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樹形改造

[2022.01.01]

●営農技術指導員 須崎静夫●
 樹が大きくなって病害虫防除や収穫に難儀したり、管理人が変わったりしたら、縮間伐・樹高切り下げ・品種更新・樹形単純化など樹形改造の好機です。
 モモは低樹高化しても、2・3年すると元の木阿弥です。生育の早いイチジク・ブドウ・モモなら、違うところへ苗木を植え直した方が手っ取り早いかもしれません。
 カンキツ類をあまり派手に切ると、枯れてしまいそうです。

●縮間伐
 隣同士の枝が交差する様になれば、縮間伐を考えます(図1)。少しぶつかるくらいなら、せん定時に縮伐を、派手にけんかしているようなら、収穫後やせん定時に間伐です。計画時の永久樹か、お気に入りを残します。
 主枝の先端同士の間隔は、せん定後に1mくらい、翌年にぶつからない程度です。隙間が広く空いていると、収量は減りますが、日当たりと作業性が良くなり、品質の良い果実が期待できます。
 幼木・若木なら、ちょっと面倒ですが休眠期に移植してもいいでしょう。

▲図1 縮間伐
 赤色が永久樹、青色が縮間伐(予定)樹
 計画的、または生育状況に合わせて行う

●樹高切り下げ・低樹高化
  一挙切り下げと漸次切り下げがあります。ウメ・カキ・クリなら、かなり派手に切っても再生します。不要な主枝・亜主枝や内向枝を切り落として、適切に新梢管理し、低樹高化しましょう(図2)。
 一挙切り下げでは、好みの高さまで一挙に行います。当面の収量は減るものの、初年度の果実管理がほとんど不要で、樹冠の再生・花芽の形成もすすみます。
 一方、漸次切り下げでは、収量を確保しながら、数年かけて行います。

▲図2 樹高切り下げによる低樹高化 

●高接ぎによる品種更新
  樹高切り下げと同様に、一挙更新と漸次更新があります。穂木は事前(休眠期)に準備します。
どちらも、主枝・亜主枝の先端は、養分を運ぶ力枝(ちからえだ)として残し、他の切り口に穂木を接ぎます。穂木がたくさんあれば、1か所に複数を接ぐことができます(図3)。
 漸次更新では、穂木が少ない場合など、少しずつ品種を変えていきます。
 せん定(枝払い)は水揚げ・活着を良くするため接ぎ木直前に、接ぎ木は中間台木(更新前品種)の発芽から開花の頃に行います。中間台木と穂木の新梢を間違えないように管理します。不要な中間台木の芽・新梢は、見つけ次第、せん除しましょう。

※種苗法を遵守してください。登録品種種苗の無断増殖は禁止されています。


▲図3 樹高切下げ&高接ぎ更新

●樹形単純化
 大粒系ブドウでは、平行整枝・短梢せん定という単純化した樹形・整枝法があります。苗木植付け時から計画的に行えば、枝・新梢を曲げながら、直線的に仕立てることができます。
 樹形・整枝法は、上から見たアルファベットに例えて、X(エックス)型、Ⅰ(アイ)型、H(エイチ)型、H・H(WH:ダブルエイチ)型などと呼びます。真ん中に主幹があります。
 成木の自然形整枝からでも、数年かけて、この樹形・整枝法に近づけることもできます。主枝と主枝の間隔は1.8~2.5m(平均的な新梢長)くらいとして、ヒモや竹竿などで、目標の樹形を形取り、基部が同じ近くの枝を束ねて誘引し、不要な枝をせん除します(図4)。
 キウイフルーツのメス樹でも、枝が過繁茂して、どれが主枝・亜主枝だかわからなくなった場合に行います。棚の高さ近くか主枝の分岐部など、骨格のわかりやすいところまで切り戻して、樹形を造り直します。
 生育期には、なるべく新梢が重ならないように誘引するとよいでしょう(図5)。

▲図4 ブドウの樹形単純化
落葉期・整枝せん定前 → 整枝せん定後  → 樹形改造後・生育期
(中長梢せん定のX型)→(平行整枝・短梢せん定のH型)


▲図5 キウイフルーツの樹形単純化
主幹や主枝分岐部で切り戻し、その後の新梢管理で、一文字長梢せん定・樹形へ単純化する

●ひとこと
 乱れた樹形は何とか修正できますが、こじれた人間関係は何ともなりませんね。

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