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11月の果樹だより

[2018.11.01]

●杉山文一営農技術指導員

落葉果樹類(立木)の整枝せん定のポイント

1 整枝せん定の目的

① 良品生産ができるように樹内部まで日射が入る。

② 生産性が高く栽培管理がしやすい樹形を作る。

③ 栽培管理がしやすく、樹内部まで薬剤散布ができる樹形にする。

④ 毎年安定した収量を得るために、主枝・亜主枝・側枝(結果部位)のバランスを良く配置する。

⑤ 生産性が高く、栽培管理がし易い樹形にする。

2 整枝せん定の時期

落葉したら始めますが、何時までに行なうかについては次のとおりです。

① ウメは、1月になると開花が始まるので12月下旬までに行なう。

② スモモは、芽の動きが早いので1月中旬までに行なう。

③ モモは、3月になると花芽が動くので2月上旬までに行なう。

④ カキやクリは、萌芽、展葉が4月上旬になりますので、3月上旬までに終わるようにする。

3 結果習性と結果枝の切り方

結果習性は図1や表1の様に種類によって違い、先端を切除すると着果しない種類もあります。

 

4 基本的な樹形

立木仕立ての整枝法は、図2の様に2か3本を主枝として斜めに立て、各主枝に亜主枝・側枝(結果部位)を配置します。そして、樹全体が二等辺三角形になるようにします。

各枝の強さ(バランス)は、主幹>主枝>亜主枝>側枝>結果枝(結果母枝)の順で均衡のとれた樹冠を構成し、樹冠全体に日射が入るように枝を配置します。

そして、品種特性を重視し、良果生産や栽培管理作業に便利なように樹形をととのえます。

枝の呼び方と特徴は、次のとおりです。

① 樹の骨格を形成する枝

主 幹:地上から最上位の主枝の分岐点までの幹の部分

主 枝:主幹から直接分かれた枝で、亜主枝・側枝・結果枝(結果母枝)を着ける樹の骨格になる枝

亜主枝:主枝から分岐した枝で側枝・結果枝を着け樹形の骨組みになる枝

側 枝:結果部位(結果枝・結果母枝を着ける)を構成する枝

② 結果部を形成する枝と新梢

結果枝(結果母枝):花芽と葉芽が形成され、果実(花)をつける枝

徒長枝:発育枝のうちで、枝の直上から発生した強く長く伸びた新梢

5 枝の切り方

枝の切り方は、図3の様に①切り返しと②間引きの2通りあります。切り返しは、強い新梢が発生し、樹勢を良くします。間引きは、樹を落ち着かせて着果(花)を良くします。

① 切り返しせん定 

枝の途中で切るのが切り返しせん定で、強い新梢を発生させ骨格を作ります。

先端部を強く伸ばして骨格となる枝を育成する場合は、強く切り返します。

結果枝や側枝の先端を弱らせない場合は、先端を切り返します。先端が垂れた枝の勢力を回復したい場合は切り戻しなどを行ないます。

強い新梢が伸び花芽は着きにくくなります。

② 間引きせん定

枝を基部から切るのが間引きせん定で樹勢を落ち着かせます。

樹勢が落ち着き、残った枝に花芽や結果枝が着きやすく、実を生らせるせん定です。

着果を良くするには間引きを主体にし、樹勢が強い場合や、混み合った枝や重なりあった枝を間引きます。

6 せん定のポイント

(1)毎年安定した収量を得るために、側枝と結果枝(結果母枝)を、また着果する部分と新梢を発生させる部分をバランスよく配置します。

(2)樹冠全体に日射が入るように枝を配置し、品質の揃った優良な果実を生産する様にします。また、防除薬剤が全体にかかりやすく、作業のし易い樹形にします。

(3)病害虫に侵された枝や病害虫の巣である枯枝を取り除き、病気や害虫の発生を抑えるようにします。

(4)切除する枝は、①樹幹内部を暗くする内向枝、②主枝から樹内部に曲がった逆行枝、③主枝の裏面の太い枝、④主枝や亜主枝を負かす徒長枝、⑤下部の枝を暗くする被さり枝、⑥主枝・亜主枝から下垂した枝です。

(5)剪定量は、切除した枝・幹の量で30%以内とします。それより多いと、樹勢が乱れるか、衰弱します。

7 核果類(ウメ・スモモ・モモ)の整枝せん定のポイント

(1)幼木・若木のせん定

植えてから3から4年で、主枝を2か3本決めます。そして、各主枝位に亜主枝候補を1本配置します。主枝を負かす枝や樹形を乱す枝は、側枝の形成・日焼け防止・枯れ込みを防ぐために、基部の枝を1か2本残して切除します。

(2)側枝(結果部位)のせん定

側枝(結果部位)は、図4の様に1年目に徒長枝を1/3に強く切り返して強い新梢を発生させます。2年目に発生した強い新梢を切り返して、3年目に中短果枝群を形成させます。

(4)ウ メ

ア 樹の特徴

① 中果枝、短果枝は、優良な花芽が着生し、結実率も高く果実品質も良好です。

② 主幹は立ちにくく、新梢の発生が多く、その伸びが大きい。また、頂部優勢性が強く、先端が伸びやすい。

③ 日陰の結果枝は枯れやすいので、樹全体にどの枝にも光が当たるようにします。

イ 整枝せん定のポイント

① 骨格として強い枝を均等に2本から3本を主枝として立て、各主枝に亜主枝や側枝として横枝をつくります。樹形を乱すと徒長枝や樹冠内部の日当たりを阻害している大きくなった側枝等の不要な枝を切ります。

