
果樹機械・機器の紹介③(こものアイテム)
[2025.12.01]
●はじめに
果樹生産者の方が使われている便利な機器・アイテム(こもの:小道具)を一部ご紹介します。ないものは工夫しましょう。
●電動剪定ばさみ
バッテリー付き・コードレスは、ちょっと重めです。安全装置があっても、ちょろっと怖いですね。太い枝も楽々切れて、充電が切れる前(メーカー情報3,000本)に人間が切れます。キウイフルーツやナシ、ブドウの棚栽培では要注意、番線を切らないようにしましょう。慣れないうちは、練習がてら、外した剪定枝の細断に使うと良いかもしれません。コード付きは、コードを切らないように。
●高枝切りばさみ・のこぎり
脚立に乗らずに、高い所の剪定作業を軽減でき、ちょっとずぼらな気分になれます。視力が悪いと、なかなか焦点が合いません。収穫する果実を掴まえておいてくれる採果ばさみや、はさみ・のこぎりと組み合わせる長い柄のアタッチメントもあります。
●チェーンソー
自家用があると樹形改造・低樹高化が進むかもしれませんね。ウメ・カキ・クリは積極的に行いましょう。老木、大木、あまり大きくない雑木なら、楽々切り戻し、伐採できます。年に数本しか切らないなら、レンタルあれば助かります。ちょっと小さめの、柄のついた高枝切用もあります。
特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害甚大で、ウメ・サクラ・モモの樹を伐採・抜根!なんてことのないようにしましょう。
●新梢・枝の誘引結束機
製品名「テープナー」は、棚栽培で、キウイフルーツ・ナシ・ブドウなどの結果母枝・新梢をテープで番線に留めるステープラーです。同じ会社の商標名「ホッチキス®」が一般名称ぽくなりました。果樹園でも目立つように、ちょっと派手な色をしています。光分解テープで、春先に誘引すると、秋冬の剪定するころに、ペコっと外れます。ちょっこし高いので、そこまではという方には、幅1㎝くらいの粘着の弱いテープ(商品名:アドシール)もあります。麻ひもや針金で縛ると、外す時に難儀です。棚栽培のナシは誘引角度が、水平とか斜め45度とか、いろいろ細かいので、番線に引っ掛けるように針金をS字に曲げる方もいます。
●電動ブドウつる剥がし器
そのまま商品名です。針金や番線に固く巻きついたつるを剥がすというか、削り取ってくれます。病害の予防にも役立ちそうですね。削りすぎると針金・番線までやせ細りそうです。
●摘蕾グシ
人力で、ブドウの多すぎる蕾をほぐすように落とす、プラスチック製のブラシのようなクシ(櫛)です。長さ10㎝くらいで、トングの先2㎝四方に突起が付いています。展葉8から10枚のころ、花穂がまだ密着しているときに用い、摘粒ばさみで、少しずつ外すのに比べ、かなりの省力化になります。慣れるまでは、千切れたり、落とし過ぎたりするので、花穂調整を兼ねて行います。慣れてくると、欲しい粒数の1.5倍くらいに花蕾数を制限して、着粒後に仕上げ摘粒します。花穂を掴んでガガッと削るような、バリカンみたいな機械もあります。
●霧吹き名人
巨峰系4倍体ブドウの着色促進に登録された植調剤「アブサップ」を果房全体に、ムラなく噴霧する霧吹き専用の噴口です。普通の霧吹きでは、果房を回すか自分が回りながらか、数秒かけて噴霧するところを、メーカー記載では、「果房に触れずに1房わずか1秒」で行うことができます。噴霧器は別にご準備ください、とのことです。
●ちょろっと一言:大リーグボール養成ギプス●
「おもい~コンダラ」で始まる「巨人の星」の星飛雄馬君が着けていたのが「大リーグボール養成ギプス」です。おそらく、ギプスのバネが彼や父・一徹氏の思いと反対向きに働いて、その負荷が、腕力を強くしてくれるのでしょう。
スポーツと労働作業を一緒くたにはできませんが、今は省力化、労力軽減化で、あまり力のない方でも、重い荷物を、楽々持ち上げることができるようになりました。
ちょろっと一言:アブサップの効果●
着色促進効果の植調剤「アブサップ」、よく効くというか、効きすぎのようです。とある生産者の方が、「クイーンニーナ」に普通?の霧吹きで散布したら、赤色を通り越して「巨峰」のような黒紫色になったそうです。着粒数のせいなのか、使用時期なのか、猛暑なのか、濃度なのか、使用量なのか、産地での実用化には、まだまだ、道は険しそうです。「霧吹き名人」で、一挙解決でしょうか。
●ちょろっと一言:テープナーとステープラー●
どちらもMAX社の製品です。国産なのか外国産なのか、本社がどこなのか、わかりませんね。赤いテープナーの箱には「MADE IN THAILAND」、丸っこいホッチキスには「MADE IN MALAYSIA」、針箱には「MADE IN JAPAN」が記載されています。テープナーは、ころころと色や値段が変わっているようです。私の記憶では、黄緑色です。
●ちょろっと一言:職業病かも●
このような原稿を書いていると、新聞や雑誌の広告にも目が留まるようになります。カラスが逃げる「クルクルまわる」のとか、カメムシが一晩でごっそり捕まる「黄色ライト」とか、害獣が寄ってこなくなる「ヒトデのエキス」とか、お肌しっとりの「ブドウ樹液」とか、髪が映える(けど生えない?)「摘果ミカン」とか、いろいろありますね。
●ちょろっと一言:商標名とNHKさん●
「セロテープ」には「セロハンテープ」、「エレクトーン」には「電子ピアノ」と、もともとの一般名称・本家がわかるものもありますが、「クレヨン」と「クレパス」のように、どっちが本家でどっちが商標かわからないものもあります。NHKには、名称事典もあるそうですが、何気なく「商標名」も使われていますね。
Webに聞いてみました。「商標名」「一般名」の順です。「宅急便」は「宅配便」、「QRコード」は「認証コード」とか「二次元コード」、「マジックテープ」は「面ファスナー」、「メルカリ」は「フリマアプリ」のようです。元に戻りそうにないのが、「エスカレーター」「巨峰」「シャチハタ」「チャッカマン」「魔法瓶」などがあるそうです。
●ちょろっと一言:クビアカツヤカミキリ●
愛知県でも、だいぶ生息域を拡大しています。特定外来生物のため、移動や飼育が禁止されています。赤い首?が衝撃的です。何気に素手で捕まえてしまいました。駆除を目的にカンキツ産地では、ず~っと以前には「ゴマダラカミキリ」が買い取られていました。そんなことにならないように、初期防除を徹底していただけるといいですね。とはいうものの、卵を1,000個も産むそうです。




































































