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ユリの管理 ユリクビナガハムシ

[2023.06.01]

●営農技術指導員 大澤梅雄●

質問
 2021年に家の近くで栽培していたスカシユリの葉や蕾が食べられてしまいました。変な姿・形をした虫の被害と教えてもらいましたが今年も発生しました。すっかり名前を忘れてしまいましたので、是非もう一度教えてください。

 当地では大変珍しい虫ですが、ここ数年発生を確認しております。今月はこの虫の生態や防除等について説明します。

⦁ 名前 
「ユリクビナガハムシ」といいます(写真1,2)。
2分類
 鞘翅(甲虫)目、ハムシ科に分類される虫で、学名はLilioceris merdigera(Linnacus,1758)と言います。
 ハムシと言えば、夏にキュウリの葉を丸くかじるウリハムシを思い浮かべますが、それと同じ仲間なのです。また、イネではイネドロオイムシ(イネクビボソハムシ)が有名です。
3 分布
 本州、九州、朝鮮半島、台湾、中国、サハリン、シベリア、ヨーロッパ等。
4 虫の生態
 幼虫の体長は0.7㎝程で色は暗褐色ですが、体に自身の黒い糞をまとっているのが最大の特徴です。あたかも葉についた泥と思わせて捕食動物から身を守る術と考えられています(写真1,2)。
 老熟幼虫になると背負っていた糞を外して、葉の基部や土中に潜り、そこで白い繭を作り蛹化します。
 成虫は体長0.8~1㎝、赤褐色の美しい甲虫です。
詳しい生態については不明です。
4 発生状況
 2021年と2023年の5~6月に人家に囲まれた風通しの悪い畑で幼虫の発生を確認しました。
 また、発生した年(2021,2023)と、直近5か年(2018~2022)そして平年(1990~2020)との平均気温(名古屋)を比較してみたところ、3月上旬から4月上旬までの期間では、発生年は平年より2~3℃高く、直近5か年と比較しても1~2℃高くなっていました。
 幼虫発生と気温との確かな因果関係は明らかではありませんが、今後の防除の参考にして下さい。
5 被害状況
 本種はユリ類に害を与える虫として知られています。被害は葉の先端部付近の外縁から、1cm程の不正形食害痕が残り、蕾も食害されます。
6 防除
 3~4月の平均気温が平年より暖かい年には、ユリの食害痕と幼虫の有無をよく観察し、発生を認めたら手で捕殺するのが確実です。 

参考文献
(1)森本桂監修,「新訂原色昆虫大図鑑Ⅱ甲虫」,北隆館,平成19年発行
(2)日本アソシエーツ(kk)編集,「昆虫2.8万 名前大辞典」,2009年発行

▲写真1 ユリの葉を食害するユリクビナガハムシの幼虫(黒い糞をまとう)

▲写真2 糞を少し落とした幼虫と食害葉

▲図 年次別平均気温の推移

                    

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