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雑草いろいろ・除草剤いろいろ

[2025.06.09]

●須崎 静夫営農技術指導員●     

●はじめに                                

 雑草でも、綺麗な刈りあげなら心和みます。雑草対策の基本は「てでと~る」ですが、手間とかを考えると除草剤にも「てがで~る」です。草刈り・中耕などの園地管理を計画的に行なってください。除草剤は、農薬に分類されます。海外では、使用禁止や訴訟も起きています。

●雑草いろいろ

 雑草とは、「栽培者の意に反する草」です。果樹園では、エノコログサ・スズメノカタビラ・ハコベ・ホトケノザ・ナズナ・メヒシバなどの一年生雑草やギシギシ・クズ・セイタカアワダチソウ・タンポポ・ヨモギなどの多年生雑草が生えます。大まかに葉っぱの形で、細長いイネ科・カヤツリグサ科(単子葉類)と幅の広い広葉(おもに双子葉類)に分けられます。

●除草剤いろいろ

 果樹園で使用する除草剤は、一年生雑草対象と多年生雑草対象、選択性か非選択性、速効性か遅効性、茎葉処理と土壌処理、地上部(茎葉)から根まで枯らすタイプか地上部だけ枯らすタイプ、などの組合せです。いろいろ販売され、多くは何でも枯らす非選択性です。枯れる(枯らす)仕組みも(細胞分裂・光合成・アミノ酸生合成・リン酸脂質合成の抑制/阻害など)、いろいろです。

 例えば、商品名:ラウンドアップマックスロード・草枯らしが、地上部から根まで枯らす茎葉処理剤です。バスタ液剤・ザクサ液剤が、地上部だけ枯らす(根までは枯らさない)茎葉処理剤です。ゾーバー・ハイバーX・カ―メックスDには、茎葉処理と土壌処理にも登録があります。土壌処理剤は、種子が除草剤のある地表面で発芽したときに作用します。同じ成分の後発品(ジェネリック)は、ちょろっとお安いようです。詳細は、商品ラベルやWebをご確認願います。

●除草剤使用の実際

 まず、果樹の作目名・雑草の種類(一年生・多年生・スギナ・ツユクサなど)・雑草の生育状況(発芽前・生育期・草丈30㎝以下など)・価格などに照らし合わせて、除草剤を決めます。多くは、果樹類一括りでの登録です。7日前のような収穫前日数や栽培期間中の使用回数・同一成分を含む総使用回数の制限があります。同じ系統(H-RACコード)の剤を連用すると、感受性低下により、枯れ残ることがあります。

 散布・散粒などの使用方法も、ラベルの使用基準に従います。10a当り使用薬量500㎖・10a当り希釈水量100ℓと記載されていたら、200倍かな、と希釈倍数を計算します。中には、希釈倍数での登録もあります。

 茎葉処理剤と土壌処理剤を混用すると、殺草・抑草効果が高まりますが、なかなか生えてこないと、かえって心配になります。除草剤を含む農薬の混用は、使用者判断・使用者責任です。

 散布する場合は、専用の噴霧器を、散布圧を下げて使用してください。薬害や他作目への飛散を避けるためにも、風の強い時の散布を控えたり、飛散防止カバーを付けたりしましょう。茎葉処理剤の一部向けには、少量濃厚散布の専用ノズルがあります。砂質土壌や幼木・若木の園地での使用は、薬害が心配されます。

●安全使用に向けて

 ラベルに記載の注意事項を確認して、適切・安全に使用してください。作業中は、不浸透性農薬用のマスク・保護メガネ(ゴーグル)・手袋・防除衣(長袖・長ズボン)・長靴などの保護具を適切に着用し、安全使用基準の遵守、使用履歴の記帳、使用前後の周辺周知、使用済み容器包装の適正処理、鍵の掛かる所への適正保管などにも努めてください。体調の悪い時や異常を感じた時は、作業を中止しましょう。家庭果樹では、毒性のない普通物を使用してください。

▲雑草管理隊

▲農薬散布スタイル

※使用前には保護クリームも忘れずに塗ってください

 

