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ブドウ「巨峰」種あり栽培

[2023.05.01]

 ●営農技術指導員 須崎静夫●   

 家庭果樹では、棚はもちろん、フェンスに結わえたり、ガレージの上とか横での栽培でしょうか。経済栽培でも、食味へのこだわり・作期分散・輸送の安定性などから、種ありもありありのありです。
花振るいすると、実がバラバラにしかついてくれません。施肥をやや控え、結果母枝を長めに残し、春の芽かきで、養分の分散・消耗を図ると良いでしょう。
【年間管理】
●整枝せん定
 せん定は、切り口が同じ太さとなるように、長・中梢の6~8芽にせん定します(図1)。つるや果梗枝・枯枝もていねいに取り除きます。
●結果母枝の誘引
 棚やフェンスに、まんべんなく配置します。伸ばしたい結果母枝は、先端を根っこの反対方向へまっすぐに伸ばし、あまり伸ばしたくない結果母枝は、先端を根っこのほうへ返して、誘引します。
●芽かき
 強すぎ、弱すぎる芽をかき取り、生育を揃えます。種あり栽培では、強い樹勢が花振るいの原因となるので、樹勢を落ち着かせます。
●新梢の誘引
 新梢が40㎝くらい伸びたら、テープ、ビニタイ、ひもなどで日当り良く誘引します。
●花穂整形
 とりあえず、長い新梢には花穂を2つ、短い新梢には1つ残します。新梢のもとにつく花穂は形が悪く、先端は小型の傾向にあります。中ほどの花穂がよいでしょう(図2)。
開花直前から開花始めまでに、花穂先端の長さ7.5~8㎝、15~17段くらいを残し、他ははさみか爪で外します(図3)。自家受粉のため、人工授粉は必要ありません。
●摘房・摘粒
 着粒の悪い房を落とし、果粒の大きさを揃え、形の良い房を残します。葉の少ない新梢・枝についた房はなるべく落としましょう。目標・目安は、葉っぱ1枚に果粒1個、1房38粒・400g、3房/1㎡とします。形の良い房の粒の着き方を、参考にするとよいでしょう(図4)。摘粒してから、摘房しても構いません。もしかすると、短い新梢・枝のほうの着粒が良いかもしれませんね。
●袋掛け
 着房数を確認しながら行ないます。成らせすぎると、着色不良、糖度低下、次年度の着花不足を招きます。7月上旬に、とびとびに着色し始めれば、一安心です。
●収穫
 十分着色して、糖度が上がり、酸味が抜けたころ収穫します。鳥獣害等にも注意します。7月末でも、成らせ過ぎで色が来ない・薄い場合は、思い切って摘房すると、お盆過ぎにギリギリ間に合うかもしれません。
●病害虫防除
 防除・施肥こよみ(大粒ぶどう)(※)を参考にしてください。農薬を使用する際は、農薬使用基準を遵守し、農薬使用履歴を記帳してください。
休眠期には粗皮削り・せん定枝や落葉の適正処理に、生育期には雑草管理に努めてください。べと病などの病害は予防に、害虫は発生初期防除が基本です。よく観察してください。袋掛け前のアザミウマ類防除がポイントです。
●施肥例
 休眠期(12月:元肥)、果実肥大期(6月:追肥)、収穫後(9月:お礼肥)に施用します。
(※)防除・施肥こよみは、お近くの営農生活センターへお問い合わせください。Webからも入手できます。

●おまけ
 品種選定・苗木定植~育成・整枝剪定(総論)
 R2年10月号:品種の選定・苗木の育成、R2年11月号整枝剪定、R3年1月号:樹形改造、R3年5月号:ジベレリン処理による種なし栽培も参考にしてください。

▲図 フェンス仕立て

▲図1 剪定

▲図2 花穂切り

▲図4 摘房・摘粒

●ちょろっと一言●

 巨峰をタネあり栽培しているけど、どうも実止まりが悪くて、…という場合にも、開花後なら、ジベレリン水溶液の果房浸漬処理が有効です。製品の説明書をご熟読・ご理解の上、ご使用いただくという前提で、ご紹介します。

作 物 名 使用目的 使用濃度
(ジベレリン:ppm) 使用時期、 使用方法 使用回数 参  考
ぶどう(巨峰)
[有核栽培
=タネあり栽培] 果粒肥大促進 25ppm
(小包1つを水2ℓに溶かす) 満開10~20日後 果房浸漬 1回 1房の中で、大玉(受精果・タネあり)か小玉(不受精果・タネなし)かのどちらかに揃えると、成熟期・収穫期も揃います

▲後方編集担当者様によるジベレリン処理の儀(ポーズ)「大きくなーれ」「美味しくなーれ」のおまじないも忘れないでね

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