
話題の害虫(カメムシ類)
[2026.06.23]
・はじめに
近年、果樹カメムシ類の被害が多発しています。R6年には、カキや温州ミカン、ナシ、リンゴでは壊滅的でした。今年(R8年)も当たり年かもしれません。「蜂屋」などの渋柿や果皮の厚い中晩生柑橘には被害が少なかったようです。果樹を加害するカメムシ(クサギカメムシ・ツヤアオカメムシ・チャバネカメムシ)を中心に紹介します。ブドウやブラックベリーには、ちょっと小さいカメムシもやってきます。中には、アザミウマ・コナジラミなどの害虫を捕食する肉食性の益虫もいます。
・カメムシの生態
学校の教室に飛び込んだり、洗濯物と一緒に入って来たりして、話題になります。成虫が落葉の中、雨戸の戸袋の中、建物の壁際などで越冬します。暖冬の影響か、ハクサイやダイコンでもよく見かけます。年数回、世代交代します。卵は宝石みたいな、幼虫はテントウムシ成虫のような姿をしています。暑い時は、どこかへ避暑に出かけています。成虫になると、昼間は休み、夕方から夜間に活動します。最近では、びっしり憑り?つかれた温州ミカンや、殺虫剤で星になった大量のカメムシ画像が報道されていました。カメムシによって、好む光が異なります。
・加害・被害の実際
スギ・ヒノキ球果の食べごろの時期(4月から6月)が終わると、次の食べ物として、ウメ、ナシ、ビワ、モモ、リンゴなどの幼果を狙います。吸われた果実は、果皮がボコボコに、内部がスカスカの変形果となり、酷いと落果してしまいます。カキやカンキツ類はこの時期まだ、あまり食害されません。これらは、8月以降が狙い目(狙われ目)で、知らないうちに吸われます。キウイフルーツは小さな黒い穴(吸汁痕)があるだけで、外観からはあまりわかりませんが、追熟すると、吸われたところがスカスカのスポンジみたいになっています。
・カメムシ類の特徴
| なまえ・特徴 |
![]() | チャバネアオカメムシ 体長10-12mm、全体が緑(アオ)色で、前翅は紫がかった薄茶色、晩秋に集合フェロモンを発して集団で越冬する。年2・3回発生する。幼虫は、スギ・ヒノキの球果を好み、果実も害する。 |
![]() | クサギカメムシ 体長13-18mm、全体が褐色系で斑模様や細かな黄褐色斑が入る。 クサギを好むことからの命名。 |
![]() | ツヤアオカメムシ 体長14-17mm、全体が光沢の強い緑(アオ)色をしている。
|
| ツマグロアオカスミカメ (旧名:ウスミドリカスミカメ) 体長4~6mm、年4・5回発生する。ブドウの葉を食害する。 |
| ブチヒゲカメムシ 体長12mm、ブラックベリー果実を加害し、ブラックベリーのような卵塊を産む。 |
![]() | キマダラカメムシ 最近急激に増えた我が国最大の陸生カメムシ。単独~数匹で活動し、果樹被害はなさそうだが、食性・生態は不明な点が多い。 |
・対策、防除の実際
自園地や周辺をよく観察し、国や県の発表する発生予察情報にも注意してください。発生初期の初期防除がポイントになります。
・耕種的・物理的防除
越冬場所と思われる雑木林の落葉や枯枝、果樹園地の剪定枝などを適切に処分(焼却、埋却、粉砕、回収など)しましょう。不要なカメムシ類の食草を撤去します。
防虫網(4mm目)の展張、果実袋により侵入、吸汁を防止します。チャバネアオカメムシには、夜間に黄色灯を点けることで飛来を忌避します。ただし、他のカメムシ類には効果ありません。
・化学的防除
使用基準に基づき、登録農薬(殺虫剤)を使用します。I-RACコードを考慮して、同一系統を連用しないようにしましょう。カメムシ虫体に農薬がかからないと十分な効果を得られません。足音やSS・動噴の音がすると、どこかへ飛んで行ってしまいます。夕方に行う、地域での一斉防除が効果的です。I-RACコード3Aのピレスロイド系は効果が低いためか、あまり登録されていません。
現在、発生予察のために、誘引フェロモン剤が利用されています。もうすぐ、ガの忌避に使われる交信撹乱剤「カメムシにげにげ」とか、ごっそり集まる「誘亀灯」「カメムシほいほい」「カメムシこいこい」が開発?されるかもしれません。

