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松竹梅の管理~作り方(2)~      

[2021.12.20]

●営農技術指導員 大澤梅雄● 
質問
 近頃は、家庭でも店舗でも門松を立てなくなりました。さみしい限りです。先日、園芸店で大きな鉢に植えられた松竹梅の寄せ植えを見かけ是非作ってみたくなりました。どのように作ったらよいのでしょうか。

2 作成手順
(1) 花材の下準備
 まず、マツとウメはより美しく見える側を正面とします。剪定によってできた大きな切口は正面にしない方が良いでしょう。
枯葉や余分な枝は取り除き、幹に巻き付けてある針金があればこれも取り除きます。また、マツとウメの根鉢が乾いている場合は、霧を吹きかけて十分湿らせておきます。根鉢に土を密着させるのに有効です。

(2) 植込み材料の下準備
 土の湿り具合を確認します。片手で土を握ってできた団子を指で押すとすぐに崩れる程度が良いでしょう。土を握った際、指の隙間から土がにじり出るのは土壌水分過多ですので、乾燥した土を加え適度な湿り具合にします。逆に土が乾燥気味であれば水を加え調整します。

(3) 仕上がりの構図
 鉢内に深山幽谷を表現できるような構図を練ります。

(4) 主役花材の仮置き
 台の上に新聞紙を敷き、鉢を手前に置きます。マツの先端と鉢の長辺の両端を結んだ線が不等辺三角形になるようマツを置きます。そのマツに寄り添うようにウメの根鉢を合わせてみます。次に、鉢を上から見て下さい。マツやウメなどを配置する所(陸地)と何も配置しない空閑地(川や海)の割合が2:1となるようにするとともに、マツとウメの枝が鉢からはみ出さないよう仮置きします。

(5) 添え物花材の仮置き
 添え物花材や溶岩石などを使って、奥行きのある雄大な風景を作ります。この添え物の配置こそが寄せ植え盆栽の一番肝心なところです。
 一般的にはマツや梅など大きな花材の後ろに小さな添え物を置いたり、マツからより離れたところには小さな溶岩石などを置いたりします。出来上がりを想像しながら、遠近法を参考に花材と溶岩石を色々な位置に置いてみてください。
 最適と思わる位置か決まりましたら、一旦すべての物を鉢から取り出します。

(6)土入れ
 まず、鉢穴より大きめのダンボール紙をその上に乗せて穴をふさぎます。ダンボール紙は吸水量が多いので、花台や床の間を汚さず都合が良いのです。
 次に、土を鉢の深さの8割程入れてよく抑え、平らにならしておきます。この時に使う土には、砂とか腐葉土などの混ぜ物は入れません。
      
(7)主役花材の植込み
 まず完成時のマツの高さを決めます。鉢の横幅(外寸約40cm)と同程度となるよう調節します。①マツの根鉢の底からマツの頂までが40cm程度であればそのまま固定します。
②低いようであれば土を盛り上げ、その上にマツを置き高さが40cmくらいになるようにして下さい。
③かなり高くなるようであれば、ベースの土を取り出すか、樹高の低いマツに変更して下さい。
 次に、ウメはマツの根元へ幹を斜めに差し込むような感覚で植込みましょう。ウメの頂点がマツの高さの2/3くらいになるよう、幹の差し込み角度を変えるなどして高さ調整をします。また、ウメをきれいに見せるには、幹を後ろに反り返らせるのではなく、手前に向くように仕向けるのがコツです。
 高さ調整が終わりましたらマツとウメが動かないように、根鉢を土で貼り付けしっかり固定し一つの陸地を作ります。
 最後にチゴザサは、草丈が低いのでどこにでも植えられますが、遠近感を出すためにはマツからやや離した方が良いでしょう。

(8) 添え物花材の植込み
 仮置きして決めた構図に従って植えます。その際二つのことに注意して下さい。
①植える位置は特に決まりはありませんが、その植物の自生地を考慮すると良いでしょう。例えば、ヤブコウジは林地の木陰に自生していることから、寄せ植えでも構図上日陰になるような場所に植込みます。
②添え物花材の根は植込みの邪魔になるからといって切ってはいけません。特にフクジュソウは開花しなくなりますので絶対に切らないようにしてください。
 写真1では、ナンテンは松の後ろに、ヤブコウジは渓谷の中、フクジュソウは離れ小島の日向に、ハボタンは梅が咲く里にそれぞれ植込みました。

(9)溶岩石の配置
 花材の植込みの後は、溶岩石を使って風景の奥深さを演出します。大きい溶岩石はマツの近くに置き、荒々しく屹立した山を表現するために立てます。その左右には小さい石を置き、岸辺の石は立てるのではなく横に寝かせます。配置する石の数には制限はありませんが、奇数個の方がバランスをとりやすいでしょう。
 配置したら土に埋め込むなり、下に強く押すなりして固定します。

(10)コケ張り準備
 悠久の大自然を表現するため陸の部分にコケを張りますが、土に粘りがないあるいは乾燥気味という場合、コケはすぐにはがれてしまいますのでコケを張る前には、
 ①土に霧を吹きかけ湿らせる。あるいは②粘りの強いケト土を陸の土の上にさらに塗ると良いでしょう。

(11)コケ張り
 コケはベタに張るのではなく、こんもりと張るのがコツです。まず、
①コケのひと塊を裏返して左手に乗せ、右手の人差し指を伸ばしてコケ裏中央に乗せて強く押します。すると塊の両端が持ち上がりU字型になります。
②コケを逆U字にして土に置き、塊の周囲を指で押さえて土に密着させます。
③露出した土すべてにコケを張ります。
④コケに霧を吹きかけ活着を促します。
 これでコケ張りは終わりですが、U字型のコケ片中央の盛り上がったところを決して指で押してはいけません。立体感の無いベタ張りになってします。

(12)洗浄                                                
 作業中についた土を水で洗います。特にマツ、ウメの幹や溶岩石などについた土は古い歯ブラシを使い入念に洗い落します。

(13)仕上げ
 先ほど洗浄に使った水が空閑地に残っていなければ、白い寒水石を空閑地に敷き詰めます。そして、鉢についた土や水を古布でふき取れば完成です。
 鶴や亀などの飾り物を置けば一層縁起の良い作品となるでしょう。

▲写真 名古屋流松竹梅寄せ植え

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