トルコキキョウの管理~簡易被覆(1)~
[2022.10.01]
●営農技術指導員 大澤梅雄●
質問
花づくりの先輩から聞いた話では、トルコキキョウの苗を植えても寒さで枯れてしまうそうです。齢を考えると今さらビニールハウスや暖房機に投資はできません。何かいい方法はありませんか。
回答
確かにこの地域では凍霜害で苗が枯れてしまうことがあり、露地栽培では生産が不安定です。施設栽培であれば問題は一気に解決しますが、積極的な投資には年齢的に無理なことはわかります。
そこで、いろいろな冬越し方法を試しました。その結果、当JAで開発した簡易な被覆を行えば、生産が安定し品質も向上することがわかりましたので、今回その作成方法を紹介します。
1 簡易被覆の名称
当JAが開発した簡易被覆を「ビニール囲い(仮称)」、略して「ビニ囲い」とします。
2 ビニ囲いの特徴
⦁ 安く自作できる。
既存の資材を活用し、自分一人で作ることができるので安価である。
⦁ 大きすぎず、小さすぎず
切り花が栽培できる最低限の大きさ。ビニールトンネルよりも大きくハウスよりも小さいサイズとした。
⦁ 省力的
冬から早春にかけて、上面には不織布を張りっぱなしにすることにより、換気に要する手間をなくした。
⦁ 切花の生産安定と品質向上
被覆資材で回りを囲うことにより、寒さや雨、風を防ぎ生産の安定と品質向上に寄与する。
3 ビニ囲いの形
上部(屋根)の被覆形状によって、水平張り、斜め張り、三角張りタイプの囲いを作ることができます(図)。
水平張りは最も作成容易ですが、上部被覆資材の展張が緩いと雨がたまったり、同じ所に水滴が落下して苗を痛めることもあります。斜め張りは、水平張りよりもやや作成が難しくなるものの水平張りの欠点を改善できます。三角張りはさらに作成が難しくなりますが、フィルムのたるみが少なく確実に展張ができます。
4 必要資材
(1)防獣杭
太さ25mmで長さ1.2mと1.5mの2種類。防獣杭の頭部に爪がついているので針金を止めやすい。
(2)園芸用支柱
横木あるいは垂木として家庭園芸用の支柱で代替え。太さ19mmで長さはうねの大きさに応じて取りそろえる。
(3) 針金
やや太めの#16。
(4) パッカー
径19、22、25mmの3種類があると便利。
(5) クロスバンド
交差するパイプを止める器具
(6) 不織布
(7) 被覆用フィルム
厚さ0.1mmの農業用ビニールフィルムまたは厚さ0.05mmのポリフィルム。