果樹の六次産業化
[2022.10.01]
●営農技術指導員 須崎静夫●
果樹の六次産業化への取り組みです。ブドウ樹液の「美○」化粧水や摘果ミカン果汁の「髪が映える・栄える」育毛剤など、広告も有用な情報源です。食品加工には食品衛生法のほかにも、何か規制があるかもしれません。詳しいことは、保健所やその道のプロ・師匠に聞くなり、ご自分で極めるなり、お願いします。
【果実の利用】
カットフルーツ、フルーツまるごと大福などお菓子への利用、柿渋、ジャム、ソース、ジュース、氷菓・ジェラード、ドライフルーツ(乾燥果実)、調味料の原料としての利用があります。
それぞれ、製法や規格があります。ジャムは、可溶性固形物40%以上になるように、糖を加えて、ゼリー化したものです。糖度計で測れば確実です。初めと出来上がりの量・糖度が決まれば、加える糖の量を計算できます。ゼリー化してないとソースです。ジュースは、果汁100%という定義があり、水や糖を加えるとジュースではなくなります。濃縮還元はOKです。ジェラードの定義はありませんでした。
花材・画材には、アケビ、カキ、クリ(イガ付)、クルミ、ザクロ、西洋ナシ、ブッシュカン(仏手柑)などが、調味料には、柚子胡椒(ユズ)、陳皮・青皮(ミカン)などが、あります。
【枝・葉・花などの利用】
せん定枝やリース(輪っか)には、アケビ、キウイフルーツ、ブドウなどが利用できます。金・銀・パールなど、カラースプレーすることもあります。つるで籠を作ってもよいでしょう。
切り枝には、ウメ、スモモ、ブルーベリー、ブラックベリーなどを利用します。開花前に採取して、加温して花を咲かせると、季節の先取りになります。葉っぱはない方が好まれるかもしれません。花持ち良ければ、他の樹種でもよいでしょう。モモには、ハナモモという強敵がいます。
お皿や箸置きなど食器には、イチジク、カキ、ブルーベリーの葉、モモのつぼみ付き枝などが利用できます。農薬使用基準は、野菜としての適用となります。ウメ・スモモのように毒性があると、適さないこともあるので、一度お確かめください。
布地・繊維の染料には、枝や果実、クリのイガを煮出して利用できます。
お茶以外のお茶(茶外茶)の原料にしたり、焼酎につけた液や葉っぱ・種子を利用したりします。wikiには柿葉茶、枇杷葉茶、桑茶、橙茶、柚子茶、梅茶があります。葉があったり、なかったりするので、利用する部分は、葉っぱどうかはよくわかりません。桃葉は入浴剤にありそうです。
他にも、農薬適用に果樹名と果実以外の部位が書いてあれば何らかの利用ができるでしょう。R4年現在、アケビ、イチョウ、オリーブ、カキ、グァバ、クコ、クワ、サクラ、ビワが記載されています。薬事法の関係で、確実な効能以外は、謳わない方が良いでしょう。
蒸し焼きにして、イガグリやクルミなどを丸ごと炭にすることができます。腕を上げれば、カキやカンキツ、リンゴなどの果実の他、枝・葉などでもできます。
【材木・その他】
せん定枝は、よく乾燥させて、積木・鍋敷き・お皿・箸など、木工製品に加工できます。燻製用のチップには、カンキツ、クリ、クルミ、バラ科、ブドウなどを利用します。太い枝なら、よく乾燥させて薪に、陶器の釉薬には、ウメ、カンキツ、クリなどの焼却灰が使えます。
堆肥や腐葉土の中にいるカブトムシは、4・5月連休のころに幼虫を、夏休み前半に成虫ペアで人気ものです。ナシ・ブドウ・モモ屋さん、ごめんなさい。