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品評会の傾向と対策

[2022.12.01]

●営農技術指導員 須崎静夫●  
●はじめに
 各地で各地で開催される果実品評会、はたから見れば、あんなのよりもこっちが・・・と、いうこともままありますが、悲しいかな異議は認められません。産直なら、会員さんたちの総意で決めるのもいいかと思います。ウィルスなど病気でなければ、まだら・モザイク模様もいいかもです。
●審査基準
 出品規定に書かれています。規格でいうなら、品種らしい特性、秀品の見た目重視で、病害虫は減点です。ちょっと変わったのも、いろいろ出してみましょう。刺激になります。
 重量超過がたまにあります。ブドウなら、ちょろっと粒をはずせばなんとかなりますが、本人がいないとなかなかできない裏技です。
 果実の揃い(玉揃い)では、大きさはもちろん、形や果皮色、熟度も揃えた方が良いでしょう。
 よく話題になるのが、果実表面の白い粉、果粉・ブルームです。付けたままにしてください。
 果皮色は、濃い方が良いでしょう。イチジクの紫黒味やナシの黄色味、モモの赤・黄色味は好みの分かれるところです。市場関係者さんの場合は、目の前の果実が消費者に届いた時を見越した審査かもしれません。
 重さや糖度の数値以外は、審査員の趣味、嗜好・・・が入り込みます。食べたいなぁ、買いたいなぁ、と思わせることがコツでしょうか。
●おもな樹種別ポイント(図)

▲管内の代表的な果樹:イチジク・カキ・ナシ・ブドウ・ミカン・モモ それぞれ左から果頂部/果梗部/横顔 樹種・品種により果形・果皮色・ブドウ房型はいろいろあります。

 イチジクのアザミウマ類被害は、大きな減点です。張りがあって裂果していないというのは、ちょっとできない相談ですね。ハトメの裂果は、100円玉の大きさまでと言われています。「サマーレッド」は、見た目でちょっと有利です。雨が降り続くときは、カサ掛けが有効かもです。
 温州ミカンは、果皮色は濃く、少し橙色っぽく、果形は扁平、キメの細かい油胞がたくさんあると有利です。大きさ(重さ)はML(80~120g)程度。果軸の切口が小さいのが美味しい目印。浮き皮は、剥きやすいけど等級は下、皮の薄いほうが重みを感じるでしょう。葉っぱ付きは、ちょっとあると可愛いですが、たくさんあると鬱陶しいかも。果軸が長いと、他のミカンを傷つけます。
 カキは、ヘタが四角く緑色で、ヘタスキも後期肥大もなし、病虫害ではカイガラムシ類がポイントです。果面の小さな黒い筋「条紋」は、美味しい目印と認知されれば有利、認知されなければ減点されそう。頭(果頂部)のてっぺんに「オバQ」の毛みたいな柱頭があれば完璧でしょう。「次郎」は、果頂裂果や軟果しやすいので、栽培管理を念入りにお願いします。品種もいろいろです。
 キウイフルーツは、大玉で丸っこい形、つるつるよりふさふさの方が有利でしょうか。萌え断しないなら赤黄緑青の果肉色は関係ないかも。コナカイガラムシ類に注意です。追熟しているとしわっぽく見えます。ミニキウイも枝付きなら有望(個人的見解)です。
 ギンナン・クリ・クルミは、粒が大きいほど有利でしょう。粒揃いや鮮度・ツヤを見ます。
 ザクロは、大きくて、果皮につやがあるのといいかも知れませんね。
 ナシは、種子がきちんと入っていると、綺麗に丸くなります。果軸の形を揃えれば完璧です。西洋ナシはあの形です。
 中晩生カンキツは、樹種・品種いろいろで、出品数が多いほど、入賞も増えます。果実は大きいほど有利、「デコポン」みたいなデコは審査員次第です。葉付き以外の葉っぱ付きは、温州ミカンに同です。病害虫、ヘタ落ち、軸残りや着色不良は、減点です。    「鬼ユズ(獅子ユズ)」「バンペイユ(晩白柚)」「ブッシュカン(仏手柑)」のような変わり種も歓迎です。
 ブドウは、房の形、粒の揃い・大きさ、果軸の新鮮さ(緑色)、着色、果粉ののりがポイントです。
 モモは、果形と果皮色がポイントで、核割れ、押せ、コナカイガラムシ類などが、減点です。
 リンゴは、扁平よりも甲高の方が良いでしょう。斑や縞々は品種特性でしょうか。

▲品評会における優秀な果実の特徴

イチジク:適度な着色・果頂裂果はほとんどなし
温州みかん:細かい油胞・薄い果皮・果皮は濃い黄橙色
ブドウ:軸枯れなし・粒揃い・ほどよい着粒・果粉
キウイフルーツ:丸い果形・有毛?
カキ:ヘタスキ・軟果&果頂裂果なし・綺麗正形なヘタ・果粉、条紋は好み
モモ:綺麗な果形、色、産毛
ナシ:果形、揃った果皮色(有袋・無袋、品種間差)、果実の揃い 
 ふだん、人間の世界では、果物や野菜の軸のある方を「あたま」、反対側を「おしり」と呼んでいます。ミカンも、「あたま」からむいたり、「おしり」からむいたり、中にはペコっと半分に割る方もいらっしゃいますが・・
くだものの世界では、枝についた方は「果梗部」で、その反対側は「果頂部」と呼ばれるので、「果頂部」を「あたま」とイメージすると、こんがらがってしまいますね。
横向きのイラストを何気なく描くと、多分、リンゴは「果梗部」が上になり、カキやモモは下になってしまいます。ややこしいですね。


〇スイカ:何気なくイラストに描くと、モデルのおおのースイカさんは上右のようになりますが、
「果頂部」=「あたま」とすると、逆立ちしているイラスト上左がイメージになります。
〇リンゴ:スイカと同じく、モデルの中島りんごさんには、イラスト下右のように、しばらくの間、逆立ちしていただくことになります。「あたま」が下で、「おしり」が上です。

▲品評会の表彰式 くだもの部会 全7品目 イチジク カキ ナシ ブドウ ミカン モモ りんご

▲品評会の表彰式 くだもの部会主要5品目 イチジク カキ ナシ ブドウ モモ

▲品評会で上位に入りそうな果実のイメージ

●ちょろっと一言●
 果実や樹を見ても、なかなか品種名まではわかりません。生産者の方は、何気に、こっちは「○○」(品種名を書くのもはばかれます)、あっちは、「△△」とか、すらすら答えられるので、「さすがだなぁ」と思っていました。ある時、思い切って聞いてみたら、「樹を見てわかるわけないじゃん、植わっている場所で覚えております」とのことで、一安心です。まだまだ修行が足りませんね。

 

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