庭の管理 ~イシクラゲの防除~
[2021.07.05]
●営農技術指導員 大澤梅雄●
質問
庭を造って20年。その庭に最近黒いワカメのような物がたくさん生えてきました。気持ち悪いので手で取ってはいますが取り切れません。何かいい方法はありませんか。
回答
黒いワカメのような物は「イシクラゲ」と言います。ネンジュモ科ネンジュモ属に属する陸棲藍藻類の一種です。形と名前がまったく一致しないのですが、一説にはキクラゲに似ていることから、「イシクラゲ」と命名されたともいわれています。
かつては食用にも供されていたようですが、水分を含んだイシクラゲは滑りやすく見た目も悪いので、残念ながら駆除の対象になってしまいます。梅雨時になると毎年イシクラゲの相談があります。
さて、イシクラゲ対策の一つとして、食酢の効果について2017年1月に当ホームページで発表しましたが、今回はゼニゴケ退治の除草剤として従来から販売されている「キレダー」という除草剤を紹介します。2019年に適用拡大されて、イシクラゲにも散布できるようになりましたので、実際に散布した効果についてお知らせします。
処理日
2020年7月21日
処理場所
庭
処理方法
処理区は1m2当たり4gの薬を200㎖の水に溶し、水で膨張した状態のイシクラゲに1週間間隔で3回散布。無処理区は水道水を散布。
調査方法
目視により消滅程度を継続的に調査
調査結果
処理時の発生状況を100%(写真1)とすると、8月20日(写真2)20%、11月15日20%、2021年4月3日(写真3)は0%となりました。無処理区は変化なし。
考察
処理後1か月でイシクラゲは変色し、その群体は明らかに少なくなり効果を示したと思われますが、効いたという実感はありませんでした。効果が実感できたのは8か月後でした。
キレダーと食酢との違い
処理面積 効果の発現 匂い
キレダー 大面積向き 250日程度 なし
食酢 小面積向き 5~10日 あり
その他
キレダーは非農耕地用です。農耕地には使えません。
▲写真1 7月21日の発生状況(右:処理区、左:無処理区)
▲写真2 8月20日の発生状況
▲写真3 4月3日の発生状況
参考図書
1 秋山雅彦・千原光雄;「イシクラゲ」、世界大百科事典vol.29、平凡社(2004年)
2 ルース・カッシンガー著、井上勲翻訳;「藻類」、築地書館(2020年)