夢の新製品:「誘亀灯」 夢の新製品「カメムシほいほい」

夢の新製品「カメムシこいこい」

カメムシ被害樹種①:ナシ・ミカン・キウイフルーツ カメムシ被害樹種②:カキ・リンゴ・モモ
ちょろっと一言:フェロモン剤
交信攪乱剤は、シンクイガやハモグリガなど、ガ・蛾類のメスが出す性フェロモンをまねた複数の合成フェロモンの混合剤です。フェロモンをちょっと齧ると、アリ・シロアリ・ミツバチが出す「集合フェロモン」とか、「社会性フェロモン」が有名ですね。カメムシや最近話題のクビツヤカミキリも、メスが出すかと思ったら、オスが出しているようで、子どもに人気のカブトムシも、オスを飼っていると、メスが寄ってくるようなことがあるみたいですね。昆虫の世界も奥が深いです。 |
ちょろっと一言: フェロモントラップ
メスがオスを誘引する「フェロモントラップ」を仕掛けて、オスが全部、誘引されれば、一網打尽でしょうとか、反対に、誘殺され損ねたオスが、メスと交尾して、産卵・繁殖してしまわないかと、心配される方もみえますが、現実は、まだそこまでは、いってないようですね。 |
ちょろっと一言: ウリミバエの根絶
数十年前、南の島で、ウリミバエ(瓜の実を食べるハエ)が根絶させられました。蛹に放射線を照射して不妊化したオスを、数十億匹放ち、メスの産卵機会をなくそうというものです。フェロモントラップで、不妊化していない(野生の)オスが見つからなくなるまで続けられたそうです。詳しくは、「虫を放して虫を滅ぼす」で検索してください。 カメムシも、自分たちの臭いはあまりお好きではないようで、まとめて入れておくと、いつの間にか、星になってしまいますね。 |
ちょろっと一言: 世代交代①
昆虫の世代交代は、なかなか奥が深そうですね。カブトムシは自然でも、飼育でも、1年で成虫になります。イネの害虫・ニカメイチュウ・サンカメイチュウは、そのまま世代数が名前になっており、漢字で書くと年に2回で「二化螟虫」、3回で「三化螟虫」だそうです。2回か3回かは、幼虫の時の日長(夜の長さ)が影響しているらしく、最後の世代の幼虫が、日長が短くなると、幼虫のどこかにスイッチが入って、蛹になってから成虫になるのを年明けにしようと考えるそうです。 |

カブトムシ娘
ちょろっと一言: 世代交代②
セミは、1世代つまり卵から成虫になるのに、数年かかるそうです。海外には、13年とか17年とかの素数ゼミもいますね。他の年には姿を現さないので、1世代の年数が明確に分かりますが、「アブラゼミ」のように、毎年現れてくると、1世代の年数なんて、どうやって確かめたのか不思議ですね。大きな「クマゼミ」の1世代は3年くらい、小さな「ニイニイゼミ」は4年くらいみたいですが、wikiとかAIに聞いても、確実なことは教えてくれません。 |

セミ:ニイニイゼミ・クマゼミ・アブラゼミ
ちょろっと一言: カメムシの発生消長
明確な根拠はなさそうですが、果樹カメムシ類の被害は1年おきのようです。西暦でも元号でも、偶数の年(2024年=R6・4・2)に多く、奇数の年(2025年=R7・5・3・1年)に少ないようです。わかっていてもなかなか被害を減らせません。R6年も「発生が多いよ・多いよ」とお知らせしていたのに、防除も空しく、ほとんど吸われて、カキ「富有」の秀品率はほぼ0%でした。品評会で、「太秋」も下(果頂部)から見ると何ともないのに、ヘタのまわりには、黒い点々が綺麗に並んでいました。2025年・R7年にはほとんど被害はありません。ということは、2026年・R8年は被害多発が心配ですね。 |

カメムシ3人娘 かめむしシスターズ

カメムシ星人① カメムシ星人②
ちょろっと一言: 陸生カメムシと水生カメムシ
赤い筋の入ったのとか、肩の張ったのとか、人の顔を背中に背負ったのとか、丸いのとか、細長いのとか、綺麗なカメムシもたくさんいます。タガメとか、タイコウチ、ミズカマキリ、コオイムシのような、水生・肉食性のカメムシを追いかける方も見えますね。 |
























































