8月の果樹だより
[2019.08.01]
●杉山文一営農技術指導員
<硬核類(ウメ・モモ・スモモ)の秋季せん定とブドウ・ナシの収穫及び礼肥について>
1 ウメ・モモ・スモモの秋季せん定
初秋に樹幹内部の徒長枝を切除しないで冬季せん定をおこなうと、繁茂した枝葉により周囲の結果枝の日当りが悪くなり、充実不良の結果枝となります。また、徒長枝を切除しないと貯えた養分で枝が太り、冬季せん定が強くなります。冬季せん定が強くなると、冬季の低温の影響による枯れこみの原因となり樹勢低下となります。
秋せん定(新梢切除)の目的は、樹幹内部まで光が入る様にし、貯蔵養分の蓄積と花芽充実を図るためです。
時期は、モモとスモモが9月上中旬におこないます。ウメは、7月上中旬におこないますが、作業が遅れている場合は、9月中旬までにおこなえば効果があります。
切除する新梢は、樹幹基部、主枝・亜主枝・側枝の基部の強い徒長枝で20cm程度残して切除します。また、不要な太い枝の切除は、9月中旬頃が良い時期です。
方法は、若木の例を図に示しましたので参考にしてください。
2 ブドウ・ナシの収穫時の注意点
ブドウとナシは、8月中旬から9月下旬にかけての比較的涼しくなった時期に収穫します。しかし、日中はまだまだ暑く、高温時の収穫は品質低下の原因になるので日中の収穫は避けた方がよいと思います。
収穫については、表を参考にしてください。
3 落葉果樹類の礼肥
品質の良い果実を収穫するには、収穫期までにある程度肥効が落ち、6月中下旬には新梢の伸びがほぼ止まっているのが望ましい状態です。いつまでも、伸びている状態ではチッソ成分がいつまでも効いている状態で、品質低下の原因となります。そのため、成熟期になると、貯蔵養分の消耗が大きくなります。
収穫が終わり樹勢の回復と翌年への貯蔵養分が十分に蓄積させることを目的に、礼肥を施用します。
礼肥は、収穫が終わった9月上中旬の施用が一般的ですが、収穫の早いウメは7月中下旬に、収穫の遅いカキは、10月中下旬です。
施肥は、速効性の化成肥料を10a当たり20kg程度施用します。