
話題の害虫(カミキリムシ類)
[2026.08.05]
〇はじめに
果樹を食害するカミキリムシ類を紹介します。一般に、オスが先に羽化・出現して、メスの発生を待ちます。触角の長さはオスが体長の約2倍、メスは体長と同じくらいです。敵に見つかると、素早く飛び立つか、ポトリと落ちます。噛まれると、ちょっと刺激的です。
〇キボシカミキリ
イチジク・クワを好みます。ツヤ消し銀灰色の地にちょっと白い星形模様が左右2つずつ入ります。成虫は、体長15~30mmとやや小さめ、体も細めで、早朝から羽化・脱孔した成虫が、葉裏や新梢に止まっていたり、園内を優雅に飛んでいたりします。
〇クビアカツヤカミキリ(写真)
モモ・ウメ・サクランボ、サクラなどバラ科の核果類を好みます。成虫は、体長20~40mm、全体がツヤのある黒色、首の部分(前胸背板)が赤い特定外来生物で、飼育・移動・放出が禁止されています。
〇クワカミキリ
イチジク・クワ・ビワを好みます。成虫は体長32~44mm、キボシカミキリより生息数は少なめですが、虫体が大きい分被害も大きくなります。体色は暗い黄灰色で、翅の部分にビロードのような産毛が生えています。
〇ゴマダラカミキリ
街中では、目にすることの多いカミキリムシです。成虫は体長25~35mm、ツヤのある濃藍色にダルメシアンのような白い斑点が入ります。温州ミカンなどのカンキツ類、リンゴ、カエデのほか、ブルーベリーも加害します。
〇シロスジカミキリ
日本で一番大きいカミキリムシで、成虫は体長50~60mm、ツヤ消しのようなうすいカーキ色の地に、その名のとおり白い筋が入ります。クリの大害虫で、クルミ、ナシも食害します。
〇ブドウトラカミキリ
成虫は体長20~30mm、赤褐色の翅に2本の黄色い縞が入ります。幼虫がブドウの1・2年枝を食害します。冬季剪定時にちょっと押したり、引っ張ったりすると、枯れた部分が、ペコッと折れて教えてくれます。
表:詳細な特徴:画像はWebで検索してください ※:生育年数(1世代)は推測を含みます
| なまえ | 成虫体長 mm | 生育年数※ (1世代) | おもな食樹(果樹) | 備考 |
| キボシカミキリ | 15-30 | 1年 | イチジク・クワ | |
| クビアカツヤカミキリ | 20-40 | 1-3年 | ウメ・サクランボ・モモ(核果類) | 飼育・移動・放出禁止 |
| クワカミキリ | 32-44 | 2-3年 | イチジク・クワ・ビワ | |
| ゴマダラカミキリ | 25-35 | 1-2年 | カンキツ・リンゴ・ブルーベリー | 外来近縁種も侵入 |
| シロスジカミキリ | 50-60 | 3-4年 | ナシ・クリ・クルミ | 日本最大種 |
| ブドウトラカミキリ | 20-30 | 1年 | ブドウ |
・防除対策
樹勢をやや強めに保ち、狙われにくくしましょう。被害を受けた枯木・枯枝など、枯れた部分を速やかに処分します。敷きワラ・敷き草をやめて、裸地状態にします。最悪の場合は、伐採、抜根して、焼却または粉砕処分します。その後、速やかに土壌環境を整えて、新しい苗木を植えましょう。
木くずのようなフラスが落ちていたら、幹の中に幼虫・蛹が潜んでいます。幼虫食入孔や成虫脱出孔から、ドライバーや針金で突っついたり、かき出したりしましょう。その後、ロビンフッド、園芸用キンチョールEなど、登録のあるスプレー剤を噴霧します。樹幹部には、アクセルフロアブル、ダントツ水溶剤、モスピラン顆粒水溶剤などの農薬を使用します。適用樹種(うめ・かんきつ・ぶどう・もも・もも類・りんご・・・)・対象害虫(カミキリムシ類・カミキリムシ・クビアカツヤカミキリ・・・)により、登録が異なるので、使用前によく確認し、ラベル記載事項を遵守してください。
さらに、特定外来生物である「クビアカツヤカミキリ」については、成虫、幼虫、フラスを見つけたら、速やかな捕殺・連絡(営農指導課TEL:0568-44-1001)をお願いします。収穫後にも、園地をよく観察して、発見、防除に努めてください。今後の被害拡大を防ぐためには、成虫が産卵する株元に、細かい目の布地・ネットやラップフィルムで覆って、新たな侵入・産卵を防ぎ、羽化成虫の脱出を阻止してください。
