
ワタの管理 ~播種・定植~
[2016.05.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄
質問
直売所に出荷された花の中で、珍しい切花はありましたか。もしあればその作り方についても教えてください。
回答
ワタです。70cmほどの茎の先に白い綿(コットンボール)がポッ、ポッと付いた様子は花材として大変面白いものでした(写真)。 普段目にすることがありませんので、切り枝のワタ(コットンツリー)は大変珍しがられました。
ワタはキクのように大量に売れるものではありませんが、活花として、あるいは子供の教材として用途があります。是非作って出荷してください。

写真 白色がワタ
1 ワタとは
(1)ハイビスカスやオクラと同じアオイ科の仲間で、ワタ属に分類されています。インドや中南米原産の種子繁殖性宿根草です。ただし、わが国では冬の寒さで枯れるため1年草として扱っています。
(2)日本へは西暦799年、三河国に漂着したインド人が初めて伝えたそうです。ワタと愛知県は大変因縁深いといえます。
(3)花は大変美しいのですが、短命のため切り花としては売れません。
2 栽培
(1)畑の準備
ア アルカリ性土壌を好むので、は種の2週間前に苦土石灰300g/m2を必ず施しておきます。また、多量に肥料を施しますと枝葉ばかり茂り、コッ トンボールが出来ませんので、元肥として鶏糞500g/m2程度を施します。
イ 70~90cm幅の畝を作っておきます。
(2)品種
綿の色は白が一般的ですが、その他にブラウン、グリーン、ホワイト、ブロンズなども販売されています。
(3)は種
発芽適温が25℃と高いので、5月中旬以降に種を播きます。有毛種子の場合は、水を含んだ砂と混ぜ良くもんで毛を落とし、一昼夜水に種を浸けてから播きます。ワタは直根性で移植を嫌いますので、1条の直播きとします。は種間隔は40cm、深さ1cm程度の穴に2~3粒を播きます。発芽後間引きして1本にします。
ワタの生長は最初のうち大変緩慢ですが、7月に入り気温の上昇とともに急速に生長するのが特徴です。
(4)摘心と整枝
30cm程度の草丈になったら摘心を行う。その後、側枝の長さが10~20㎝になったら、株当たり5~6本になるよう整理します。
(5)追肥
7月中旬までに硫酸加里を50g施します。
(6)病害虫防除
ネキリムシやヨトウムシに注意してください。
3 収穫
9月から12月にかけて実(コットンボール)が弾け、中から綿が噴出してきたら収穫します。