苗木を植えよう
[2023.10.01]
●はじめに
先代や先々代の植えた果樹苗は、既に老木を過ぎたかもしれません。ご自分で植えられても、こんなはずでは…ということもあります。果樹園を新植する場合の注意点です。
●植付け計画時
時代は低樹高です。傾斜地なら等高線植えが良いでしょう。以下のことを、いろいろ組み合わせて考えます。
①栽植間隔:タテ〇m×ヨコ△mです。だいたい、タテヨコ同じですが、イチジクの一文字整枝、ブドウの平行整枝なら、伸びる方が少し~かなり長くなります。
②正列植え・互の目植え:植え付け時に正列植えとして、間伐時に互の目にする場合が見受けられます。先に永久樹を決めて、空いたところに間伐樹を植える計画とします。タテヨコの本数を奇数にしておくと、機械的に1本おきに間伐できます
③間伐の有無:間伐する計画なら、はじめは少し密植になります。計画上の樹齢よりも、樹の生育状況に合わせましょう。主枝の先端同士が触れ合うようになれば、縮間伐を考えます。間伐するなら収穫直後か剪定時が適期です。
④整枝方法:樹型ともいいます。自然型・開心型・地域型・棚仕立て・垣根仕立て・一文字整枝やジョイント整枝(※)のほか、それぞれを組み合わせた折衷型もあります。樹が立ちやすいとか、横に広がりやすいとかの、本来持っている特性を尊重しましょう。
※ジョイント整枝:棚栽培において、主枝の先端を隣の樹の基部へ接ぐ神奈川県特許の整枝方法。取り入れるためには、許諾料が必要です。主枝から亜主枝を作らずに、側枝、結果母枝、または結果枝を主枝の直角方向に出させます。花や果実が同じようなところに直線状に着くため、剪定や新梢管理・着果管理を効率的に行なうことができるといわれています。
⑤主枝本数:1本なら主幹型や斜立型になります。2本・3本・4本主枝を考えます。上から見ると、一般には、2本主枝は180度、3本主枝は120度、4本主枝は90度、それぞれ角度(間隔)を取ります。園地単位で見ると、2本主枝で主枝の向きを平行に揃える場合と、タテヨコ交互に配置する場合などがあります。3本主枝ならY字の、4本主枝なら十文字とかX字の並び方で色々なパターンになります。
⑥その他:使用する機械、例えばSSを使用するのか、南北植えか東西植えか、密植か疎植かの他、通路なども考慮してください。棚栽培の場合には、棚の高さを考慮します。あまり高いと背の低い人が届きません。低いと背の高い人が困ります。機械が入れないこともあります。
●植え付け時
①切り返す長さ:一般には、生育した長さの3分の2とか、60㎝で切り返しましょうとか書いてあります。発生させたい芽を決めて、葉芽の上で切り返します。
②芽を出す位置:芽が将来の主枝になります。慎重に決めましょう。
③芽を出す向き:園地の地形や傾斜、日当たり状況によっても変わります。2本主枝の場合に、主枝の向きを南北にするか、東西にするかを考慮します。新梢を誘引して、向きを変えるのであれば気にしなくてもよいでしょう。成木時に南に低く北に高いと、日当りを確保できます。
老木を1本切ったら、苗木を2本植えてください(お願い)。
具体的な植え付けについては、2020年10月号をご覧ください。
●ちょろっと一言●
ブドウ樹の枝ぶりを空から眺めると、宇宙人か誰かへのメッセージが見つかるかもしれませんね。ちょろっと可愛く作りましょう。
&PEACE