
5月の果樹だより
[2020.05.01]
●営農技術指導員 杉山文一●
ブドウの花穂整形とジベレリン処理及び新梢管理
1 ブドウのジベレリン処理
処理濃度と時期は、品種によって違います。登録内容を表1にまとめました。ジベレリン処理は、表1によりおこなってください。
方法は、ジベレリン溶液をプラスチック容器に入れて花房(果房)を浸漬します。
溶液の作り方は、説明用紙で確認してください(表2)。
大粒系品種は、開花5日前~開花始め(副穂が開花)までに終わるようにします。
2 ブドウの花穂整形
花穂を整形しないと、穂軸が伸びて着粒がバラバラの果房になります。そのため、開花前に花穂整形をおこないます。
(1)ジベレリン処理による種なし化の花穂整形
花穂整形は、ジベレリン処理前におこないますが、品種によって時期と方法が違います。代表的品種をまとめましたので、図1と表3の無核栽培法の方法でおこなってください。
図1の様に、ジベレリン処理前におこないます。
大粒系(巨峰・藤稔)品種は、下部を3.5cm程度残して、副穂と支穂を切除します。
シャインマスカットは、大きな副穂が発生しにくいが、支穂を切除して下部4cm程度を残します。
マスカット・ベーリーAやサニールージュ等の中粒系品種は、花穂長6cmを目安に支穂を切り下げますが、マスカット・ベーリーAは、房尻を1~1.5cm程度切り詰めます。
デラウェアやアーリースチューベン(バッファロー)等の小粒系品種は摘粒をせず、ジベレリン処理前に副穂のみ切除をします。
(2)種有り栽培での花穂整形
品種によって違います。小粒系は、岐肩の穂軸(副穂)を切除する程度です。大中粒系の代表的品種は、表3の有核栽培の方法でおこなってください。副穂と上部の支穂と房先を切除して、下部を数cm残します。
3 新梢管理の方法
(1)捻枝と摘芯
立木栽培のカキやモモ等は、5月中旬頃に発生した強い新梢をそのまま伸ばすと徒長枝となってしまいます。そのため、新梢が軟らかい時期の5月下旬頃に、図3の様に捻枝か摘芯をおこなうと、樹勢を落ち着かせ翌年の側枝や結果枝としで利用できる枝になります。
ブドウのように棚で栽培する作目では、伸びの旺盛な新梢は1m以上も伸びるので、1m程度のところで摘芯すると樹勢が落ち着きます。
(2)誘引
誘引は、図4のわい化栽培いおけるリンゴの基本樹形を例にすると、今年発生した強い新梢を横へ曲げて側枝化を図ります。また、誘引することにより樹勢が落ち着きます。
時期は、新梢の伸びが止まる6月下旬以降におこなうと効果的です。
カキやモモなどの立木栽培では3~5年生樹で、亜主枝や側枝を斜めに竹を添えて誘引して樹形を整えます。
カキでは、40cm以上の新梢を針金で斜めに空間を利用して誘引しておくと、翌年の結果母枝や側枝の予備枝となります。