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3月の果樹だより

[2017.03.01]

●杉山文一営農技術指導員

柑橘類の整枝せん定のポイント

 尾張中央農協管内では、グリーンセンターでの産地直売や遊休地利用での楽しみで多くのミカン類が栽培されています。地域によって剪定の程度が違います。今回は管内の栽培者を対象とした整枝・せん定について解説いたします。温州みかんと中晩柑類の整枝せん定のポイントは次のとおりです。

1 温州みかんの整枝せん定のポイント

(1)せん定の目的
 せん定は、樹冠内部まで日射が入って果実品質を向上させることと、薬剤の付着効率を高めて病害虫の発生を少なくすることと、毎年果実が安定的に着果することを目的に行います。

(2)結果習性について
 「前年に伸びた枝を切り戻すと新梢が伸びて果実をつけません。」前年の春や夏に伸びた新梢を、途中で切り戻さないで下さい。
果実の着き方は、結果母枝性と言って、前年に伸びた枝の先端部から、今年の春に伸びた新梢に花が咲き、果実をつけます。

(3)せん定の時期
 ミカンのせん定は、2月中下旬からできますが、日中暖かくなった3月上旬頃からおこないます。常緑果樹で年間葉があり、亜熱帯原産で寒さに弱い果樹です。寒い時期にせん定すると寒風が樹幹内部まで通り、寒波が原因で落葉し樹勢が弱る原因となります。葉が多くあるほうが寒さに耐えることができます。

(4)基本的な樹形
 ミカン類の樹形は、開心自然形がおもな仕立て方です。主枝は3本とし、各主枝に亜主枝を1本配置します。主枝と亜主枝に側枝を配置し樹全体と各枝が図1の様に二等辺三角形になるように整枝します。そして、樹間内や結果部位に日射が入るようにします。

(5)せん定の基本
 樹形を整え、樹間内部や結果部位に光が入るような樹形作ります。そして、翌年の生り枝である結果母枝(新梢の発生)の確保をおこないます。図1のように、重なり枝、強い立ち枝、樹間内部に向いている不要な枝を切除します。

図1 温州みかんの整枝せん定後のイメージ

(6)枝の切り方の基本
 せん定の対象の枝は、①かぶさり枝である強い立ち枝で基部から切り取って、下部に日射が入るようにします。また、②今年果実が生った部分を切り戻して、側枝を切り替えます。切る枝として、③徒長枝、④平行枝、⑤逆行枝、⑥交差した枝、⑦下垂枝を除きます。せん定量は品種にもよるが、樹全体の20~30%程度としてください。
 剪定は毎年おこなった方がよく、混んだところや、被さった枝を3~4ヵ所切除するだけでも効果があります。
 樹高を下げる場合は、主枝の途中で切り返すと強い新梢が発生するので、比較的強い枝のあるところで切り返す。

(7)結果部位の作り方
 ミカン類の果実のつき方は、結果母枝性と言って、前年枝の先端から今年の春に伸びた新梢に花が咲き、果実をつけます。
 せん定は、図2の様に切り返して結果部位を更新する方法と下枝に光が入る様に立っている枝を間引く方法とがあります。果実に光が当たるようにしてください。果実を着けた枝を中心に切り返すと、内部まで光が良く入り結果母枝となる新梢の発生が良くなります。この切り返した部分の枝を予備枝と言います。
 せん定の対象は、予備枝で果実をつけた枝を中心に切除しますが、枝が混んでいる部分は、結果母枝も切除します。

図2 結果部位の切り方(模式図

(8)強い枝と弱い枝のせん定の違い
 枝の直径が同じなら、水平の枝に対しての角度が大きいほど強い枝になる。角度が同じなら、枝の直径が大きく長く伸びた枝ほど強くなる。図3の様に、強い枝は元から間引くが、弱い枝は、先端部分を切り返すか弱い枝を切り返す。

(9)花の多少とせん定の違い
 花が多い樹の場合は、発育枝を出す目的で混んだところを中心に切り返しせん定をおこなう。
 花が少ない樹の場合は、昨年の生り枝である果こう枝が多く結果母枝が少ない。そのため、強いせん定ができず、生り枝を中心に間引きせん定が主体となる。
 全体として、図4の様なせん定となる。

図3&図4

(10)枯れ枝の除去
 枯れ枝は、病原菌やダニ等の害虫の越冬場所となります。特に、枯れ枝は黒点病の病原菌の巣になります。せん定時には、綺麗に除去します。

(11)品種ごとのせん定のポイント
①日南1号
 幼木は、樹勢が強く、分枝角度が狭いため、直立型の樹姿となりやすい。そのため、主枝先端の切り返しおよび分枝角度の狭い枝を主体に間引きをせん定を行い、外周への樹冠の拡大を図る。

②宮川早生
 樹勢はやや弱いが、枝は直立性で密生しやすい。密植は避けて、樹冠に凸凹を作り、樹冠の内部まで光が十分に当たるようにする。

③興津早生
 樹勢が旺盛で、若木のうちは枝が立ちやすい。そのため、若木のうちは、できるだけ切り返しはぜず、間引きを主体にして樹を落ち着かせる。

④石地
 枝と枝との分岐角度は狭く、直立ぎみに発生する。結実すると樹勢が低下したり、ほうき状に枝が発生すると樹冠内部が枯れ込みやすいので、樹勢が低下したら切り返し中心のせん定をおこなう。

⑤青島温州
 樹勢が強く、枝がよく伸び、節間が長く、下枝の枯れこみが少ない。間引き剪定が主体となり、切り返し程度は軽くする。

2 中晩柑類の整枝せん定のポイント

 基本的な整枝法とせん定方法は、温州みかんと同じです。しかし、中晩柑類は樹冠内部に光が入らないと内部の枝が枯れやすく、また外層に良品果実が多く生ります。品質優良な大玉果を生産するために、充実した良好な新梢を発生させ、有葉花を確保することが必要です。品種毎にせん定のポイントが違いますので、表を参考にして下さい。

表 主要中晩生柑橘類のせん定のポイント

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