▲飛散防止カバー(左)&専用泡ノズル(右)のイメージ

純製品はかなりお高いようです。防止カバーなら、発泡スチロールやペットボトルで工夫されてもいいかもですね。

▲元祖「てでと~る」娘(中)&本家「くさか~る嬢ちゃんズ」

●ちょろっと一言:「単子葉類」●

 葉っぱが1枚出てくる単子葉類は、イネ科とカヤツリグサ科だけかと思っていました。Webを拝見すると、他にもユリ科、サトイモ科、ツユクサ科、ヤシ科、ラン科などがあります。アスパラガスがユリ科からキジカクシ科になったり、ネギがユリ科からヒガンバナ科になったり、今のお子達は覚えることが色々増えて大変ですね。

▲単子葉&双子葉

●ちょろっと一言:雑草の想ひ出●

 まだ花粉症という名前さえ知らないころ、「セイタカアワダチソウ」が、咲き乱れていました。春には、「タンポポ」の背を大きくしたような「ブタナ」がはびこっています。ツユクサ(単子葉)の丸い葉っぱとか、ホトケノザの大きなのとか、トゲの大きなアザミなどなど、知らないうちに、知らない雑草が増えてきましたね。

●ちょろっと一言:除草剤の想ひ出●

 かれこれ30年以上、土壌処理だけと思っていた除草剤「カーメックスD」には、茎葉処理も登録されています。昔お世話になっていた「ハ〇ービ〇ー液剤」が、知らないうちになくなっていました。雑草のハダニ類にも効果があるとのことで、重宝していました。ごていねいにも、「この除草剤は、ハダニ類にも効果がありますが、果樹には散布しないでくださいね」との注意書きがありました。 

●ちょろっと一言:雑草・除草剤の想ひ出●

 昔々の想ひ出です。使用した除草剤もあやふやで、今もあるでしょうか。ノボロギクは、綺麗な葉型から、マーガレットのような花を想像してしまいました。除草剤をかけられると急いで花を咲かせて、わたわたの種子ができます。ハハコグサは、黄色いモコモコの可愛い花なのに、なかなか枯れてくれません。エノキグサは、葉っぱの形がエノキ(榎)に似ています。除草剤によっては、これだけが、ポツンと枯れ残ることがあります。

●ちょろっと一言:「バスタ新宿」●

 2018年、新宿駅近くに、大きなバスターミナルが開設されました。名前を聞いてびっくり、除草剤と同じ名前の「バスタ」です。wikiによると、バスとタクシーで「バスタ」とも、バスターミナルを略して「バスタ」ともいわれています。BASFさんが、バスターミナルを含む輸送区分でも商標登録していたら、どんなことになったでしょうか。国土交通省は、今後もこの名称「バスタ」を他のターミナルにも使用していくようです。

●ちょろっと一言:「除草剤は手抜き?」●

 農業新聞に、「除草剤は手抜き?」というタイトルの記事がありました。除草剤で雑草をせっせと手で抜くのかを思ったら、除草剤も正しく使えば「安全」「安心」ということを伝えたかったのでしょうか、それとも「手抜き工事みたい」と批判したかったのでしょうか、よくわかりません。熱湯をかけると、すぐに枯れます、火傷にご注意願います。 

●ちょろっと一言:「雑草いろいろ」●

 達人になると、雑草を見るだけで、土壌が肥えているとか痩せているとか、わかるようです。スギナが生えるところは酸性土壌とか(異見あり)、カヤツリグサやスズメノテッポウは水はけの悪い証拠だとか、反対に、スベリヒユやメヒシバの生えるところは乾燥気味だとか言われています。また、タンポポは、地下のみずみち:水道の上に生えるとか聞いたことがあります。参考になるでしょうか。 

●ちょろっと一言:「今は昔」●

 知らないうちに除草剤も、「○○㎖」を「□ℓの水で希釈」のように、使用方法もわかりやすくなりました。農薬に詳しい方に尋ねたら、「昔から、こうでしたよと」言われてしまいました。もっと昔には、「『10a当り使用薬量〇〇㎖』のみで、これを適当に薄めて、使用薬量(を超えない)まで、散布しましょう。」というような書き方がされていたような気がしますが、そもそも記憶違いかもしれませんね。 

 

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