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土壌診断結果に基づく施肥・土づくり

[2024.07.01]

●営農技術指導員 須崎静夫●  

●はじめに
 土壌土壌研修会のご提案です。計画的に行う計画を立てましょう。毎年か、せめて3年に1回は土壌診断(土診)を受けて、化学性の傾向を知るとよいでしょう。排水性のような物理性やミミズやセンチュウ・土壌微生物のような生物性も大切です。成分の働きは他の資料を参考にしてください。
●採土時期
  土壌中に肥料成分の一番少なそうな時期の7月下旬から8月上旬頃がおすすめです。基肥や土壌改良資材の施用時期から逆算してもよいでしょう。
●採土~診断依頼
  樹の植えられている園地中央と4隅の計5か所、根の多くありそうな深さ5~15㎝を、円筒形に、等量(100g)ずつ採土します。石や肥料分、雑草や根っこなどの有機物を取り除きながら、均等にかき混ぜて、日陰で軽く乾燥させ、重さを計り(350g)、分析を依頼します。分析依頼票には、栽培者名(例:玄ちゃん)、所在地(鉄塔の横)、作目名を何かひとつ(イチジク・カキ・ナシ・ブドウ・ミカン・モモ・・)のほかに、今後使用する肥料・土壌改良資材名を記入すると、土診結果(処方箋)には、それらの施用量が記載されるかもしれません。記入がないと、成分量での回答となり、結局、訳が分からなくなります。あまり変わった資材は記入しないでください。経済連での診断料は、1園地660円です(R6年)         
 肥料屋さんなら、採土から診断・注文取りまで、全部やってくれるかもしれませんね。
●年間計画
 依頼から処方箋返却まで、約2か月かかります。8月中旬の依頼で、10月中旬に処方箋が返ってきます。処方箋が完璧かご自身で納得されれば、研修会に参加せずとも、それに従ってください。とはいうものの、研修会のお知らせがまだ来ていません。11月頃開催してもらいましょう。
 土診の成分値mg/土壌100gは、単位こそ違え、土壌深さ10㎝に含まれる成分量kg/10aと同じ数字になります。深さ20㎝を改良するには、倍量が必要となりますが、現実的ではありません。経費とか労力を考えると、堆肥以外の1回当たりの資材の施用量合計は200㎏が限界です。
 12月上旬に、基肥・土壌改良資材を施用します。とはいうものの、それまでに、収穫や中耕、剪定、改植があるかもしれませんね。作業順序を決めておきましょう。
 施肥・土づくりは、春先の果樹の根が動く前であれば、少しぐらい遅くなっても気にしません。基肥を速効性の化成肥料に変えて3月施用の体系に変えてもよいでしょう。最近では、休眠期・発芽前の基肥と開花後・果実肥大期の追肥(夏肥)のみで、収穫前後の礼肥を施用しない産地も増えてきました。
 何らかの理由で処方箋がなかなか返って来なかったので、「もうやっちゃいました」という場合、その年の処方箋は、今後の参考にしてください。

▲表1:年間計画表(モモの例)

▲表2:堆肥の施用(土壌分析における腐植含量の現状値は1.5~3.0%、目標値は3.0~5.0%

▲図表:JAあいち経済連の土壌診断処方箋(2024.03.08)

●黄色い部分は診断依頼表に記載した項目が転記されます
●薄緑の部分が分析結果(左枠)とコメント(下欄)、資材施用量の助言(右枠)になります

●施肥・土づくりの実際
 土壌㏗を下げることや多い成分量を減らすことは、容易ではありません。吸収や降雨、流亡により、そのまま下がる・減るのを待つか、中耕や天地返しで、見た目の成分を減らすか、散らします。リン酸の過剰症はあまり出ないので、無視しても良いでしょう。
 土診結果が思わしくなくても、生育・樹性・果実肥大・果実品質等が順調ならば、あまり気にしない方がよいかもしれません。反対に、土診結果は良好なのに生育が悪い場合は、誰かと相談しましょう。化学性以外に、人間性か何か、原因があるかもしれませんね。
 土壌㏗によって、施用する資材の㏗を考慮します。一般に、酸性ならアルカリ性か中性の資材を、アルカリ性土壌なら中性か酸性の資材がよいでしょう。
 成分量が少ない、少なすぎる場合、適した資材を施用します。石灰・苦土・加里の3成分は、5:2:1のバランスが大事といわれています。少なすぎるものを優先して施用します。
●腐植含量
 現状は1.5~3.0%、目標値は3.0~5.0%です。腐植を含むバーク・牛ふん堆肥なら、毎年3t(/10a)施用が標準です。毎年、2%未満や隔年施用の場合には、施用量を2倍まで増やします。
堆肥施用は、微量要素の補給にも役立ちます。堆肥成分を濃縮したような資材も販売されています。上手に利用してください。本格的なら、自分で材料を集めて、堆肥を作りましょう。
●その他
 毎年の肥料・土壌改良資材の使用履歴と土壌診断結果、収量・果実品質・売り上げなどの経済性を分析すると、経営改善につながるかもしれませんね。

●なんちゃって一言:参考になります●
 農林水産省や各県のWebを検索すると、樹種別の施肥基準(施用時期・施用量)や土壌pH・成分の適正範囲などが掲載されています。中には、ご丁寧に10aあたりの植栽本数とか、作業別の労働時間、経済性なんかも記載されていて、大変参考になりますね。

●なんちゃって一言:大変です●
 この原稿を書いていたら、大変なことに気づいてしまいました。○○部会さんの場合、土壌採取が8月ですが、基肥施用が10月で、肥料・土壌改良資材の注文締切が7月なので、もう、何が何やら分かりません。1年先をお見通しということでしょうか。
 今後は8月土壌採取・10月土診結果/処方箋返却・11月研修会開催/資材注文・12月基肥/土壌改良資材施用に変えていただけるかもしれませんね。  

●なんちゃって一言:土壌診断結果を利用した栽培技術の向上●
 施肥は、栽培技術関係の研究員さん・栽培者さんの究極の課題ですね。土壌分析結果と収量・果実品質などの栽培技術とがぴったり一致することはまずなくて、土壌成分は多すぎても良くないし、収量と果実肥大は負の相関だし、土壌分析や葉分析のデータをかき集めて、多変量?解析?しても飛び飛びにしか有意性が有ったり無かったりで、そもそも施肥効果は、1年2年では出てきてはくれませんね。

▲土壌調査準備中です(左から検土杖・ショベル/ものさし・採土管/移植ゴテ)

▲穴掘中です①

▲穴掘中です②

▲土壌調査のフリをする

▲「ひょいっ」 左から砂、礫(れき)、石、岩

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