「バイオリサ・カミキリ」は、昆虫寄生菌を織り込んだシート状の生物農薬で、株元、分岐部に括り付け、虫体に付着した寄生菌がジワジワと作用します。
クビアカツヤカミキリの国内侵入を受けて、使用農薬が拡大されています。農薬メーカーの都合か、モモやリンゴでは、対象害虫クビアカツヤカミキリの登録農薬の方が、対象害虫カミキリムシ(類)よりも多くなっています(R7年現在)。
・ちょろっと一言 クビアカツヤカミキリ対策
新聞・テレビでは、関西や関東方面では、サクラの樹から大きな枯枝が落ちてきたり、急に倒れたりしています。樹齢もあるそうですが、内部に空洞ができたり、根元にキノコが生えたり、クビアカツヤカミキリにやられていますね。チェーンソーで無残にも切り倒されています。 農業新聞には、とあるメーカー(ア〇ヒペン)の黄色の蛍光塗料をスプレーすると、クビアカツヤカミキリの成虫が寄ってこない・産卵しないようなことが書かれていました。当地でも、他の資材と、5月中旬からモモ2園地で試験中です。 |
・ちょろっと一言 農薬登録の不思議
イチジクの幹を食害する「クワカミキリ」に登録のある殺虫剤は「園芸用キンチョールE」で、登録上「キボシカミキリ」には使用できません(R8年4月現在)。ただし、農薬使用者が、同時防除(クワカミキリを防除したらキボシカミキリにも効果がある)を期待して、使用者判断、使用者責任で使用することは容認されています。 同様に、ガットサイドSは、「モモ・コスカシバ」で登録されているので、「クビアカツヤカミキリ」にも同時防除で効果があると使用者の方が判断されれば、使用者責任で使用できます。ただし、使用方法が、散布、または塗布に限られ、潅注はできません(2026.03.10現在)。他人に勧めることはお勧めしません。ご使用の際には、最新の登録をご確認願います。 |
・ちょろっと一言 虫とりの想い出
昔むかしの都会の少年時代、「シロスジカミキリ」「クマゼミ」「タマムシ」が、捕まえたら嬉しい三大昆虫でした。「シロスジカミキリ」は、草野球をしているときに、1塁から3塁方向に飛んでいきました。最近、久しぶりに見つけました。「クマゼミ」が、「ワシャワシャ」「シャーシャー」鳴き出すと、タモをもって捕まえに行くと、すぐにどこかへ飛んで行ってしまいました。今では、「ニイニイゼミ」よりも早く鳴き始め、あっけなく捕まりますね。夏にエノキの上を優雅に飛び回っている「タマムシ」は、カキの枯枝の中でも、寝ぼけた顔をしていました。 ▲真ん中が「クマゼミ」さんです |
▲首をひねるゴマダラカミキリ
▲ゴマダラカミキリにたかられるリンゴ・カンキツ類・ブルーベリー
▲カミキリムシに食べられそうな樹種一覧:クリも食べられます
▲シロスジカミキリにかじられるビワ・ナシ・クリ・クルミ
▲左:ブドウトラカミキリにたかられるブドウ 中・右:クワカミキリ・キボシカミキリにたかられるイチジク・クワ(マルベリー)
・ちょろっと一言 バイオリサ・カミキリ
カミキリムシを菌でやっつける、生物農薬「バイオリサ・カミキリ」。30年くらい前に、イチジク園で、ほかのカミキリムシにうつらないように、ていねいに1匹ずつキボシカミキリを捕まえてから、(昔の)フィルムケースに入れて、菌糸の出るのを確認していました。お亡くなりになると、虫体から白い菌糸が出てきて、効果のほどを実感していました。効果は高くても、菌糸がなかなか回らないのか、自然界では、中々あの世へ行ってくれませんね。 |
▲クビアカコーホーシスターズ(首赤広報姉妹達)
・ちょろっと一言 クビアカ・クビキ・クビダイダイ
ときたま、「クビアカ見っけ」の情報が飛び込んできます。幸か不幸か、今のところ、体が真っ赤の「ベニカミキリ」とか、首の黄色い「セアカヒラタゴミムシ」とか、背中がちょろっと不気味に赤い「ヨコヅナサシガメ」です。 |































































