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12月の果樹だより

[2019.12.01]

●杉山文一営農技術指導員

カキ・クリ・リンゴのせん定のポイント

1 カキとクリの結果習性

カキとクリは、図1の様に本年の新梢(結果母枝)から翌年発生した新梢が結果枝となって果実を生らせます。

本年の新梢の先端部分に花芽と葉芽の混合芽が着くので、本年発生した新梢を途中で切り返すと、花芽を切除するので新梢が発生して花芽形成せず果実が着きません。

2 カ キ

(1)カキの特徴

① 高木性で、樹が大きくなる性質が強い。

② 頂部優勢性であり、前年に伸長した枝から発生する新梢は先端の芽から発育するものがもっともよく伸長します。

③ 年数を経るごとに新梢伸長は旺盛になり、生育が強すぎて着果しない場合があります。

④ 陰芽は、発芽能力があり、強く切り返すと伸長を始めます。

(2)カキのせん定

樹形は、2から3本の主枝を立て、横に亜主枝を1から2本つくります。

せん定は、太い不要な枝を間引き通風を良くします。亜主枝は、図2の様に、先端を小さく、基部を大きくし、重なる側枝や、長い側枝を切り返して二等辺三角形の形にします。

樹形を乱す、樹間の内向きの枝や交差した枝や下枝に被さった枝も切除します。

(3)カキは先端を切り返さない

新梢先端の2~5芽が花芽となっており、新梢の先端を切り返すと、翌春の枝には花芽が減ってしまうので、主枝や亜主枝の先端以外は切り返さないで下さい。

(4)側枝(結果部位)の作り方

カキは、今年発生した新梢(結果母枝)が翌年の結果枝となります。側枝(結果部位)は、図3のように①果実を生らす結果母枝と②徒長枝を1/3程度強く切り返して翌年新梢を発生させる部分を作り、結果部位を形成させます。

側枝は数年経ったら、更新をおこないましょう。側枝を若返らせることにより、良果生産が継続されます。

(5)品種別のせん定のポイント

① 富 有

開帳性であり、枝が垂れ下がりやすいので、定期的に切り返して更新します。枝の伸びも充実も良好であり、長い結果枝を多く残します。

② 太 秋

開帳性と直立性の中間ですが、頂芽優勢なので富有より樹姿が立ちやすく、強い新梢が発生しやすくなります。また、樹勢が弱くなると、雄花の着生が多くなります。そのため、側枝の更新を図りながら優良結果母枝の確保を図りましょう。

③ 早 秋

樹勢は強くなく、開帳性です。結果母枝、結果枝ともに20cm程度の短い枝や基部近くから発生した結果枝の結果率が高い傾向があります。そのため、せん定時には短めの結果母枝をやや数多く配置し、先端は軽く先刈りを加えると良いです。

④ 松本早生富有

富有より結果母枝を30%程度多く残しますが、結果母枝は下垂したものを残すと良いです。

⑤ 伊 豆

雌花が多く着くので、結果母枝も2芽以上あれば、先端の1芽は切除しましょう。

(5)剪定量とせん定時期

切除した枝・幹の量は、多くても30%以内とします。それより多いと、樹勢が乱れるか、衰弱します。

せん定は落葉したら始められますが、萌芽が遅いので2月下旬までに終わらせましょう。

3 ク リ

(1)クリの特徴

① 1本の樹に雌花と雄花を別々に着けます。

② 頂部優勢で、先端ほど新梢の伸びが旺盛で、樹冠が外へと拡大します。

③ 受光量が少ないと良質の結果枝が得られません。

④ 樹性は、高木性です。

(2)クリのせん定のポイント

クリは若木の時は樹勢が強く、切り返すと強い新梢が発生し樹高が高くなります。

成木になって樹勢が落ち着いたら、更新枝まで切り返し、樹高の切り下げをおこなうのがポイントです。

(3)細かなせん定はしない

樹勢の強い若木は間引きせん定を主にしてかるいせん定とします。老木矢や樹勢の弱い木は、結果母枝の間引きに加えて切り返しせん定をおこないます。

(4)樹高の切り下げの仕方

クリは若木の時は樹勢が強く、切り返すと強い新梢が発生します。

成木になって樹勢が落ち着いたら、図4の様に更新枝まで切り返し、樹高を切り下げます。樹形は台形にします。

(5)品種別のせん定の注意点

① ぼろたん

樹冠の早期拡大を図るには、骨格となる枝を冬期に切り返すことが必要です。結果母枝の先端を5分の1切り返すと、次年の結果母枝の伸びが良く、成木化が早くなります。

② 丹 沢

成木になると新梢の伸長が衰えやすいが、樹容積を制限し、的確なせん定をすれば樹勢を健全に維持できます。

③ 伊 吹

枝の分岐が多く、新梢生長が強くても弱くてもよく着果するので、樹勢が衰弱しやすいです。そのため、切り返しにより樹勢を強くすることが必要となり、低樹高栽培に適しています。

④ 筑 波

豊産性なので樹勢が衰弱しやすいです。そのため、切り返しを中心に樹勢をよくするせん定を心がけましょう。

⑤ 利平ぐり

若木の時までは生育がきわめて旺盛なため、間引きが中心となりますが、成木になると着果が多くなって生育が弱ってくるので切り返しが中心となります。

⑥ 銀 寄

幼木から若木のうちは、樹勢が比較的強いのでせん定を弱くして新梢の伸びを押さることが重要です。

 

(5)剪定量とせん定時期

切除した枝・幹の量は、多くても30%以内とします。それより多いと、樹勢が乱れるか、衰弱します。

せん定は、落葉したら始められますが、クリは12月~2月頃がせん定時期で落葉してから萌芽するまでに終わるようにしましょう。

4 リンゴわい化栽培のせん定

家庭果樹では、リンゴはわい化栽培を行います。

① わい化栽培の成木の樹形は、図5のように主幹を真っすぐに立て全体を三角形にします。若木の時に横枝を添え木して誘引し側枝をつくります。

② りんごは、新梢の先端の頂芽に花芽が形成され、果実がつく結果枝となるので切り返さないで下さい。

③ 定植時には、苗木を地上より85~100cmで切り返すことが必要です。主幹より細かい枝を発生さることが重要で、側枝をつくります。

④ 若木の時は、主幹を強めるために太い側枝の間引きを行って側枝数を制限します。

⑤ 成木になると、高品質果実を多収するために必要な樹間内への光を取り入れと、適度の枝の伸長が確保できるような、樹勢と樹形を維持します。側枝の背面から直立した新梢が発生したら夏季せん定によって除去します。

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