くだもの直売所をつくっちゃおう

［2025.01.01］

●営農技術指導員　須崎静夫●　

●はじめに

　個人直売所を開設してみませんか。あなたが社長です。投資が少なければ傷も浅くすむかもしれません。「共同経営は、いざこざのもと、やめましょう」とか、「パートナーがいると安心です」という相談の答えをよく見ます。広報誌やタウン誌・産地/直売所マップなど、掲載の機会があれば積極的に参加しましょう。

●立地

　自宅・園地か出荷調製場近くの自家所有地が適します。新規参入や借地なら、まずは信用・人柄で、物件あれば要検討です。見通し良くて車の出入りしやすいのが良いでしょう。路上駐車は合法でも、近所迷惑で通報されるかもしれませんね。

　スーパーの近くなら、ついでに寄ってもらう作戦もありです。喫茶店やコンビニのオーナーさんなら、店内とか駐車場でも良いでしょう。移動販売車とかキッチンカー、参加者を募っての軽トラ市とか、近場のマルシェ・朝市・フリマへの出店でも販売できます。

●施設・建物

　初めからガッツリやるか、試行錯誤しながら改善していきましょう。昔ながらのリンゴ箱一つとか、コンテナに板１枚とか軽トラの荷台とか、コンテナハウスとかＪＲ貨物コンテナとか手造りもありですが、農地法とか、建築基準法か何か規制があるかも知れませんね。

●規模

　生産・販売量と労働力次第です。イチジクやブドウ・モモのような朝採り販売なら、最盛期はちょっとしんどくなります。パートさんをお願いすると労務管理に頭や気を使いますが、人を使って儲ける・楽することを考えましょう。無人販売も、お金を空き缶に入れてもらう、ほんとの無人販売から、カメラやＩＣチップを埋め込んだコンビニ方式までいろいろです。朝採りも、当日と前日があります。

●開催日・品目数

　年中無休・毎日から年1回まであります。生産物がなければ始まりません。年1回でも魅力あれば話題になります。FM 、GCの近くなら、午後から開店とか、定休日とかが狙い目です。

軌道に乗れば、作目・品種のほかにも、ジャム・ジュース・ジェラートなどの日持ちの良い加工品を増やしましょう。加工品の販売には保健所の許可がいります。

●販売方法

　早朝から行列、整理券、予約販売、抽選、ネット販売とかいろいろあります。待ち時間や人の流れ・動線が短い方法を考えてください。とはいうものの、お客さんが少ないと、一見さんには入りにくいみたいです。メルカリ、インスタなどのSNSも利用しましょう。

●ロゴ・デザイン

　オリジナル品種や独自ブランドがあるといろいろなことができます。ロゴは法被、看板、幟、広告、箱、シールなどに大活躍です。アートにも挑戦、クリエイターかだれかに、デザインをお願いしてもいいでしょう。

●販売戦略

　売れる工夫です。愛想・笑顔と試食・おまけでしょうね。周辺の草刈りやごみ拾いなどの環境整備にも心がけてください。可愛い花が植えられていると心が和みます。変わったオブジェ・非売品で人目を惹きましょう。花屋さんで果物や小洒落たアクセサリーやハンドメイド品が売られたり、果物屋さんで花が売られたり、本屋さんでコーヒーが飲めたりしています。フリマで新しい仲間が見つかるかもしれませんね。

●おまけ

　最近、冷凍の自動販売機が流行しています。カットフルーツやお手製ケーキ・ジェラートなんかいかがでしょうか。売れ行きや電気代とも相談です。無料で始められる自販機もあるみたいですが、どこかに罠があるかもしれません。よ～く考えましょう。

●ちょろっと一言●

　最近は、意識深い系の方が増えてきました。生産履歴の記帳はもちろん、みどり認定、GAＰや有機などの取り組みや残留農薬検査結果の提示などもあるといいですね。

●ちょろっと一言：宅配料金の話●

　カンガルー・クロネコ・コアラ・ペリカンとか、宅〇便とかKとかQとか、呼び名がいろいろあって、なかには登録商標もあります。会社によって料金が微妙に異なり、県内ならこっち、北海道ならあっちの方が安いとか、送る重さによっても変わってくるので、「一つの会社にまとめきれません」ということです。一つの会社にしてしまうと、競争原理が働かないこともあるそうです。

●ちょろっと一言：500円のはなし①●

　無人販売所では、お釣りが出せませんね。1袋300円のミカンを1つ買いたいのに、500円玉1個しかないときに、2つは買えません。太っ腹なら「お釣りはいらねえ、取っとけ」ですが、300円のミカンの袋の中に100円玉2つ入って500円で売られていれば、買うことができますね。

●ちょろっと一言：500円のはなし②●

　今は昔、時給500円のころ、交通量調査というバイトがありました。右から来る人、左から来る車、などなど、訳も分からず、数取器をカチカチしていました。人の流れて行くところへお店を出すための調査なのかもしれませんね。今から思うと、人が集まりそうなところへ店を出すよりも、人が集まるような店を作ってよ、ってことでしょうか。

▲直売所タテ看板

▲直売所ヨコ看板

▲軽トラ市

▲直売所マップ

▲図：仲良く販売、無人販売所に人がいたらびっくり！(はんばいしょ　か、はんばいじょか、よくわからないので、濁点を1つにしてあります)

▲図：無人販売所に人がいたらびっくり！２

▲図：無人販売所に人がいたらびっくり！３

▲直売ガールズ：Ｎo　ＦＲＵＩＴ　Ｎo　ＬＩＦＥ：果物なしでは生きてけない

●ちょろっと一言：マルシェ・朝市●

　名古屋栄オアシス２１や東別院、農協の各支店などでは、定期・不定期にマルシェとか朝市、トラック市が開かれています。青果物はあまり棚持ちがよろしくないので、ジャムやドライフルーツ・ジュースなどの加工品があると、売れ残った時にも、なにかと助かります。

●ちょろっと一言：中央自動車道に愛知県3番目のハイウェイオアシス「小牧オアシス」もうすぐ…？●　

　3番目と言われても、伊勢湾岸自動車道のPA（パーキング・エリア）「刈谷ハイウェイオアシス」しか浮かんできませんが、もう一つは、豊田市にある東海環状自動車道の「鞍ヶ池PA」です。道の駅やPAとの区別もわかりにくいですが、「地道からも入れる高速道路のPAにある道の駅」でしょうか。

「刈谷ハイウェイオアシス」のほんとの目当ては観覧車のようですが、産直施設も入っていて、なかなか盛況のようです。「小牧オアシス」はいつ頃完成するのでしょうか。

●ちょろっと一言：販売の工夫：オブジェ●

　ぶどう屋さんなら、紫・緑・ちょっと薄い赤・黄色など、ぶどう色の風船とかビーチボールをくっつけて、房を作ります。りんご屋さんなら赤・桃色・黄色・薄い緑で、もも屋さんなら赤（日川白鳳）・桃色（白鳳）・黄色（黄金桃）・薄い黄色に、まだら模様とか、縫合線、果頂部のへこみ・とんがりをそれらしくできるでしょうか。発泡スチロール＆カラースプレーとか、針金細工＆色付きの果実袋で挑戦です。