ヒマワリの管理 ～4月播種～
［2020.04.01］
●営農技術指導員 大澤梅雄●
質問
7月に産直で売りたいのですが、いつごろ種を播けばよいでしょうか。
回答
4月に種を播けば最も需要の多い7月に収穫できます。しかし、早播きのヒマワリはどうしても花茎が長くなるので、強風による倒伏対策をしっかりと施してください。
１ 栽培
品種
「F1クラレット」、「黒竜」、「サンスポット」、「F1サンリッチ混合」、「太陽」、「バイカラー混合」、「フロレンザ」、「八重」などの品種があり、グリーンセンターで販売していますが「F1サンリッチ」は取り寄せとなります。
（1）品種特性
4月に播種したヒマワリの切り花品質を以下にまとめてみました。
⦁ 花茎の長さによって3タイプに分類できます。長茎品種：花茎長が2m前後まで伸長する品種で「クラレット」、「黒竜」、「太陽」、「バイカラー」、「八重」など。中茎品種：花茎長が1.5m程度の品種「サンリッチ」。短茎品種：花茎長が概ね1m以内の「サンスポット」、「フロレンザ」など（写真、表）。
▲長大になった4月播種ヒマワリ
「サンスポット」は花壇用の矮性品種ですが、産直用の切り花品種としても利用できます。
⦁ 花茎長は4月に播種したヒマワリが最も長くなります（図）。
⦁ 花径は8～15㎝、茎径は0.7～1.7㎝（弁先から下60㎝）などと大きく、太くなるのが特徴です(図)。
⦁ 多くの小売店は大輪より小輪（花径7～9㎝）、太い茎よりも細い茎が使いやすいという評価をしています（＊）。産直出荷ではこれにとらわれる必要はありませんが、大輪で茎太な花は活けるのが難しいのは確かです。
▲図 播種時期と花茎長の関係
（2）播種
⦁ 7月収穫をねらうならば、4月下旬に播種すると良いでしょう。
⦁ ヒマワリの種は大きいので128穴のセルトレーに1粒／穴ずつ播きます。播種後およそ7日で発芽します。
⦁ どの品種も発芽率は80％以上で、非常によく生えます。ただし、八重咲の発芽率は若干低くて70％程度です。
（3）定植
⦁ 本葉が2枚（播種後およそ15日）になったら植え時です。
⦁ フラワーネット（目合い20㎝）2段を植え床にまとめて直に展張し、升目にあわせて植え付けます。
（4）株間
⦁ 細くしなやかな切り花に仕上げたいので、10㎝×10㎝×4～6条の密植とします。
（5）施肥
⦁ 苦土石灰で土壌酸度を弱酸性に矯正しておきます。
⦁ 畜糞堆肥や窒素を含んだ肥料は施さず、リン酸とカリウムを中心に施します。
（6）下葉かき
⦁ 草丈が70㎝程度になったら、地際から1/3くらいの下葉をかき取ります。以後生長に応じて随時かき取ってください。生育抑制と病害虫防止効果があります。
（7）その他
⦁ 定植後活着したら極力潅水は控えましょう。
⦁ 倒伏しないよう生育に応じてフラワーネットを上げていきます。
（8）収穫
⦁ すべての花弁（舌状花）が開いてから収穫します。
⦁ 収穫した切り花は上位葉2枚を残して葉を取り除き、直売所へ出荷してください。
⦁ 7月上旬に収穫できるのは「サンスポット」、「サンリッチ」、「バイカラー」、「フロレンザ」などの4品種。中旬は「クラレット」、「八重」などの2品種。下旬は「黒竜」、「太陽」などの2品種です（表）。
⦁ 播種から収穫までの所要日数は、70日タイプが「サンスポット」、「サンリッチ」、「バイカラー」、90日タイプが概ね「クラレット」、「黒竜」、「太陽」、「八重」に分類できます。作付け計画の参考にしてください（表）。
▲表 品種別の収穫時期と品質
２ 害虫防除
ブタクサハムシ
⦁ 葉に5mm程度の穴を見つけたら、葉の裏表を観察してください。黄褐色をした体長4mmの成虫がいます。5月に飛来し秋まで被害が続きます。
⦁ 本種に対する登録農薬はありませんので、見つけたら捕殺するか、ヒマワリのタバコガに登録のあるオルトラン水和剤で同時防除を行ってください。
アワダチソウグンバイ
⦁ ハダニの被害に似た黄白色症状が表れたら葉裏を観察してください。体長3mmの軍配に似た成虫が動いているはずです。本種に対する登録農薬はありませんので、発生を認めたら速やかに葉をかきとり袋に入れて焼却しましょう。
出典
三宅映未；「ヒマワリ人気の訳」,日本農業新聞, 2017年7月17日
