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果樹の着果管理

[2022.02.01]

●営農技術指導員 須崎 静夫●
 苗木を植えて果実がなり始めると、心弾みます。ひとごとで考えれば、初なり果実は、速やかに摘果しますが、1個だけなら品種特性を確認するために残してもいいかもです。ただし、樹の生育が抑えられ、後々にも影響します。

●収量
 果実の大きさと収量の間には、何か関係がありそうです。大きな果実ほど樹全体の収量は減少します。たくさんならせば、樹勢も低下します。経済栽培では所得の上がる果実生産を目指します。

●着果数の目安
 葉果比は、果実が1個大きくなるために必要な葉っぱの枚数の目安です。樹種や品種ごとにだいたい決まっており、イチジク1、カキ25、キウイフルーツ6、大粒ブドウ1(葉っぱ1枚で果粒1個)、ナシ60、ミカン25、モモ60です(図1)。
 葉果比20の姫リンゴをリンゴの葉果比60にしても大きくはなりません。
 カンキツ類は、葉っぱ1枚で果実3gが目安です。ブラックベリー・ブルーベリーなどの小粒果樹、ギンナン・クリは、(ならせっぱ)なしです。
 枝の長さでは、モモが15cmに果実1個です(図2)。
果実の間隔では、ウメ、スモモ、ナシが、同じ枝で果実と果実の間にもう1個です(図3)。


▲図1 着果の目安:葉果比
ブドウ1房・36粒、葉っぱ12枚なら、新梢3本に1房になります


▲図2 着果の目安:枝の長さ

▲図3 着果の目安:果実同士の間隔
枝の先端からの新梢伸長を期待します

 

●管理の実際
 およそ、摘蕾、授粉&摘花、荒摘果、仕上げ摘果、樹上選果の順です。
 花数が多いときは、つぼみが膨らんだころに、ならせたくないところを中心に落とします。授粉は結実性や交配親和性も考慮します。ミツバチさんなどにお願いすることもあります。

 授粉しながら不要な花を摘むと、実なりがより確実です。ただし、摘果をあまり早く行うと、その後の生理落果や、カメムシ類の被害にあうかもしれません。遅いと、摘果なのか収穫なのかわからなくなります。果実肥大に合わせて数回に分けて行いましょう。カキやカンキツ類は、生理落果が終わるのを待ってから行います。隔年結果に注意です。
 荒摘果では、効率を最優先に、目標着果数の2~3倍程度まで減らします。
まずは、小さい果実・変形・病害虫被害・団子状に密集している果実・主枝や亜主枝の先端など、本来ならならせたくないところになっている果実などを落とします。
 カキやナシなど、早いうちは指先で摘果できる種類も、だんだんと軸(果梗枝)が固くなり、摘果ばさみが必要になります。また、カキは肥大しても果実の向きが変わりません。上向き・横向きの果実は夏の日差しで日焼けしてしまうので、葉っぱに隠れる下向きの果実を残します。
 ナシやリンゴのように果実がにつく種類では、下から2・3番目を原則に、濃い・太い果梗枝の形の良い果実を残します。
 モモは、果実の中に種子が2個入る双胚果は、後々の裂果の原因となるので、摘果します。
 ウメやカキ、ブドウ、モモでは、枝の勢いが強すぎると受粉しても着果しないことがあります。
 キウイフルーツは、開花後3週間で、果実が8割程度まで急激に肥大するので、早めに行います。
 仕上げ摘果では、先代の調査データから、それぞれの開花後日数と果実肥大状況(開花〇日後に果径△mm程度あると、成熟期にはこれくらいの大きさが期待できる)に合わせます。大きな産地には、目盛りのついたノギスや穴の空いたスケールがあります(図5)。

▲図5 摘果ノギス(イメージ)

 開花後日数の大きさで収穫期の大きさを予測して、残す果実・落とす果実を見極めます。
 樹上選果では、病害虫・鳥獣被害果など、商品価値のないものを事前に摘み取ります。温州ミカンの裏年の樹になる皮の厚い大きな果実(天なり果)を10月中旬に落とします。
 自然受粉でなり過ぎる場合には、カキの雄花の咲く樹やギンナンの雄樹を減らすこともあります。

●ひとこと
 カキやミカン、ブドウは、どうしてもならせ過ぎになってしまいますね。
大産地では実際に、葉っぱの枚数と果実の数を数えて適切な葉果比・果実数にしたモデルを設定しているそうです(図6)。

▲図6 葉果比お知らせシスターズ
イチジクは1、キウイフルーツは6、温州ミカンは25、ブンタンはたくさん・・・ですよ

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