたりします。風当たりが強いと、せん孔細菌病や縮葉病が発生します。産地の近くでは、病害虫の発生源にならないように注意してください。モモの生育の悪いところへは、モモを植え直さない方がいいでしょう。忌地による改植障害かもしれません。ネクタリンは、毛のないモモです。新品種、珍しい品種にも挑戦してみませんか。
<年間管理>
・整枝剪定
落葉後からつぼみが膨らむまでに行ないます。徒長枝や内向枝、下垂枝は、もとから外します。主枝、亜主枝の先端は、軽く切り返します。花芽や葉芽、病害を確認しながら行ないましょう。
・摘蕾
花が多いときには、つぼみが膨らんだ頃、基部や先端、上向きのつぼみを落とします。指で挟んで、枝の先からもとの方へこすると落としやすいでしょう。葉芽を落とさないようにします(図1)。
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・人工授粉
短・中花(果)枝を中心に成らせます(図)。多くは自家受粉します。実成りを確実にするため、毛ばたきや梵天(耳かきのワタワタ)で花を軽くなぞるか、摘んだ花から花粉を取って授粉します。「川中島白桃」など、花粉がない品種では、他の花粉で授粉します。
・摘果・袋掛け
予備摘果では、1枝に2~4果、果実が重ならない程度に落とします。不受精果(小さい果実)、変形果、病害虫被害果を落とします。収穫する果実を思い浮かべましょう。
仕上げ摘果では、葉のない所の果実や核割れの原因となる丸い果実(双胚果)を落とします。長さ30cm以上の長果枝なら2・3果、15~30㎝の中果枝なら2果、15㎝未満なら2・3本に1果を目安に、枝にぶつからないような下から横向きの果実を残します(図2)。葉果比なら、この時期25(葉っぱ25枚に果実1個)、収穫時に50~60を目安にします。
その後、5月下旬頃に袋を掛けます(図3)。品種に合わせていろいろあります。
・夏季収穫前剪定・秋季収穫後剪定
徒長枝は早めにもとから外します。なるべく、4月以降の芽かき・摘心・捻枝で対応してください。収穫前には、旺盛な不着果枝や徒長枝を外し、果実肥大、着色向上、次年度の花芽形成を促します。収穫後の8月下旬から9月上旬ころ、樹形を乱す徒長枝を、もとの方20㎝くらい残して外します。この時期の剪定する・しないは、樹勢や考え方次第です。
・着色向上
果頂部にほんのり赤味がさす収穫1週間前ころに、着色の悪い品種では、白色マルチを敷きます。高温期の日焼けに注意してください。
・収穫
品種ごとに知られている収穫期(開花後日数)を参考に、果皮色、やわらかさ、香りなどで判断します。取り遅れに注意してください。少し早めに収穫した時は、しばらく室温に置いておくと、食べごろになります。
・病害虫防除
防除・施肥こよみ(※)を参考にしてください。農薬を使用する際は、農薬使用基準を遵守し、農薬使用履歴を記帳してください。害虫では、アブラムシ類、カイガラムシ類、シンクイムシ類が発生します。病害は予防に、害虫は、発生初期防除が基本です。よく観察してください。
・施肥例
休眠期~発芽前(11月~3月:元肥~芽出し肥)、果実肥大期(5月:追肥)、収穫後(8~9月:お礼肥)に施用します。
(※)防除・施肥こよみについては、お近くの営農生活センターへお問い合わせください。Webからも入手できます。
●ちょろっと一言●
当産地も混住化、高齢化、労力不足で産地衰退の一途です。県農林水産事務所さまのご協力と地元ボランティア・サポーター・パートさんの力を借りて、摘果や袋掛け、収穫、剪定など栽培を応援しています。お近くの方で、興味のある方、賛同される方がいらしたら、広報課までお問い合わせください。このJAサイトの中をいろいろググると、活動報告が掲載されているかもしれません。
モモサポーター制度:
JAとの契約のもと、各自の興味や意気込み程度・技術・労働単価に合わせて、
ボランティア(お手伝い程度・無償)・サポーター(技術習得を目指して研修中・有償)・パート(技術習得すみ・雇用)に分かれ、摘蕾・摘果・袋掛け・収穫などで、モモ農家を支援しています。ゆくゆくは、剪定のお手伝いも目指しています。
●ちょろっと一言②●
種まきに挑戦です。美味しいモモを食べたら、種子をまいてみませんか。翌春、ピョコっと芽が出て、4年くらいで、実が成ります。はじめのうちは小さな果実でも、年を経るごとに、だんだん大きく、甘くなるようなら有望です。管内でも、種苗登録こそされないものの、人知れず、新しいモモも誕生しています。ただし、形質の優れた新品種ができる確率は、1,000分の1あるかないかとも言われています。