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9月の果樹だより

[2017.09.01]

●杉山文一営農技術指導員

柑橘類と硬核類(モモ・スモモ・ウメ)の新梢管理とカキの収穫の注意点

 

1 柑橘類の夏秋梢の処理

 夏秋梢は樹勢の強い樹や生長のバランスが崩れた着果不良の樹に多く発生します。夏秋梢をそのままにしておくと、養分が不要な新梢の充実に浪費してしまいます。また、切除すると、翌年の結果母枝に養分が転用して充実が図れます。

 春枝が伸長した後に、7月から8月に夏枝が、9月に秋枝が発生します。着果が少ないと強い枝が多く発生します。夏枝・秋枝は不要な新梢です。図1を参考に切除してください。

 切除する時期は、9月中旬から10月上旬です。

 切除位置は、春枝と夏枝の境のこぶ状の輪状芽の上のところです。春枝と夏枝の境のこぶ状の輪状芽の上のところで切除すると、予備枝として利用でき、翌春に輪状芽から多数の春枝が発生します。この春枝が充実すると結果母枝になります。

 

2 硬核類(モモ・スモモ・ウメ)の秋期の新梢管理(秋期せん定)

(1)目 的

 秋期におこなう新梢の切除は、樹体の光環境を改善して、貯蔵養分の蓄積と花芽の充実を図ることを目的としています。また、①冬期の本せん定を軽労化し、若木や幼木では樹形(骨格)の維持・形成に有効です。そして、②不要枝が太りすぎないうちにせん除するために、切り口が小さく、癒合が良好です。③葉が茂った時期に行なうために、枝の受光状態が把握でき、光が樹幹内部まで入るため、枝や花芽が充実します。

 また、④秋期に不要な枝を除去すると、冬期せん定が、強せん定にならず、樹形を乱しません。

(2)時 期

 時期は、モモとスモモは新梢伸長が停止し、二次伸長をしなくなる9月上旬から下旬におこないます。また、ウメは収穫後の7月におこないます。

(3)方 法

 若木の方法を、図2に示しましたので参考にして行ってください。

 切除する新梢は、樹幹基部、主枝・亜主枝・側枝の基部及び背面の強い徒長枝を日焼け防止の為、数枚残して切除します。

 また、不要な太い枝を切除するのは、9月中旬が良い時期です。また、更新の必要な太枝は、秋期にせん定時に基部の部分に1側枝を残して切除します。そして、亜主枝候補を5年生ぐらいまでに決めます。

 新梢の除去は、樹幹基部や主枝・亜主枝の基部を中心とし、主枝や亜主枝の先端部分は切らないようにします。モモは、先端部分の新梢を切り過ぎると樹全体が衰弱しますので注意して下さい。

 また、過多の切除は、樹勢低下の原因になりますので注意が必要です。

 5年樹(幼木)までは、骨格を形成する重要時期です。秋期せん定時に主枝の確立と亜主枝候補の配置をおこないます。冬期せん定で、整枝を目的に太い枝を多く切除すると冬季の低温で胴枯れが原因で枯れ込むことがありますので注意して下さい。冬季に、整枝を目的に強せん定をおこなうことは、枯れ込みの原因になりますので、注意して下さい。

 切除する枝は、主枝や亜主枝を負かし、背面から発生している、樹形を乱す強い徒長枝です。残すと、主枝・亜主枝が負けてしまい、樹形が乱れます。側枝や結果枝の細かいせん定は、冬期の本せん定でおこないます。秋期に枝を除去しすぎると樹勢低下の原因となります。

 

3 カキの収穫の注意点

 果実の熟期は、甘味、硬さ、着色、大きさで判断します。

 成熟は、果実の着色との相関が高いので、十分に着色してから収穫すると甘さが増します。成熟の度合いは果皮色との相関が高いため、収穫適期の目安となるカラーチャートを利用します。カラーチャート値が高いほど糖度も高くなります。

 品種別の収穫のポイントは次のとおりです。

(1)西村早生

① 収穫時期

 9月下旬~10月上旬

② 収穫のポイント

 種なし果は渋いので注意し、十分に着色してから収穫します。まだ、緑が残っている時期の9月上中旬の早期収穫は、渋い果実が多く発生します。

(2)早 秋

① 収穫時期

 9月下旬~10月上旬

② 収穫のポイント

 収穫初期に樹上で軟化が発生しやすいので注意が必要です。収穫は、全体が赤く着色したら早めに収穫して下さい。

(3)甘 秋

① 収穫時期

 10月中下旬

② 収穫のポイント

 ヘタの部分で青い部分が多いと食味が悪いので、果実全体が赤く着色してから収穫します。

(4)貴 秋

① 収穫時期

 10月下旬~11月上旬

② 収穫のポイント

 全体に赤く着色してから収穫します。すぐ食べるのでなく、数日置いておくと食味が良くなります。

(5)太 秋

① 収穫時期

 10月下旬~11月上旬

② 収穫のポイント

 緑が抜けたら収穫適期で、食味にシャキシャキ感があります。赤味が増してくると、甘味が増してくるが、果面に条紋の発生が多くなります。果面に条紋は、太秋の特徴です。

(6)次 郎

① 収穫時期

 11月上旬~11月下旬

② 収穫のポイント

 十分に着色してから収穫すると甘味が増しますが、収穫後の果実の軟化が早いので、着色後少し早めに収穫すると日持ち性はよくなります。

(7)富 有

① 収穫時期

 11月中旬~12月上旬

② 収穫のポイント

 十分に色づくまで待って収穫するとそれだけ果実も大玉になり、果色が一進むと一階級大きくなる。

 

4 果実の着色

(1)秋の温度と着色

 カキの果実の特徴は色にあります。果実の朱色は東洋的で哀愁を感じさせます。

 カキの色は、柑橘類やバナナと同じカロチノイド系色素によるもので、朱色にはリコピンという成分が関与しています。カキの朱色が濃い品種ほど、リコピンの含有量が多いのが特徴です。このリコピンは20℃前後で発現が高まり、ちょうど秋の気温がこのくらいの温度です。また、きれいな朱色を出すためには、緑色(クロロフィル)が抜けることが必要で、秋になり気温の低下にともないクロロフィルが分解され、実の色は美しい朱色へと変化していきます(図3)。

(2)果実の大きさと着色

 また果色は、大玉果になるほど赤くなることが認められている。幼果の発育がよく、果実の肥大初期から果実への光合成産物の移行・集積がさかんにおこなわれると、果実が大玉になるだけでなく果色の発現も早くなるためと考えられる。

(3)チッ素成分と着色

 収穫期までチッ素成分が効いていると、樹勢が旺盛になり、葉緑素が残って着色に影響する。 

(4)着色向上対策

 カキの着色向上を目的とした植物成長調節剤として、フィガロン乳剤とエスレル10が農薬登録されている。また、環状剥皮や針金等の結束処理、シートマルチも有効である。

 

 

 

 

 

 
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