家庭果樹園をつくろう
[2023.09.01]
はじめに
夢の広がる家庭果樹園。いつも、少しずつ収穫できるように、作目・品種を組み合わせたり、新品種や好きなもの・珍しいものだけ集めたりと、いろいろ楽しみ方があります。種苗法を守って、たくさんの品種を接いだり、垣根・フェンス仕立て・トピアリーにしたり、育種のための実生苗だけの果樹園を造ってもいいかもです(図1・2)。
狩り園・収穫体験を行うなら、鉢植え・低樹高に仕立てたり、販売所や駐車場用地を確保したり、通路などにも余裕を持たましょう。いろいろありでご紹介します。
1 品目・品種の選定
カタログ・Web・好みなどを参考に、品目・品種を決めます。収穫時期・交配親和性・病害虫抵抗性なども考慮します。全ての条件にはなかなかあてはまりません。優先順位をつけてください。
2 栽植感覚・間隔
品種特性(大きくなる・横に広がる・・・など)・使用機械などを参考に、感覚で栽植間隔・通路幅を決めます。棚仕立てのものは1か所に集めましょう。日当たりを考えて、成木時に樹高の低い品種を手前・東・南に、高い品種を奥・西・北に配置します。同じ作目間では、開花や収穫時期も考慮します。育てながら少しずつ広くしていく場合は、結実までの年数も考慮しましょう。イチジク・クリ・ブドウ・モモなら、比較的早く成り始めます(図3)。
南西に入口、通路幅は約2m、南向き斜面
南に低木性、北に高木性、西に常緑、東に落葉果樹
棚は西から、アケビ・キウイフルーツ・ブドウ・ナシ
イチジクは一文字整枝、ブルーベリーは大容量ポットで栽培
また、間伐の有無、整列かランダム植えとか、傾斜地の場合には、乾燥や風に強いか弱いか、落ちても大丈夫か(ヒト・アーモンド・ギンナン・クリ・クルミ)なども頭の片隅に入れておいてください。
さらに、病害虫や雑草の防除に農薬を使用するならば、使用履歴を記帳しておきましょう。
3 品目のおもな特性(◎は部会用、〇は家庭果樹用の防除・施肥こよみがあります)
アケビ:つる性、収穫期間が短い。実が割れたら中身が落ちる。
◎イチジク:樹液でかぶれる。100日間収穫。カミキリムシ類の被害が甚大。
〇ウメ:花も綺麗。いろいろ加工できる。生食できない。
〇温州ミカン:品種が豊富。早生品種なら年内に収穫できる。隔年結果性。
◎カキ:初期生育が遅い。隔年結果しやすい。カイガラムシ・ヘタムシ・イラガが つく。
〇カンキツ類:品種が豊富。隔年結果性。トゲに注意。樹が大きくなる。
〇キウイフルーツ:つる性・棚仕立て。一斉収穫。樹が暴れる。貯蔵・追熟が必要。乾燥に弱い。
ギンナン:結実するまでが長い。収穫が楽。収量が少ない。調製に手間。かぶれやすい。
〇クリ:クリ拾いが人気。樹が大きくなる。イガに注意。
サクランボ:寒地性。暖地桜桃なら何とか栽培できる。鳥害に注意。
〇スモモ:花が咲いても実が成らないことが多いので、混植したり、交配親和性を考慮。
◎ナシ・西洋ナシ:品種が豊富。ビャクシン(貝塚伊吹)があると赤星病に罹る。
ビワ:あまり手間が掛からない。どこにでもありそうだが、ていねいに作ると、大儲けかも。
◎ブドウ:棚仕立て。栽培に手間。花振るいする。成らせ過ぎは着色・糖度不良。
ブラックベリー:果実は傷みやすい。熟期が長く、収穫に手間。枝が暴れる。
ブルーベリー:品種豊富。熟期・樹形バラバラ。収穫に手間。雑草・乾燥・鳥に弱い。狩り人気。
◎モモ:地域の特産。果実は雨に弱い。加工品づくりが楽しめる。病気に注意。ネクタリンも。
〇リンゴ:寒地性。品種が豊富。暖地では赤い品種は着色良くない。カミキリムシ類に弱い。
その他:アーモンド・オリーブ・グミ・クルミ・ザクロ・ジューンベリー・ナツメ・フェイジョア・ペカン・ポポー・マルベリー・ヤマモモ・ラズベリーなどなど、色々あります。
●ちょろっと一言●
我が家で育っている実生苗を紹介しようかい。( )は開花までの期間です。
アケビ(5年)・ウメ(6年)・カンキツ(20年)・ナシ(6年)・ブドウ(4年)・ポポー(5年)・モモ(3年)などなど。グアバ・パイナップル・パパイヤ・マンゴー・ライチなど熱帯果樹は、悲しいかな、冬の寒さで、枯れてしまいます。ゆくゆくは温室を作って、その中に家でも建てましょうか。