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12月の果樹だより

[2018.12.01]

●杉山文一営農技術指導員

カキ・ウメ・クリのせん定のポイント

1 せん定のポイント

(1)毎年安定した収量を得るために、側枝と結果枝(結果母枝)を、また着果する部分と新梢を発生させる部分をバランスよく配置します。

(2)樹冠全体に日射が入るように枝を配置し、品質の揃った優良な果実を生産する様にします。また、防除薬剤が全体にかかりやすく、作業のし易い樹形にします。

(3)病害虫に侵された枝や病害虫の巣である枯枝を取り除き、病気や害虫の発生を抑えるようにします。

(4)切除する枝は、①樹幹内部を暗くする内向枝、②主枝から樹内部に曲がった逆行枝、③主枝の裏面の太い枝、④主枝や亜主枝を負かす徒長枝、⑤下部の枝を暗くする被さり枝、⑥主枝・亜主枝から下垂した枝です。

(5)剪定量は、切除した枝・幹の量で多くても30%以内とします。それより多いと、樹勢が乱れるか、衰弱します。

(6)せん定時期は落葉したら始められますが、①カキは萌芽が遅いので2月下旬までに、②ウメは開花期が早いので12月下旬までの花芽が動くまでに、③クリ12月~2月ごろで落葉してから萌芽するまでに終わるようにします。

2 カ キ

(1)カキの特徴

① 高木性で、樹が大きくなる性質が強い。

② 頂部優勢性であり、前年に伸長した枝から発生する新梢は先端の芽から発育するものがもっともよく伸長する。

③ 年数を経るごとに新梢伸長は旺盛になり、生育が強すぎて着果しない場合がある。

④ 陰芽は、発芽能力があり、強く切り返すと伸長を始める。

(2)カキのせん定のポイント

カキは、側枝の更新がポイントです。カキは、今年発生した新梢が結果母枝となり、翌年に先端部分から発生した新梢が結果枝となって果実を着けます。

そのため、先端部分を切り返すと果実を着けない新梢が発生します。

(3)カキは先端を切り返さない

新梢先端の2~5芽が花芽となっており、新梢の先端を切り返すと、翌春の枝には花芽が減ってしまうので、主枝や亜主枝の先端以外は切り返さないで下さい

(4)側枝(結果部位)の作り方

カキは、今年発生した新梢(結果母枝)が翌年の結果枝となります。側枝(結果部位)は、図1のように①果実を生らす結果母枝と②徒長枝を1/3程度強く切り返して翌年新梢を発生させる部分を作り、結果部位を形成させます。

側枝は数年経ったら、更新をおこなう。側枝を若返らせることにより、良果生産が継続されます。

 

(5)品種別のせん定のポイント

① 富 有

開帳性であり、枝が垂れ下がりやすいので、定期的に切り返して更新します。枝の伸びも充実も良好であり、長い結果枝を多く残す。

② 太 秋

開帳性と直立性の中間であるが、頂芽優勢であるので富有より樹姿は立ちやすく、強い新梢が発生しやすい。また、樹勢が弱くなると、雄花の着生が多くなる。そのため、側枝の更新を図りながら優良結果母枝の確保を図る。

③ 早 秋

樹勢は強くなく、開帳性である。結果母枝、結果枝ともに20cm程度の短い枝や基部近くから発生した結果枝の結果率が高い傾向がある。そのため、せん定時には短めの結果母枝をやや数多く配置し、先端は軽く先刈りを加えると良い。

④ 松本早生富有

富有より結果母枝を30%程度多く残すが、結果母枝は下垂したものを残すと良い。

⑤ 伊 豆

雌花が多く着くので、結果母枝も2芽以上あれば、先端の1芽は切除する。

3 ウ メ

(1)ウメの特徴

① 短果枝、中果枝に優良な花芽が着生し結実率が高く果実品質も良好です。

② 主幹は立ちにくくて、新梢の発生が多く、その伸びが大きく、また、頂部優勢性が強く、先端に伸びやすい。

③ 日陰の結果枝は枯れやすい。

 

(2)ウメのせん定のポイント

ウメの生産安定を図るには、結果部位である側枝を3年かけて形成するのがポイントです。

(3)切り返しせん定と間引きせん定とをうまく組み合わせる

若い結果枝や側枝の維持を図り、側枝の切り返しや更新を行います。側枝の先端が下垂して樹勢が衰弱している場合は、基部より発育枝まで切り返します。

(4)側枝(結果部位)の作り方

図2の様に、1年目に徒長枝を1/3に強く切り返して強い新梢を発生させます。

2年目に先端の強い新梢を強く切り返し、次に発生した長果枝を弱く切り返します。

3年目に中短果枝群を形成させます。

  

(5)品種のタイプ別せん定のポイント

① 南高タイプ(南高・改良内田・小ウメ類)

成木になると先端が放物線状に下垂しやすいので、必ず直上枝を選び下垂するのを立てなおす必要がある。また、せん定のたびに、枝先ほど短い枝を残す。

② 古城タイプ(古城・白加賀・鶯宿)

立性の側枝群をたくさんつけるので、これを支える主枝・亜主枝は幼木の時からしっかり形成することが重要です。若木の時に骨格形成を主体に考え、発育枝の数を制限(間引く)ぢ、骨格の形成を優先することがポイントです。

4 ク リ

(1)クリの特徴

① 1本の樹に雌花と雄花を別々に着ける。

② 頂部優勢で、先端ほど新梢の伸びが旺盛で、樹冠が外へと拡大する

③ 受光量が少ないと良質の結果枝が得られない。

④ 樹性は、高木性である。

(2)クリのせん定のポイント

クリは若木の時は樹勢が強く、切り返すと強い新梢が発生し樹高が高くなります。

成木になって樹勢が落ち着いたら、更新枝まで切り返し、樹高の切り下げをおこなうのがポイントです。

(3)細かなせん定はしない

樹勢の強い若木は間引きせん定を主にしてかるいせん定とします。老木矢や樹勢の弱い木は、結果母枝の間引きに加えて切り返しせん定をおこないます。

(4)樹高の切り下げの仕方

成木になって樹勢が落ち着いたら、図3のよう更新枝まで切り返し、樹高の切り下げをおこなう。

  

(5)品種別のせん定の注意点

① ぼろたん

樹冠の早期拡大を図るには、骨格となる枝を冬期に切り返すことが必要です。結果母枝の先端を5分の1切り返すと、次年の結果母枝の伸びが良く、成木化が早い。

② 丹 沢

成木になると新梢の伸長が衰えやすいが、樹容積を制限し、的確なせん定をすれば樹勢を健全に維持できる。

③ 伊 吹

枝の分岐が多く、新梢生長が強くても弱くてもよく着果するので、樹勢が衰弱しやすい。そのため、切り返しにより樹勢を強くすることが必要であり、低樹高栽培に適している。

④ 筑 波

豊産性であるので樹勢が衰弱しやすい。そのため、切り返しを中心に樹勢をよくするせん定を心がける。

⑤ 利平ぐり

若木の時までは生育がきわめて旺盛なため、間引きが中心となるが、成木になると着果が多くなって生育が弱ってくるので切り返しが中心となる。

⑥ 銀 寄

幼木から若木のうちは、樹勢が比較的強いのでせん定を弱くして新梢の伸びを押さることが重要です。

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