② 結果枝は、長果枝(30cm以上)、中果枝(5cm以上)、短果枝(5cm以下)ですが、優良な中果枝、短果枝を配置することが重要です。

③ 混んだ枝は間引き、長果枝や徒長枝を1/3切り返すと短果枝が多く着きます。樹勢の弱い樹は切り返しせん定を多くて強い新梢を発生させ、早く結実してほしい若木は間引きせん定を多くして樹勢を落ち着かせます。

④ 若い結果枝や側枝の維持を図り、側枝の切り返しや更新を行います。側枝の先端が下垂して樹勢が衰弱している場合は、基部より発育枝まで切り返して、強い新梢を発生させます。

  ⑤ 太枝を少なくし、樹内部に日光を当てて結果枝を多くし、新梢発生と2から3年枝の確保を図ります。また、結果枝の切り返しを多くし、古くなった結果枝(4年から5年枝以上)は常に更新を図る。

(5)スモモ

ア 樹の特徴

① 幼木期には新梢の伸長が旺盛であり、樹勢も強く樹姿は直立性を示します。

② 樹齢が進んで結果量が増えるのにともなって、樹姿は開張し始め横方向への広がりが大きくなります。

③ 成木期までに樹形を作ります。モモなどのほかの核果類に比べて生産性の高い樹齢は長い。

④ 花芽をつける枝は、長さによって、長果枝、中果枝、短果枝に区別されますが、結実は大多数の品種が短果枝主体で、短果枝に良品果実が結実します。

⑤ 新梢の伸びが旺盛ですので、あまり強い切り替えしをすると、強い新梢は発生し良い花芽が着生しません。樹勢を落ち着かせ、短果枝を多く着生させることが重要です。

イ 整枝せん定のポイント

① 大石早生は枝が直立に発生し、成木になると樹高が高くなるので、若木のうちから骨格枝の添え木による誘引をおこない、低樹高化を図ります。

② ソルダムのような開張性品種は、切り返しせん定を主体にして樹勢の維持を図る。また、主枝や亜主枝の骨格枝は、やや立ち気味に形成を図ります。

③ サンタローザのような直立性の品種は、若木のうちわ間引きせん定主体とします。

④ 太陽や貴陽は、枝が直立に発生するし、樹姿がホウキ状になるので、若木から誘引をおこない、低樹高化にする。枝の発生が多いので、間引きせん定が主体となる。

⑤ 樹冠内部の日当たりを良くするため、樹幹の基からでる新梢は間引き、主枝、亜主枝を外側に向けて斜めに伸ばしながら樹冠を広げます。

(6)モ モ

ア 樹の特徴

① 葉が大きく、若木の時は枝の伸長が旺盛で、多くの副梢が発生します。そのため、枝が過繁茂になり、樹内部を日陰になりやすい。

② 結実は早いが(4年から5年で)、生産性の寿命は短い。

③ 樹姿は、樹齢が経つにしたがい開張してくる。

④ 下枝が強くなる、下部優勢である。特に、若木のうちは、下部の枝が強くなる。

⑤ 日照要求量が高く、日照量が不足すると日陰の枝は枯れやすくなる。

⑥ 切り口の癒合が悪いので、冬季に太い枝を切らない方が良い。太い枝を切る場合は、秋におこなう秋季剪定の時期に基部に近い部分の枝を残して切除した方が良い。

⑦ 太枝は日焼けになりやすい。また、主枝や亜主枝の先端部分が上げあがると、先端部分が枯れ込みやすいので注意する。

イ 整枝せん定のポイント

① 主枝の発生位置は低いほど強勢であるので、第1主枝や第2主枝は、なるべく下の方から弱い枝を選び、主枝間の勢力の均衡をとるようにする。

② モモは基部の枝が強くなり、樹内部が暗くなるので、樹幹の基からでる枝は間引きます。樹冠内部の日当たりを良くするため、樹幹の基からでる新梢は間引き、主枝、亜主枝を外側に向けて斜めに伸ばしながら樹冠を広げます。

③ 亜主枝を下の方から取ると、全体に開きやすくなりますが、少し上の方から取ると、主枝を立たたせえることができます。

  ④ 主枝などの太枝に直射日光が当たると、日焼けを起こすので、背面から発生した小枝などを多めに残します。

  ⑤ 上部の比較的強い枝を長年用いると、上部が長大化して結果部位が上部となるので、作業性を考えて早めに切り返して更新します。

8 カキ(甘ガキ)のせん定のポイント

(1)樹の特徴

① 高木性で、樹が大きくなる性質が強い。

② 頂部優勢性であり、前年に伸長した枝から発生する新梢は先端の芽から発育するものほどもっとも強く伸長する。

③ 陰芽は、発芽能力があり、太枝を強く切り返したり、間引きをして光が良く当たるようになると伸長を始める。

④ 結果習性は結果母枝性であり、今年発生した新梢の上の部分の芽が花芽と葉芽を持った複合芽を形成し、翌年発生した新梢が結果枝となる。

(2)整枝せん定のポイント

① 幼木期から生育が旺盛な場合には、枝の発生角度が狭くなりやすいため、植え付けたあと早期から枝に支柱を添え、枝の角度を広くする誘引をおこなう。

② 結果母枝である新梢の先端を切り返すと、翌春の枝には花芽が減ってしまいます。そのため、樹形や結果部位を作るために伸ばす、主枝や亜主枝や側枝の先端部以外は切り返さないで下さい。

③ 側枝(結果部位)は、図5の様に「果実を生らす結果母枝の部分」と「徒長枝を1/3程度強く切り返して翌年新梢を発生させる部分」を作り、結果部位の形成を図ります。

④ 側枝は、数年経ったら更新します。側枝を若返らせることにより、良果生産が継続されます。

⑤ 開帳性と直立性の中間の品種(太秋、甘秋、太豊等)は、全体に樹が立ち気味になるので亜主枝をひろげるように誘引して樹形を整える。

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