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果樹の鉢植え栽培①

[2024.02.01]

●営農技術指導員 須崎静夫●  

●はじめに
 日本のマンションやアパートでは、なかなか大きな果樹を育てるわけにはいきませんね。鉢植え栽培なら何とかなりそうです。直径30cm(尺鉢)で挑戦の2回シリーズです。20kg入コンテナなら、ほとんどの樹種が育てられます。小さいと水やりが、大きいと移動が大変です。
●樹種・品種選び
 好きな樹種・品種を選んでください。樹の小さい果樹が適します(図1)。

▲図1:果樹の鉢植え

【上:左からイチジク・リンゴ・ブルーベリー】
【下:左から温州ミカン・ブドウ・キウイフルーツ】

 イチジク・ブラックベリ-・ブルーベリー・ポポー・ラズベリー・ユスラウメの他、温州ミカン(図2)・カンキツならキンカン・ユズの小さい方・レモンなど、他には、スモモ・モモなどが思いつきます。

     

▲図2:温州ミカンの播種        アゲハチョウが卵を産みにやってきます

【珠心胚実生&交雑胚実生ができます】

 無理やり続ければ、カキ・クリ・サクランボ・ビワ・・・。つる性のアケビ・キウイフルーツ・ブドウは行灯仕立てが適します。ウメは、盆栽の世界へ行ってしまいそうですね。
 温州ミカン・キウイフルーツ・キンカン・サクランボ・姫リンゴ・ブドウ・ブルーベリーなどの、つぼみや実の着いた鉢植えから始めても良いでしょう。
 はじめは良くても、大きさ的にちょっと難しいのは、クルミやナツミカン・ハッサクなどのカンキツでしょうか。小果樹以外なら、モモ・リンゴなど矮性台木に接いだ苗木があります。交配親和性や病害虫抵抗性も配慮します。1本に交配親和性の高い2つの品種を接いだ苗木も売られています(図3)。

▲図3:1本に2つの品種を接いだ苗木(たまに販売されます)

 種苗法遵守で、いろいろ接ぎ木しても良いでしょう。
 ブドウやモモなど、自分でまいた種子からの実生・苗木でもありですね。カンキツ類の種子をまいて芽が出ると、アゲハチョウの仲間が、卵を産みにやって来ます。情が移り仏になる人もいれば、角を出して鬼になる人もいます。たぶんオレンジ色はナミアゲハ、赤いのはクロアゲハです(図4)。

▲図4:㊧ナミアゲハ(角がオレンジ色) ㊨クロアゲハ(角が赤色)

          
●培養土
 病害虫のない畑の土、果樹園の土を利用できますが、そもそも土がなければ、購入です。
 酸性土壌を好むブルーベリーのように、専用培土があればそれを使います。
 弱アルカリ性を好むイチジクでは、ちょっと石灰を加えます。
 他の果樹は、弱酸性から中性を好みます。専用培土がなければ、培養土単用か赤玉土・鹿沼土・腐葉土の4:3:3くらいの配合割合が良いでしょう。
●植えつけ
 植えつけ時期は、落葉樹が落葉後から発芽前まで、常緑樹は10月か3月中旬頃です。    
 根巻き苗・裸苗なら、一晩、吸水させます。根を観察して、傷んだ部分を取り除きます。根が鉢に入りそうになければ、鉢を大きくするか、鉢に合わせて根を切り戻します。地上部も根の量に合わせて、かなり短め(20~40cm)に切り返します。鉢植えで根がびっしりとまわっているようなら、根をほぐして、同じような培土で、一回り大きく鉢上げします。
 鉢底に虫除けネットを、その上に水はけを良くするためのゴロ土・鉢欠けを少し入れ、培土を入れながら苗木を植付けます。苗木の地際部と鉢の地際部を合わせます。鉢の縁は水鉢分(ウォータースペース)を3cm空けます。接ぎ木テープが巻かれていれば、剥がします。鉢底から透明な水が出てくるまで、水をやります。根が少なく、苗木がぐらつくようなら支柱を立てて、誘引します。品種名を書いたラベルをつけておきましょう(一部、順不同)。しばらく養生して、活着すれば、日当たりの良いところへ置きます。台風や大雨の時には避難しましょう。素焼鉢で、地べたがあれば、深さ半分くらいを埋めておくと、水やりの手間が少し省けます(図5)。

▲図5:苗木の植えつけ

【方法は地植えと同じ、鉢の大きさに合わせて地植えよりも少し根を切り詰めます】

【ちょろっと一言:今さらですが、お知らせです】
このコーナーでは、家庭果樹を楽しんでみえる組合員さんやそのご家族の方が、一歩進めて、GC・FMなどの直売所へ果物や鉢植え・果物加工品などを出荷されることを願っています。出荷するには、産直施設会員の入会と肥料・農薬などの使用履歴・GAP安全宣言書などの提出が必要です。詳しいことは、お問い合わせください。

【ちょろっと一言:鉢植え屋さんのつぶやき】
「去年、ブルーベリーの成った鉢植えを買ったのに、今年はさっぱり成りません」ということも、よくある話です。去年は、鉢数が多くて、親和性の高い所で育てられていたため、実がたくさん着いたのに、今年は、うまく授粉できなかったのかもしれません。品種数を増やすと、また成るようになるかもしれませんね。

   

   

 

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