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夏休みの自由研究(じっくり編)

[2025.07.01]

●営農技術指導員 須崎静夫● 

●はじめに

 写真やイラスト・図表・模型・実物を使ってわかりやすくまとめると、何かいいことあるかもです。人を訪ねるときは、自己紹介カードを持って挨拶から始めましょう。AIやWebで検索して、みんなのやらないことをやりましょう。7月は「余裕のじっくり編」、8月は「焦りのちょろっと編」です。

●栽培の歴史・品種

 この地域は、イチジク・カンキツ・ナシ・ブドウ・モモ・リンゴなど果樹のちょっとした産地です。古老・有識者を訪ねて、栽培の歴史・品種について調べてみましょう。カキなら、ちょろっと古い樹が見つかるかもしれません。図書館で地元の資料・文献も探してみてください。詳しい人に会えるといいですね。

●マップ・地図作り   

 時季になると、いろんな農産物が直売されています。役場や農協でも、直売所マップを配布していますが、ひっそりやられる方もいます。現地を回って、マップを作りましょう。個人情報の取り扱いは慎重・丁寧に。空想マップや鳥が育てたアケビ・ウメ・カキ・カンキツ・クワ・ビワなど、果樹マップもありです。輸入果実に貼られた産地シールで、世界地図を作ってもいいでしょう。

●前作探し

 更地や耕作放棄地・雑木林が、それまで何を栽培されていたかを辿ってみましょう。グーグルアースなら広い範囲を、自分の足なら地元を中心に調べるといいかもしれません。ウメ・カキ・クリ・モモなら切株が、ブドウなら棚の残骸があるかもしれません。

●コレクション

 ぱっと見、玄人さんでも品種を区別できないモモの種(正確には、種の周りにある核)を集めてみませんか。大中小や、ちょっと赤・白・黄色っぽいの、丸いの、尖ったのなどいろいろありそうです。核の周りに果肉がくっ付いているので、ちょろっと土に埋めておいたり、金属ブラシでゴシゴシこすったりして、きれいに乾かします。クルミのように半分に割ってもいいでしょう。

 容器包装リサイクル法とか脱プラスチック法で容器包装の形態もかなり変わってきました。価格高騰をごまかすステルス値上げも盛んです。包装容器をコレクションしてみましょう。

●病害虫コレクション・標本

 果実や葉っぱを食べるイモムシ・カメムシ・コガネムシ・ハサミムシ、幹をかじるカミキリムシ、何を食べているのかよくわからないけど、枝にとまるコメツキムシなど、果樹園にいる昆虫を標本にしてみましょう。果実の中からも宝物が見つかるかもしれません。スズメバチは、かなり危険です、十分注意して下さい。赤い眼をしたショウジョウバエは写真バエするでしょうか。アザミウマ・アブラムシ・カイガラムシやハダニは、うまく標本になってくれるでしょうか。セミも樹液を吸うと立派な害虫です。病害は、ちょろっと生々しいかもしれません。

●品目・品種・価格調べ

 行きつけのスーパーや果実専門店・八百屋さんに足繁く通って、品目・品種・重さ・価格などを調べます。価格は、1個当たりでも重さ当たりでも良いでしょう。とはいうものの、重さは実際に買ってみないとわかりません。最近のブドウやカボチャは、グラムいくらで量り売りされています。新聞やWebの広告・青果市況も要チェックです。No Photo/撮影禁止にも注意です。

●日持ち性調べ

 暑い所(常温)・涼しい所(空調室)・寒い所(冷蔵庫)のように、気温の異なる所に果物をおいて、いつまで食べられるか、消費期限を調べます。おなかを壊すといけないので、指標(目安)を作って、食べずに判断しましょう。いろいろな種類で比べても良いでしょう。干からびたら、ごめんなさい。

●漬物づくり

 糠床があれば挑戦です。丸ごと漬けたり、刻んだり、漬ける時間を変えて、味の変化を楽しみましょう。漬かり過ぎに注意です。未熟果や乾燥果・豆腐・チョコレート・納豆・お餅でも試してみましょう。チーズ・ヨーグルト・ゆで玉子・生卵など動物性食品は、蛋白質の腐敗にも注意してください。

●作品づくり

  粘土や木・発泡スチロールで本物そっくりやミニチュアを、ロウ細工ならデザートの食品サンプルを、作ってみましょう。3Dプリンタで簡単にできちゃうかも知れませんね。

生成りのTシャツやハンカチに染色です。果皮・枝葉を乾燥して、煮出して、いろいろ試してみましょう。煮詰める時間や染める回数で、色も微妙に変わります。安直なら、果汁や紅茶、コーヒー、ダマネギの皮もおすすめです。ブドウ・ブルーベリー・ブラックベリーの果実なら、そのままハンコにして直染めできそうですね。

