品種を紹介しようかい

［2023.11.01］

●須崎静夫営農技術指導員●　　

●はじめに
　毎年のように新品種が発表されています。カタログでは良いことばかりが目につき、悪いことは、ちょっと表現に工夫があります。種苗法が改正され、登録品種の自家増殖には、制限がかかるようになりました。一般品種「巨峰」「幸水」「佐藤錦」「白鳳」「ふじ」「富有」「宮川早生」などの苗木は、比較的お安く入手できます。
●品種選びのポイント
　苗木なら、グリーンセンター、園芸店、園芸カタログ、Webなどから、お好きなものを選んでください。11月ころから販売されます。人気の稀少品種でどうしても、という場合には早めの予約になります。確かな筋からの情報を頼りに、注文することもあります。果実なら、まずは試食、見つけ次第の大人買いとかWeb注文になります。
その昔、出始めのカンキツ「不知火・しらぬひ」やブドウ「シャインマスカット」の苗木では、樹勢が弱く、果実品質が芳しくなく、ウィルス病らしいことがわかり、問題になりました。慎重な方は、品種の評価が固まってからのほうがいいかもしれません。ただし、果樹は、苗木から果実が成るまでに数年、品質が安定するまでさらに数年かかるので、「善は急げ」です。都道府県等育成の登録品種は、産地限定されることがあります。国・農研機構の登録品種なら産地制限はありません。
●（新）品種の紹介
　あまり新しいと、内緒で作ろうと思ったのに・・・、ということがあるので、R3年2月現在までの記憶で思いつくまま紹介します。耳にするけどあんまり食べたことがないものから、ちょっと前にはよく耳にしたけど・・まで。（カッコ）は国・農研機構以外の育成、（・・県限定）は産地限定なので、愛知県では当分の間、苗木入手・栽培できません（R５年現在）。果実をお楽しみください。果実を買うと高いのが人気の証。売ってないのは、出始めか何か訳ありかも。感想は個人的見解です。なかには品種名ではなく、商標名や商品名もあります。
★イチジク：「バナーネ（フランス）」「とよみつひめ（福岡県限定）」。収量、品質、輸送性の3拍子
揃った品種はなかなか出てきません。
★オウトウ・サクランボ：「紅秀峰：べにしゅうほう（山形県）」。
★カキ：「ねおスイート（岐阜県限定）」。商標名は「天下富舞：てんかふぶ」で、品質順に、①天下人②大将③武人になります。
「輝太郎：きたろう（鳥取県＆国）」。「太秋：たいしゅう」が、増えてきました。
★カンキツ：「紅まどんな・甘平：かんぺい（愛媛県限定）」「夏津海：なつみ（個人）」。「はれひめ」「あすみ」「璃の香：りのか」「西南：せいなん：のひかり」「はるみ」。味の良い「せとか」は、トゲがたまにきずです。
★キウイフルーツ：「紅妃：こうひ（中国）」。赤・黄・緑・青とカラーが勢揃いです。
★クリ：「実玖里：みくり」。「ぽろたん」「ぽろすけ」は、皮がポロっと剥けるので人気です。
★ナシ：「新甘泉：しんかんせん（鳥取県限定）」「甘太：かんた」「あきづき」「なつしずく」。
★ブドウ：「グロースクローネ」「藤稔：ふじみのり（個人）」「瀬戸ジャイアンツ（民間）」「ルビーロマン（石川県限定）」。「ナガノパープル(長野県)」が令和１年に解禁されました。皮ごと食べるにはちょっと勇気がいります。
★ブルーベリー：「チャンドラー（アメリカ）」ほか、品種いろいろ、大きさ･収量･食味･日持ち性で選んでください、とはいうものの、育ててみないとわかりませんね。
★リンゴ：「シナノゴールド（長野県限定：黄色）」「千雪：ちゆき（青森県限定：赤色）」。赤い品種は、温暖なところで栽培すると、あまり赤くなりません。

●ちょろっと一言●
　カキ「太秋：たいしゅう」やカンキツ「デコポン」などは、「マツ○の知らない世界」のようなＴＶ・メディアで話題になると、人気が急上昇します。とはいうものの、苗木を植えてもすぐには実が成らず、成りだしたころには熱が冷めているということもあって、振り回される方は、いい迷惑ですね。早め早めの情報収集・情報発信とか、品種にこだわらない独自ブランド化とか、言うは易し、行うは難し、ということでしょうか。「太秋」はかなり認知されてきましたが、「デコポン」は「はるみ」「せとか」や「デコポン系の新品種」などに注目が移りつつあります。

　ときどき、ハートの形をした巨峰ブドウやウサギやネコ顔をしたカキが話題になります。狙ってできるものでもないので、見つけたら、袋掛けして大切に育ててください。

▲図：おまけ「果物と動物を一緒にすると、ＧＡＰやＨＡＣＰＰ・動物愛護的からもＮＧのようです。イラストの世界ということで、ご容赦ください」