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種苗法の改正と自家増殖

[2023.03.01]

●営農技術指導員 須崎静夫●  

●はじめに
 種苗法が改正され、R3年4月1日から種苗登録品種の海外持出について、R4年4月1日から種苗登録品種の自家増殖について、育成者権者により、それぞれ規制されています。
●登録品種と一般品種
 登録品種とは、種苗法に基づき登録されている品種で、種苗ラベルには、PVP(Plant Variety Protection)マークが表示されます(写真)。果樹の登録期間は現在、最長30年です。必ずしも当てはまるわけではありませんが、イメージとしては、話題の新品種になります。


 登録品種でないものは、一般品種といわれます。具体的には、在来品種や登録されていない品種、登録満了・登録抹消品種のことで、種苗法による制限はありません。イメージとしては、昔ながらの主要品種です。
●自家増殖規制のポイント
 R4年の改正により、これまで例外的に認められていた登録品種の接木・挿し木などの自家増殖の規制が育成者権者に一任されました。その内容は、育成者権者ごと、登録品種ごとに異なり、種苗ラベルや品種Webサイト等に記載されています。
例をあげると、
①自家増殖が禁止されています。本数を増やすには、新たに苗木を購入する必要があります。
②育成者権者に申請して、許諾されれば、有料で自家増殖できます。
③育成者権者に申請して、許諾されれば、無料で自家増殖できます。
④申請しなくても、無料で自家増殖できます。
 申請は、個人または団体で行います。②の場合、事務手続きでの許諾料は増殖計画1芽(本)あたり個人100円・団体50円程度、増殖計画本数(合算可)は個人50芽(本)・団体100芽(本)単位が多いようです。もちろん、PVP表示された正規の種苗購入が前提で、他人への穂木の譲渡や増殖された穂木からの苗木や果実などの生産物販売は種苗法に違反して、刑事罰の対象となり、懲役刑・罰金(個人1,000万円以下、法人3億円以下)が課せられます。品種はDNAで鑑定できます。
・愛知県内での規制(禁止・許諾)の実際
 石川県のブドウ「ルビーロマン」、愛媛県のカンキツ「甘平」、岐阜県のカキ「ねおスイート」、福岡県のイチジク「とよみつひめ」など、他県で育成され、地域指定された登録品種は、愛知県内での栽培は禁止され、前述①の自家増殖はおろか、種苗入手もできません(R5年現在)。
 農研機構育成の登録品種は、全国どこでも、前述②のように、申請して許諾されれば有料で自家増殖できます。他県との共同育成の登録品種は、品種ごとに規制されています。
 愛知県育成のカンキツ「夕焼け姫」・ナシ「歓月」・愛知県と農研機構の共同育成のナシ「瑞月」については、前述④のように、申請しなくても、無料で自家増殖できます。ただし、穂木の適切な取り扱い、調査への協力、他人への譲渡禁止などが求められています。
・注意すること
 登録出願中の品種についても、これに準じます。
愛媛県育成のカンキツ「紅まどんな」、長野県育成のブドウ「クイーンルージュ」のように、一般名称が、品種名でなく商標名のことがあります。品種登録と商標登録については、別の機会に・・。

▲表 改正種苗法の概要

●ちょろっと一言●

 種苗法は、調べれば調べるほど、訳が分からなくなりますね。詳しくお知りになりたいときは、農林水産省のWebで検索してください。
「苗木を正規の販売店から購入する」とか、「接木や挿し木などの自家増殖をおこなわない」のが無難かもしれませんね。「タネをまいて実生苗を育てる」とか、いっそのこと「自分で品種を種苗登録する」のも、ありです。

 

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