 バナナの皮を針で突っつけば、絵が描けます。中身は早めに食べちゃいましょうか。モモの核やクリ・クルミ・アボカド・ココナツ・ドリアン・パイナップルのような固い皮なら立体の、葉っぱやカキ・ナシ・ミカン・リンゴを乾燥させた皮や果梗枝ならほぼ平面の作品ができそうです。

 直売所のレイアウトや模型を作ったり、デザートや加工品を試作したりしてもいいかもです。二十歳未満だと、果実酒を作れても試飲できませんね。

●ちょろっと一言●

 夏休みの自由研究で、ついつい張り切るのは、親御さんとか、もう1世代上のじいじ・ばあばですね。バレバレにならない程度に、子どもさんらしく、絵はヘタウマ・ヘタヘタで、パソコンなんか使わずに、鉛筆で下書きして、マジックも枠からわざとらしく、はみ出してもらいましょう。

▲夏休み作品展のイメージ

▲自己紹介カード

▲自己紹介カード2

▲夏休み探検隊隊長

▲夏休み探検隊隊員

▲直売所マップ:調査結果でも空想でも

▲むしむしコレクション

上:スズメバチ・カブトムシ・カミキリムシ  下:アブラムシ類・アザミウマ類・ハダニ類

▲染色材料(例)

▲日持ち性調べ(モモ)

干からびてしまうかもしれませんね。

 

▲漬物づくり

果物ならイチジク・ウメ・カキ・カンキツ・キウイフルーツ・ナシ・ブドウ・モモ・リンゴなどに挑戦!

▲針で突っつかれたバナナ 「ばななわに」

▲針で突っつかれたバナナ 「ばななわに」

▲リンゴの皮でできた似顔絵

▲ミカンの皮で「がんばりすぎないぞう」

●ちょろっと一言●

 当時?の夏休みの宿題・自由研究の定番といえば、「昆虫採集」です。間に合わないときは、1日で「きのこ」を集めました。

▲昆虫標本

▲果物の輸入元マップ(イメージ)

果実についてくるシールで世界地図

▲モモの種子・核コレクション(イメージ)

品種名・採取日・採取場所を書いたラベルを付けるとレベルアップします。

●ちょろっと一言●

 新聞やWebには、前日の青果市況が書かれています。左から順に、果実名、産地名、入荷量、5kg箱/100gパックなどの入荷単位、秀優/LMSなどの規格、品種名、高値・中値・安値です。

 例えば、R6年6月12日の日本農業新聞の東京・大田市場の欄には、梅 和歌山 24t 10㎏ 秀3L 南高12,960 -(中値なし) 10,800とあり、スーパーで売られている小売価格と比較すると、流通の仕組みが少しはわかるような気がしますね。以前、小売価格は市場価格の3倍と言われていましたが、今はどうなっているのでしょうか。市場関係者さんの話を聞いていると、自分が生産者の立場なのか、消費者の立場なのか、分からなくなります。

●ちょろっと一言:危険な虫たち●

 何を基準にするのかでも変わってきますね。世界レベルで見ると、いろいろ病気を媒介するカ:蚊やハエ:蠅でしょうか。見た目やアレルギー持ちの方ならハチ:蜂です。

 カキやブルーベリーの葉っぱに、孵化したばかりのイラガ幼虫が並んでいると、可愛くて、ついつい触りたくなります。

 カンキツのはっぱをかじるアオムシやブドウをかじるスズメガ幼虫もプニプニしていて、ツノやシッポが可愛いですね。アマガエルやヤモリに、「キャー」という心情が信じられません。

▲可愛いイラガ(幼虫)の大群

●ちょろっと一言:規格表ならぬ、規格モデル●

 ある高校生が、ジネンジョの規格の模型を作り、話題になっていました。カボチャの産地でも、食品サンプルを使った目揃会が紹介されていました。当産地でも、毎年、モモの目揃会を行うときに、何十個も収穫して果実を並べていますが、なかなかこれといったのが見つかりません。目揃会用に、いろんな規格の模型・サンプルがあると、いつでも確認できて、生産者の方も助かりますね。

●ちょろっと一言●

 羽根のないアブラムシは、どう見てもアブラムシですが、羽根が生えてくると、セミそっくりです。それもそのはず、セミもアブラムシも、同じ仲間の「半翅目」、もとい「カメムシ目」です。ガ・チョウも「鱗翅目」でしたが、今では、味気ない「チョウ目」に、直翅目が「バッタ目」に、双翅目が「ハエ目」になってしまいました。

▲半翅目・セミの標本イメージ

左から、ニイニイゼミ・クマゼミ・アブラゼミ

 

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